■マーケティング・ビジネス115の警句【マーケティング】

artc20130301過去記事「必ず失敗するマーケティング用語集」で失敗しても、懲りずに「ひと言集」の記事です。
本記事はtwitterで毎日ひとつずつつぶやいていたマーケティング警句集を分類、追加、修正、補正してまとめたものです。なので、Facebookでまとめたものともまたちょっと違います。
それぞれの言葉の補完説明として過去記事があるものについては、URLも掲載しました。

【マーケティング編】【生活者編】

【警句1】ターゲットは「設定する」ものではない。「買って欲しくない人を決める」こと。

【参考記事】■ターゲット設定とは「買って欲しくない人を決めること」
【警句2】「生活者のニーズを取り入れる」と「ニーズに迎合する」とは、まったく違う。

【事例】「好きなタイプの男性は?」と聞いて返ってくる「優しい人」をそのまま実行しても「都合の良い男」止まり。決して本命にはなれない。
【警句3】ニーズを突き詰めていくと、7つの心理的報酬のいずれかにたどり着く。そこまで議論を止めずに作られたコンセプトや戦略ほど強いものはない。愛情、サービス、物品、お金、情報、地位、性欲。
【警句4】迷ったら、現場に戻れ。答えは常にそこにある。

【補足】現場とは売り場だけではない。街、電車、飲食店、公園など人が息づくあらゆる場を言う。
(大久保千弥さんバージョン-こちらのほうがいい)
「右手に日経、左手に東スポ、そして町に出るべし!」(リンク先:Facebook)
【警句5】常識さえあれば、マーケティングなんて簡単だ。
ただし、他人の常識を知るのはマーケティングより難しい。
【警句6】イノベーターとは「ヒット商品を最初に買う人たち」である。して、その中身は「一般人の心を持ったマニア」だ。

【補足】イノベーターは天使にも悪魔にもなる。良いことも悪いことも広める元になる。天使は残酷だ。エヴァもそう言ってる…「残酷な天使のように…」と。
【参考記事】■ヒット商品を最初に買う人たち【イノベーター理論-サルにもわかる基礎マーケティング3】
【警句7】イノベーターの動機は【must】。
アーリーアダプターは【nice to have】。
フォロワーは【fear not to have】。
ひとつの商品は人によってニーズにもウォンツにもなる。

【参考記事】■ヒット商品を最初に買う人たち【イノベーター理論-サルにもわかる基礎マーケティング3】
【警句8】共感はしなくてもよい。理解する。
それが生活者を知ることに繋がる

【補足】男は女をわからないのは当たり前。本人だってわからないのだから。
でも男は女を理解することはできる。
年寄りは若者を…以下同文。
【警句9】人に会わずに人は理解できない。
人の言い分に耳を傾けずに、人は理解できない。
人の話を自我を抑えて聞かずに、人は理解できない。
生活者を知るには、自分をいかに透明にできるかに尽きる。
その1秒後にムカついてもいいのだ。
【警句10】生活者が知らない商品は、存在しないのと同じである。

【参考記事】■「買う気になる」から「買う」までの狭間
【警句11】生活者は本音を言うと思うな。たとえ悪意でなくても、気遣いはする。

「本音が自分でも分からない」のも人間らしさ故である。
【警句12】生活者は本音が言葉に現れると思うな。

本音は6つに分かれる。
▼本音が出た
▼本音を出さない
▼本音と建て前が混在する
▼意見が整理できてない
▼ (聞かれたから) 無理に発言した
▼意見が変化した
発言の一貫性、時系列、背景でチェックすれば大抵わかる。

【マーケティング編】【総合編-1】

【警句13】競合企業が「もっともやって欲しくないこと」をするのが、効果的なマーケティング戦略。

つまり、マーケティングを極めると人が悪くなる。
「憎まれっ子、世にはばかる」でいいのだ。
【警句14】【差別性】外国企業が日本進出して失敗した理由。
「日本人や日本市場を理解せず、日本企業と同じことをしなかったからだ」との結論に納得した人は、「差別性」ということばをもう一度噛み締めるべきである。
【警句15】スティーブ・ジョブズの独創性を絶賛した返す刀で、「アップルと同じことをしなかったから、日本のメーカーはダメなのだ」と結論づける人。
本当にジョブズの「独創性」を賞賛するなら、 「差別性とはなにか」「模倣とは何か」を再考せよ。

「Think Different」
【警句16】調査結果。買わない理由が「価格が高いから」は「タダでもいらない」と同義である。
1割の例外を除けば、価格を下げて売れることはない。

【自己分析のすすめ】あなたにとっても、タダでもいらない商品、たくさんあるでしょ?
【警句17】理論やノウハウとは、他人が膨大なコストを支払って検証した結果を、最小限のコストで利用できる便利なものである。

【例】イノベーター理論が正しいかどうかを検証する時間とコストは、想像するだけでも気が遠くなる。
【警句18】「業界の常識」とは、トップ企業が自分の立場を守るために存在するルールのことである。

【補足】または失敗した時の言い訳になる、保身のための呪文でもある。
【参考記事】
■必ず失敗するマーケティング用語集
■マクドナルドの未来、たった2つのアキレス腱-強者の戦略【マクドナルド】
【警句19】マーケティングはすべからく「what(何を)」と「how(どう)」の組合せである。

【例】マーケティングでは「whatは製品開発、howは売り方」。
コミュニケーションでは「何を言うか(what)」と「どう言うか(how)」。
【警句20】業界に関係なく当てはまるマーケティング理論は7割。業界特有の事情は3割である。
【警句21】製品と商品は違う。製品(品質)にコミュニケーションと流通を足しあげたものが、商品である。

【補足】消費財なら、それぞれの重みは均等に三分の一ずつである。
【警句22】競合関係とは「生活者がどっちを買おうか迷うこと」。
単に価格帯や商品形状が同じだけでは「競合」とは言わない。
「ライバルとして相手にされてない」のだ。

【参考記事】
■ターゲット設定とは「買って欲しくない人を決めること」【ターゲット設定-サルにもわかる基礎マーケティング1】
■市場という概念
【警句23】マーケティングは、商品の実力の3倍売るための科学である。

実力で10個売れる商品は30個になる。
ただし、300個売りたい場合は、実力100個の商品を作らなければならない。
これが商品開発である。
【警句24】売り場にさえあれば(売上げ数はさておいて)マーケティングや広告がなくても商品は売れる。

マーケティングや広告に何十億円かけても、売り場に商品がなければ売上はゼロである。
【警句25】画期的な商品とキチンと並べる売り場さえあれば、マーケティングなんていらない。

ただ、画期的な商品はソニーでも10年に1度しか出ない。
【参考記事】■ターゲット設定とは「買って欲しくない人を決めること」【ターゲット設定-サルにもわかる基礎マーケティング1】
【警句26】マーケティングは100万個の缶詰は売れるが、1個の缶詰を売ることはできない。
【警句27】当たり前のことを当たり前に(できる勇気を持つ企業が勝つ)。ただし、徹底的に。

【参考記事】
■企業が生活者からお金をぶんどれない時
■自分自信の舞台裏2 - あれから1年後の「私はこう見る」
【警句28】お笑いとマーケティングは同じ。
「一般人の常識」が分からないと、ズレ(=ボケ)が計算できないから、笑いが作れない。

【参考記事】■サルにもわかる商品開発
【警句29】「安くて気楽なバー」
「当店ではお酒よりジュースのほうが高いのです」
「当店ではジュースよりお酒のほうを安くしています」
【警句30】マーケティングは精神的風俗である。刺激、安心感を本能レベルで満足させる。

【マーケティング編】【商品開発編】

【警句31】売れる商品のコンセプトは「ひと目」「ひと言」「なるほど」。

【参考記事】■マーケティング戦略・商品の「次の一手」を読んで勝つ【プロダクトコーン理論-サルにもわかる基礎マーケティング4】
【警句32】生活者の半歩先の商品は売れるが、三歩先の商品は失敗する。

【補足】「時代が早すぎた」も「遅すぎた」も等しく恥ずかしい。「時代が早すぎたから失敗した」は決して自慢ではないと心得よ。
【参考記事】■マーケティング戦略・商品の「次の一手」を読んで勝つ【プロダクトコーン理論-サルにもわかる基礎マーケティング4】
【警句33】自分の手がけた新商品が売れずに、倉庫に山積みの光景を見ると真っ青になる。
売れすぎて各地で品切れを起こし謝りまくると、顔色が真っ黒になる。

【補足】「嬉しい悲鳴」はない。本当の悲鳴があるだけだ。
【参考記事】■サルにもわかる商品開発
【警句34】【コンセプト1】コンセプトとは商品の骨格である。

従って「最高の…」「しびれるような…」といった、化粧まみれの言葉で、生活者の評価が高くても実物が売れることはない。
【警句35】【コンセプト2】コンセプトとは「どんな商品かわかってもらうためのことば」である。

【補足】コンパクトな商品のコンセプトが「コンパクトなものが好きな人のための商品」では何も説明できていない。
【参考記事】■マーケティング戦略・商品の「次の一手」を読んで勝つ【プロダクトコーン理論-サルにもわかる基礎マーケティング4】
【警句36】「計画比10倍以上の大ヒット」なんて作るのは簡単だ。10個しか作らなければいい。

【結論】メディア情報を鵜呑みにせず、客観的な判断力を養え。
【警句37】「冷たい認識」と「熱い対応」がヒット商品を作る。
【警句38】「もし、その商品案が売れるなら、なぜ競合相手が発売していないのだ?」はすでに負けが染み着いている人のセリフ。

「競合相手がまだ発売していない。チャンスだ」は勝負の女神が微笑むか悲しむかどちらか。
【警句39】創造的なものを作る方法のひとつ。常識を否定してみる。

「甘くないチョコ」
「音質が良くないウォークマン」
「キレイに撮れないカメラ」。
その代わりに何を加えたら良いかを考える。
「甘くない『代わりに』糖分ゼロ」
「音質が良くない『代わりに』CDの入れ替えがいらないウォークマン」
「キレイに撮れない『代わりに』使う時以外は場所を取らない」。

一つや二つを考えただけで満足してはいけない。『代わりに』以降の項目を10でも20も上げてみる。
ただし、それを「売れる」商品に仕立て上げるには、「なぜ、それが良いのか、便利なのか」も考えないといけない。
ヒット商品を造るには「創造力」よりも、生活者の「想像力」のほうが大切である。

【マーケティング編】【総合編-2】

【警句40】違いを見つけようとするな。
共通点を掘り下げても、どうしても残ってしまうのが「本当の差別性」。
【警句41】マーケティング担当は、調査結果という通信簿を毎回突きつけられるからこそ、楽しさが倍増する。
【警句42】ビジネス。自分で考えることは大切。
でも、自分独りが10年考えたことより、100人が10年考えたことの方が優秀だと認める勇気はもっと大切。

【補足】「1,000人分の知恵をどう生かすか」からスタートする方がはるかに賢い。
マーケティングではそれを「理論」と呼ぶ。
【警句43】成功事例は大切だが、そのままもって来る(Transfer from proven success)のではなく、生活者を見極めて応用(TRANSFORM from proven success)せよ。
【警句44】数値表を眺めると、人が語り、動き、生活する姿が頭に浮かんで、初めて「数字が読める」という。

【注】ただし、質問がデタラメな「なんちゃって調査」は除く。
【警句45】クライアントがスクリーンを見て、人が語り、動き、生活する姿が頭に浮かぶのを、「調査分析プレゼン」という。

【参考記事】
■サルにもわかるプレゼンテーション&企画書作成講座 その1【プレ&企画書】
■サルにもわかるプレゼンテーション・企画書講座 その2 プレゼンテーション初級編
■サルにもわかるプレゼンテーション・企画書講座 その3 完結編
【警句46】異性にモテない人間はマーケティングもできない。
マーケティングを会得すると、異性にモテるようになる。

【解説】どちらも「相手を見て、予測し、先回りする」能力が必要。
【警句47】名前が変わっただけで、中身が従来と同じマーケティング理論を提唱するコンサルタントは「パッケージデザインさえ変えれば売れるんです」という提案をしているのと同じである。

【参考記事】■マクドナルドの未来、たった2つのアキレス腱-強者の戦略【マクドナルド】
【警句48】マーケティングを目指す者は、自分の常識に疑問を持て。
「自分の感覚に近いから正しい」のではなく、「自分の感覚に近い。おかしい」で、ちょうどいい。

【補足1】自分の予想が、調査データと合致するようになったら卒業して良い。
【補足2】ちなみに、私の場合「素の自分の琴線に触れたものは売れない」と判断します。後でデータを見ると99%当たってる(笑)
【参考記事】
■身体計測機 1:皮膚感覚のススメ
■身体計測機 2:訓練のススメ
【警句49】データを積み上げたマーケティングは失敗する。

データがないマーケティングは、暗闇を全速力で走ってるのと同じこと。
【参考記事】
■身体計測機 1:皮膚感覚のススメ
■身体計測機 2:訓練のススメ
■シストラット・リサーチ十ケ条
【警句50】「正しい」ことを提案するだけでは、質のよい仕事にはならない。

例え、マイナスの提案だとしても、クライアントのテンションが上がる(または引き締まる)ものでなければプロとは言えない。
【警句51】主語が「日本人は…」や「女性は…」のプレゼンには注意せよ。
日本人だって、女性だって様々なタイプがいる。ひとくくりに論じる段階でマーケティングとは言えない。

かといって、「東京都渋谷区恵比寿1丁目の日本人は…」と細分化すればいいと言うものでもない。
【応用編】「私はこの商品のターゲットである女性ですが…(=女性全部がターゲットではない。よって、あなたの意見は代表ではない)」
【警句52】マーケティングで導き出された結果を100%現場に押しつけてはいけない。
現場は息が詰まる。
3割の「遊び」をつくり、現場の「工夫」「創意」を生かせ。
そこから、想定外のヒットが生まれる。

【条件】ただし、現場が指示通りに動き、かつ戦略をキチンと策定できる企業に限る。
【警句53】(マーケティングでの)「すでに終わってる」は、言う方も聞く方も、思考を停止させる都合のよい言葉である。
【警句54】広告。「使ってもらえば、良さがわかる」は単なる説明放棄である。断じてトライアル促進ではない。

【補足】少年、少女だった頃「大人になればわかるよ」にムカついたことを思い出せ。
【参考記事】■みんなで広げよう、ともだちの輪
【警句55】広告は、クライアント企業のオリエンテーションで成功、失敗の7割が決まる。
【警句56】「新」基準、「新」常識などのキャッチコピーは「なぜ『新』なのか」が説明されていない限り、何も言っていないのと同じである。

【解説】ほとんどが広告会社の「苦肉の策」「競合プレゼンに勝つ策」である。
ただし、失敗の責任はその案を嬉々として採用したクライアント企業にある。
【警句57】広告を最も頻繁に見ているのは担当者。だから、色々、変えたがる。
でも、生活者はその10分の1しか広告を見ていない。

【ビジネスセンス編】【総合編-1】

【警句58】知識と経験が合わさって、初めて知恵になる。
【警句59】ビジネス。物事は最低でも5つの角度で見るまで結論づけるな。
この訓練で、他者からの質問やツッコミに20倍耐えられる思考力が身につく。

【補足】面倒だからといって、一気に5次元で見ようとすると混乱するだけである。やめとけ。
【警句60】優先順位とは「やりたい度合い」と「やらなければいけない度合い」をマトリックスにしたものである。

【補足】「やりたい度合い」だけでは単なるワガママ。「やらなければいけない度合い」だけでは息が詰まる。
【参考記事】■人生得する「パーソナル・アイデンティティ」
【警句61】女は情熱で仕事をする。
男は意志で仕事をする。

【解説】 女は面白いと思えば、実力以上の仕事ぶりを見せる。
男は良くも悪しくも、一定している。
数少ない性差のひとつである。
【警句62】締め切りに間に合わない時。女は直前に泣きつく。男は期限を守るがやっつけ仕事。
時々見かける「当日になってバックれるヤツ」は男。
【警句63】【上級者の驕り】上級者は初心者からの一言だけで決めつけてはいけない。

過去の経験からの決めつけは、自分の時間浪費を最小限にする割に正解の確率が高い。
しかし、それが「手抜き・驕り」となる。
例え1%が例外だったとしても、当の初心者にとっては100%の出来事なのだ。

決めつけがいけない二つ目の理由。1つの例外の裏には10の例外が隠れている。
三つ目。どんなに大きなダムでもアリの大きさの穴で決壊する。
最後。初心を忘れた上級者には、もはや成長はない。

【例】1. ビッグマックを50個注文した客に「こちらで召し上がりますか?」と聞く。
2. 上級者を上司、初心者が部下と置き換えたらどうなる?
3. 「例外だったから、気がつかなかったわ、あはは」で済ませる医者をどう思う?

【警句64】成功体験が役立つと考える人は「模倣」しようとする発想の人。

失敗体験が役立つと考える人は「失敗を排除することで成功確率を上げ」かつ「自由度の確保」や「可能性を広げよう」とする発想の人。
どちらがいいか、ここでは言わない。
【警句65】ビジネス界(BtoB)で「~はもう古い」と煽る輩。
彼らのターゲットは「古い、新しい」に踊り「他社に続け」の「フォロワービジネスマン」である。

ビジネスは「多くの会社がやったから」で決めるものではない。
【参考記事】■ヒット商品を最初に買う人たち【イノベーター理論-サルにもわかる基礎マーケティング3】
【警句66】調べれば分かることを延々と議論するほど、時間の無駄はない。

【例】「ワインの生産量一位の国って、フランス?」
「いや、アメリカじゃなかった?」
「えー、イタリアも有名だけどなぁ」
「スペインのはずだよ、良く聞くもん」
「山梨に決まってるよ」
皆「それ、国じゃない!」

【追加例】高木浩光大先生様のスマートな議論の終わらせ方 – Togetter(重いです)
【参考記事】■コンサルタント日記

【警句67】他人の真似をすることは、決して恥ずかしいことではない。

学習とは真似から始まるからだ。
しかし、真似を「し続ける」ことは恥ずべきことである。
【警句68】心理学実験では、美人は不美人より人生で1.2倍得をする。
さて、1.2倍【も】得をすると考えるのか、1.2倍【しか】変わらないと考えるのか。
それを決めるのは貴女だ。
【警句69】T字型人間であれ。Tの縦棒は「誰にも負けない分野」、横棒は「浅いけど広い知識」。

【理想】縦棒2本のπ(パイ)型人間。縦棒1本が使えなくなっても、もう片方で生き残れる。
その間に、新たな2本目を作る余裕が生まれる。
【参考記事】■紅茶とπ(パイ)
【警句70】ビジネス界では、努力するだけでも誰でもプロになれる。飯が食える。
才能がなければ「一流のプロ」になれないだけだ。

【参考記事】■プロを考える
【警句71】論理思考、企画力、分析力、戦略構築力、ビジネスセンス…すべての能力の源が観察力である。
唯一の例外は行動力と情熱だ。

【補足1】観察力を極めると、自然に発想力が出てくるものだ。
なぜなら、観察力とは物事を様々な角度から眺める訳で、発想力の訓練と同じことをしているからだ。
【補足2】発想力は2種類ある。
無から有を作るものは観察力では対応できない。
しかし、一方の「古い技術と古い技術の新しい組み合わせ(スティーブ・ジョブズ)」「枯れた技術の水平思考(任天堂 横井軍平氏)」は観察力で可能。
つまり、ジョブズ並みの発想力でいいのなら、観察力で鍛えることができる。
【参考記事】
■コンサルタントになるには-その3:シストラットの場合
■マーケティング戦略・商品の「次の一手」を読んで勝つ【プロダクトコーン理論-サルにもわかる基礎マーケティング4】
【警句72】調査結果を見る「前」に、予想%を調査票に記入する訓練を常に実践せよ。
「初めから、そうなると思ってたよ」オジサンは恥である。

【補足1】自分の感覚を研ぎ澄ますために、上級者も、時々、実施すべし。
【補足2】「そう思ってたオジサン」の多くはウソをついていない。
事前の予測をキチンとしていないから、「本気に、その気になっている」だけである。
だから、ほとんどの「そう思ってたオジサン」は学習できない。
【参考記事】
■身体計測機1:皮膚感覚のススメ
■身体計測機2:訓練のススメ

【ビジネスセンス編】【総合編-2】

【警句73】「時代(消費者)が変化した今…」の枕詞がつくプレゼンの9割は、続く言葉が提案者の都合の良い案である。

【解説】枕詞で過去と現在を分断するので、どんな(無茶な)案でも説得力が増すからだ。
この論法は、使う側の論理力も蝕む甘くキケンなワナでもある。
【警句74】ビジネスのケンカに勝つには「調べれば分かる」事実でケンカすること。

「自分はこう思う」は一度、発言したら深追いするな。
【警句75】「英雄、色好む」。ただし、「色を好めば」「英雄」とは限らない。

自分や他人の分析・提案が英雄なのか単なるスケベなおっちゃんなのか、常にチェックせよ(特に広告クリエイティブには要注意。by パンツ理論)
【警句76】非凡になりたければ、まずは平凡になれ。

【参考記事】■「当たり前」と「うそつき」の狭間
【警句77】【Plan】【Do】【See】で、一番忘れるのは【See】。

売れない商品の原因を探る企業は多い。
しかし、売れる商品の原因は、売れなくなってからしか探さない企業が多い。
【警句78】シストラットの説得力の公式。
【説得力】=【客観性】X【思い当たる節】の二乗。
【警句79】ビジネスの真実は常に3つある。
後は「最も売れる戦略」「最も投資効率が良い戦略」「最もクライアントの社風に合った戦略」の観点で選べばいい。
【警句80】ビジネスでの原因は常に3つある

【解説】売れない理由を「価格だ」、「いや、デザインだ」と議論するほど時間の浪費はない。
大抵の場合「価格とデザインの両方」であり、比率が異なるだけだ。
【警句81】「~なら、~のはず」は、一見、論理的だが、唯我独尊で思考停止のキケンなフレーズ。
【警句82】「初心に帰れ」は大切だが、何10年も前のことを思い出すのは難しい。
「初心だった頃を想像しろ」が正しい。

【補足】最悪は「初心だった頃を想像」することすらできない状態。
【警句83】難しいことを簡単に言うのは、技量が必要。
簡単なことを簡単に言うのは、勇気が要る。

【蛇足】 難しいことを難しく言うのは、誰でもできる。
簡単なことを難しく言うのは、見栄っ張りか自己満足。
【警句84】くだらないことを真剣に。

【蛇足】森がこういうのが好きというだけです。
【警句85】クライアントとコンサルタントの知見の差がビジネスの額である。この差に、クライアントの重視度がかかる。
【警句86】ビジネスは3つの資質の人間で成り立つ。
既存の仕組みを壊し、創造するのに長けた人間。
それを発展・維持するのが得意な人間。
この仕組みに乗る人間。
3つの資質を同時に持つ人間は希有な存在である。
【警句87】自分が見たものがすべてではない。
【警句88】へそ曲がりであれ。人が見る反対から見るべき。ただし、八方から見ること。そうすれば、円になる。
【警句89】相手を見ずにケンカ売るな。生活者を知らずしてモノを売るな。敵を知り己を知れば百戦危うからず。

【補足】最大の敵は頭で分かった気になる自分である。
【警句90】他社の後追いをしたくなければ、ビジネスの変換能力を磨け。想像力、連想力、妄想力と言い換えてもいい。

【解説】「自分の業界の事例でないとわからない」のでは、永遠に他社の後追いしかできない。
【警句91】頭のいい相手なら、下手に説得しようとするより、質問を続けているだけで自爆してくれる。

【条件】自分もキチンとした答えを用意していなければならない。
【警句92】優先順位はあなたが思っているほど、簡単ではないかもしれない。

自分の業務遂行能力、状況判断、関係者のキャパシティ、相手の期待値。
これらすべてを勘案するには、優先順位付けに真剣に向き合わないといけない。
その分、自分の能力が飛躍的に向上する。

【調査編】

【警句93】比較分析は引き算ではなく、割り算で。

【解説】BWHが88-58-88と128-98-128は同じ30cm差だが、その違いを噛みしめよ。
ちなみに、個人的には後者も嫌いではない^^
【警句94】比較分析。たった2つの数字でも5通りの解釈ができる。
これらすべてを面倒がらずに検討するだけでも、分析者の質は飛躍的に高まる。

【例】1と2「AはBより(BはAより)こんなに高い」
3「AもBも両方高い」
4「AもBも両方とも低い」
5「AとBは両方とも普通」
【警句95】【平均その1】ビジネスでは、平均を見たら疑え。

【解説】「19才と41才しかいない」グループと「30才しかいない」グループ。
どちらも「平均30才」である。
【警句96】【平均その2】ビジネスでは、「~が最も多い」を見たら「それ以外」に商機があると考えよ。

【解説】最大ニーズはトップ企業が押さえている。
残り19社が入る余地なし。
【警句97】【平均その3】平均の危険性が理解できたら、「健康志向の時代なのに、なぜメガマックが売れたか?」なんて意味がない議論であることは、説明不要となる。
【警句98】分析報告書。完成後、最低でも3日間は放置した後、他人の目で見直せ。
この熟成期間だけで報告書の質が格段に上がる。

【補足】熟成の時間がないなら作業スピードを上げればいい。
プロの必須条件のひとつはスピードである。
【警句99】分析報告書。「~ではないか」「~と思われる」などの曖昧表現は、分析者の自信のなさの表れである。

クライアントには、その半分しか記憶に残らない。
それなら、1.5倍の強さで表現して、ようやく伝えたいことがクライアントの頭に残る。
【参考記事】■サルにもわかるプレゼンテーション・企画書講座 その2 プレゼンテーション初級編
【警句100】調査結果は、自分の感覚とずれていても、まずはすべて信じよ。
信じて信じて、それでも疑問が残れば、そこから原因を探れ。

【条件】ただし、昨今の統計学を無視したネットでよく見かける「なんちゃって調査」は除く。
【警句101】調査票。選択肢は最低でも20個は考えろ。

【補足】それ以下しか考えられないなら、それは設計者の手抜き、または生活者の観察不足である。
【警句102】ネット上。調査でウソをつかずにウソをつくのは簡単だ。
意図する特定の100人(特定の団体や読者等)に調査し、「みんなこう言ってる」と書けばいい。
【警句103】生活者調査では、原因と結果を取り違えるな。

【例】企業イメージ調査での「一流」イメージは「様々な企業活動の結果」であって「企業が操作可能な原因」ではない。
従って、「一流」を上げる施策(広告)はない。
「親しみやすい」は…(以下略)
【警句104】調査分析はクロス集計に始まり、クロス集計に終わる。
【警句105】グループインタビュー司会者は300グループこなして一人前。

【補足】新人や素人が見よう見まねでやったところで、「建て前」しか聞けない。
【警句106】調査は「分析3年」「設計8年」。設計の方が難しい。

【参考ページ】■シストラット・リサーチ十ケ条
【警句107】調査設計・実査は細心に、分析は大胆に。

【参考ページ】■シストラット・リサーチ十ケ条
【警句108】分析報告書の主語は常にクライアントでなければならない。

【参考ページ】■シストラット・リサーチ十ケ条
【警句109】(生活者調査の)数字の裏には、血の通った人間がいることを忘れるな。
【警句110】統計解析の乱用は分析者自身を騙す。

【解説】新入社員でも統計ソフトを使えばそれなりの答えが出るが、無理があっても気がつかない。
結果、「日立とソニーは同じイメージだ」という報告書ができあがる。
【警句111】【人のデータ1】同じ数字でも、売上と生活者調査は全く別物である。

売上は1円でも違えば「それが事実」の純粋な数字。
調査データは1%なんて「差」とすら言えない「文章」である。
【警句112】【人のデータ2】目撃者の記憶証言は最大50%事実と異なる。

やってもいないのに10%の人間はテレビ広告を見たと言う。3日前の昼飯に食べたものすべては答えられない。興味のあった商品でも1週間たったら忘れる。
あやふやなのが人間の人間たる所以。売上と同じ数字だと思うと、判断を誤る。
【警句113】【人のデータ3】かといって非言語データや行動データが特別に正しい訳でもない。

人間はロボットではない。一貫して同じ行動を取るのは日常の極わずかな時間だけ。根っこが同じ「人間という存在」なら、等しくブレる
【反復】もう一度いう。生活者調査の数字は売上とは異なる「文章」である。
【警句114】血の通った人間を見てない例。グループインタビューで、なぜ「グループごと」にまとめて分析しようとするんだろう。

たまたま、そこに居合わせた6人なんて、男性の代表でも40代の代表でもないのに。
ひとりひとりの発言を追い掛ければ、その人が何を考えてるのかなんてすぐにわかるし、発言の矛盾もふらつきも手に取るようにわかるのに。
【警句115】生活者に質問をするときは、首を縦に振るか横に振るかにせよ。
一番良いのは相手に答えさせる前に心理を先回りすること。

【解説】異性に「どうしたら、私のことを好きになってもらえますか?」と聞くのは愚問。「食事がいいですか?映画がいいですか?」は次点。
もっともモテるのは「ダリが好きでしたよね?今度、ダリ展にいきませんか?」
【注】あなたがダリが好きな女性が好みかどうかは、この際、聞いていない。

【使用画像】炭焼き 浪漫家
signature



こちらの記事もどうぞ


 
この記事はいかがでしたか? 今後の参考のために教えて下さい。

メールアドレス
(匿名アドレスの場合は
そのまま送信してください)
ご感想 かなりおもしろい
ややおもしろい
どちらともいえない
ややつまらない
かなりつまらない
わからない
コメントがありましたらどうぞ
【ヒミツ】等と書いて頂ければ公表はいたしません。
ご安心下さい。