■人生得する「パーソナル・アイデンティティ」【PI】

顔が違うと中身も違う

アルバイト情報誌の2大誌はフロムAとデイリー・アンです。
本来は、「デイリー・アンとフロムA」と逆に標記しなければならないほど、デイリー・アンの功績は大きいものでした。
アルバイト情報を店先や大学の掲示板の限られた世界から、出版物という広い世界に引きずり出した功労者が、学生援護会の発行するデイリー・アンだったからです。

ところが、現在、この2誌の売上は天と地ほどの差です。

「鬼」と呼ばれる私も、さすがにかわいそうなので言えません。
フロムAが完売しているのに、デイリー・アンは在庫山積み状態。
この原因は、「カ、キンキン」広告でも、発行元のリクルート社の強力な販売力でもありません。フロムAは実に巧みに読者に対して「自分の顔」を作ってきたのです。

販売数量が圧倒的に開き切ってしまった1980年代後半、この2つの情報誌はすでに「おしゃれなフロムA」と「ダサイ、デイリー・アン」というイメージがついていました。実際に両誌同時に利用した企業も、フロムAは「今風の学生」が来るけれど、デイリー・アンは「苦学生」のような古風(?)な人が多いと言い切ります。

では、本当にデイリー・アンのバイトはダサイのか(死語)。
当時チェックしたことがあります。
学生のバイトにそれぞれの募集記事を見てもらい、以下の3つに分類してもらいました。

●ダサイバイト  ●普通のバイト  ●おしゃれっぽいバイト

それぞれ2,000の広告をチェックしてもらったのですが、意外にも結果は同じでした。

フロムA デイリー・アン
ダサイバイト 30% 30%
普通のバイト 50% 50%
おしゃれっぽいバイト 20% 20%

【注】当時の数値資料が残っていないので、私の記憶でお話ししています。ご了承下さい。

なぜ、こんなイメージの差ができあがったのか。
当時、創刊時からフロムAは

「原宿でおしゃれにマヌカン・バイト特集」

のように、強調すべきジャンルを表紙に大書しました。また、デイリー・アンにはなかった巻頭記事コーナーを新設。

「プロデューサーの1日」

というように、当時おしゃれで人気の高かったカタカナ職業を全面に出した編集方針を貫いたのです。

インデックスも「勉強したい人」「お金を稼ぎたい人」といった、ベネフィットを中心としたジャンル分けでした。
一方のデイリー・アンはバイト就職情報誌の草分け的存在として当時「日刊アルバイトニュース」という名が示すように、淡々とアルバイト情報を掲載するだけ。しかも、インデックスは「業種別」「地域別」といった、無味乾燥なものばかり。

バイト情報の中身は同じでしたが、「見せ方」によって雑誌の性格を変えたのです。その結果、売上まで変わってしまった。怖いものです。
まったく同じ事が、ぴあと東京ウォーカーで起こったことは、読者諸兄も記憶に新しいでしょう。

同じものなのに光を当てる場所によって、異なったものに見える。
ここまでくると、イメージではなく、商品そのものが変わるのです。
これは、「攻守ポートフォリオ」という概念でシストラット独自の理論を展開しています。

自分の「顔」を持った男の話

もう一つお話をします。
今度は、商品ではなく「人」の話です。
ある28才のビジネスマンがいました。
当時、彼は「壊し屋」と一部の幹部に呼ばれていました。

入社2年目までは、ある事業部で通常のルーチンワークをこなしていた普通の若者でした。ところが、アメリカの大学出身の履歴がたたり、3年目に米国通商代表部の日本に対する貿易障害クレームに対応して作られたプロジェクト・チームに転部させられました。それから、彼のビジネスマン人生は変わったのです。

1企業のパシリであるのにも関わらず、大蔵省や外務省の役人に対して、また通訳として海外に幹部と同行した先で、アメリカ通商代表に対して喧嘩をふっかけまくる。国家間の会議の場である交渉会議の場で、許可も受けずに発言してしまう(「熱い議論だ」と本人は抗弁していますが)。

普通に考えれば、はねっかえりのトラブルメーカーです。
が、この会社の幹部はそう考えなかったようです。
この若者は、その後、1つの部署に長く落ち着くことはありませんでした。

その代わり、彼はその企業の古くからある体質や体制をぶち壊し、新しい体制ができるまでスタッフとして関わる、遊撃隊のような存在として重宝されたのです。彼の会社は100年近い歴史を誇り、従業員も数万人を越える大企業でした。そして、お定まりの大企業病に犯されていたのです。
彼が活躍する場はいくらでもありました。

なお、彼の会社では皆「古い体質から脱却しなければならない」という意識はあるものの、誰もネコに鈴をつけたがりませんでした。だから、「壊し屋」の異名は「おれたちの代わりにやってくれる。すまんなぁ」という「良い意味」で捉えられていました。

彼自身は破壊的な性格ではありません。
小さい頃から動物が好きで、獣医になりたくてアメリカに渡ったくらいです。
どちらかというと、内的で静的な志向を持っています。が、友人とワイワイやるのも楽しい外的な部分も持ち合わせています。
「壊し屋」という異名は、彼の性格の半分にはぴったりでしたが、残りの半分には全く合致しないニックネームでもあったのです。

さて、そろそろ、自分のやりたいことをやりたくなった彼は一計を案じました。
古い企業の例にもれず、彼の会社の人事制度も「適材適所」とは名ばかりで、「持ち回り」「昇級のステップ」としての人事異動が中心だったからです。

彼の目標は商品開発部。
それまでに、営業マン、販売促進、イベントなどを経験してきた彼は、すでに関西一円のマーケティング責任者となっていました。が、そもそもの商品自体の開発に携わりたくなったのです。

方法は簡単です。「壊し屋」の異名をフルに利用することにしたのです。
定期的に出張で東京の本社に行っていた彼は、商品企画部の部長に会いに行きました。
そこで、彼は商品企画部長に対して喧嘩を吹っかけたのです。

●本社の開発した商品は使い物にならない。
●現地では売りにくい。
●こんな工夫や苦労をしなければならなければ売れない商品は、商品ではない

等々です。
文句を言うだけなら誰にでもできます。彼は、喧嘩の中に「こうすべきだ」という持論を混ぜておいたのは言うまでもありません。

「ふざけるな。おまえなどに言われたくない」

部長が激怒したのにもお構いなし。彼は攻撃の手を緩めません。

「だったら、お前がやってみろ!」
「僕なら簡単ですよ」

部長の言質を獲得するのに成功。
後は、人事部に

「商品開発に行きたい」「商品開発に行きたい」

と、うわごとのように繰り返すだけです。
間もなく、人事部から商品企画部長に話が行きます。

「あいつが商品企画に行きたいと言ってますよ」
「あの生意気な奴にぎゃふんと言わせるから、呼んでくれ」

めでたく、彼は本社商品企画部に配属。そこで、最終的に30近くの商品の開発に関わることになりました。また、会社で最初のブランドマネジャーとして、トータルなマーケティング戦略を担うことにも成功しました。もちろん、彼の発案です。

その後の彼は、どうなったかって?
31才で退職、外資系メーカーやコンサルティング会社を経て、現在独立。自分の会社を経営しています。今はインターネットでメールマガジンを発行するのが楽しくてしょうがない様子です。他の会社はボロボロに批判するくせに、「自分自身の舞台裏」などという自画自賛の記事を書き、仲間うちで、ひんしゅくを買っています(笑)

人を決め付けること - ラベリング

フロムAと若いビジネスマン。これら2つの例に共通するものがあります。
中身とは別な顔を外に印象づけることによって得をする点です。
いや、正確に言えば、まったく別な仮面ではなく、中身の一部に焦点を当て、それを拡大して見せているだけです。
そして、両者とも得をしている事実です。

社会心理学でラベリングと呼ばれる概念です。
透明のビンに赤い液体が入っているだけでは、中身がわかりません。
でも「トマト・ジュース」というラベルが貼ってあれば、例えば「毎日飲むと健康的になる」という理解や連想をするようになります。
見えないラベルをつけ、その人を理解しようとする。
だから、「ラベル付けをする」という意味の名前がつくのです。

「おしゃれなバイト情報誌」「壊し屋」「犯罪者」

これらはすべて他人がその人やモノを簡単に覚えられるよう、記憶収納に無意識に工夫をしたラベルです。ラベリングとは、容量に限りがある「人間の記憶」にできるだけたくさんの情報を詰め込むための人間の脳の工夫です。

人間が楽をするために編み出したラベリンクには2つの特徴があります。

●一旦、ついたラベルは簡単に剥がれたり、書き替えられない
●ラベルを一旦つけると、そこから連想されることがついて回る

前者は当然の結果です。元々、人間は楽をしたいためにラベルをつけるのですから、頻繁にラベルを書き替えていたら混乱してしまうからです。
後者も、人間の脳にとって、極めて合理的な機能です。
というのは、ラベルを残しておけば、その中身を忘れてしまっても、それから連想されることを思い出せば、記憶が(正確ではなくても)甦るからです。

例えば、ある人が社内で同僚を殴ってしまったとしましょう。
周囲の人間は彼に「乱暴者」というラベルを貼ります。
「乱暴者」は例えば以下のような連想をさせてくれます。

●乱暴者は短気である
●乱暴者は人を傷つける
●乱暴者は話し合いができない

乱暴者というラベルさえあれば、こういった連想ができ、

「だから、自分も殴られるのが嫌だから近づかないようにしよう」

と、すぐに結論を出すことができます。
そうでなければ、

「あの人は本当は悪気はなかったのではないか」
「悪いのは実は同僚なのではないか」

等、様々なことに対して情報を集め、分析し、結論を見い出さなければならなくなってしまいます。

人間はそういうものではない。真実を知らなければならない。
そんな議論はヒューマニズムとして大切ですが、

「いちいち、時間をかけていられない」
「記憶容量に詰め込まなければならないことは他にたくさんある」

は、脳が本能として人間に命令していることです。
人間の脳とは実に合理的にできています。

この2つのラベリングの特徴を利用したのが、冒頭で上げた事例です。
例えば、若いビジネスマンは「壊し屋」だから、

●多少、破天荒でも仕方がない・それでなければ勤まらない
●多少、無礼でも許せる・そんなヤツでないと壊し屋はできない
●間違ったことは言っていないから、腹は立たない

という関連イメージを周囲や幹部が持ち合わせていたのです。

ですから、利己的な理由で上司に喧嘩をふっかけても、どこかで、「しょうがない」と許す気持ちがあるのです。
そうでなければ、「あんなヤツに引っ掻き回されてたまるか」「上司を上司と思っていないヤツ」と評価されてもおかしくはありません。

「役割」がはっきりすればするほど強いものになる

社会学で言うところの「役割」という考え方を加味すると、ラベリングはもっと身近な考え方になります。

人間はどこかで自分の役割を意識している。それがないと不安になります。

例えば、男女関係で聞く台詞は「俺は(私は)あなたの何なの?」です。

この場合、もちろん「もし私があなたの恋人でなければ(=遊び相手なら)腹が立つ。別れる」という意味がある場合がありますが、「それならそれで、自分の行動や態度、相手に対する気持ちの持ち方を変えたいから、教えて欲しい」というケースもあります。これは、自分の役割を持とうとする欲求です。

さて、人間、役割が与えられないことほど辛いものはありません。
要するに、集団の中で埋もれてしまい、誰にも相手をされないことです。
役割がないのは辛い、ならば自分で役割を作ってしまう。
人間の自然な行動です。

小学生低学年や幼稚園児を1つの部屋で遊ばせると、自然とリーダー格の子が出てきます。これは、周囲の児童が彼に役割を与えたのではなく、自分がリーダーとしての地位を表明し、周囲が認めたからです。
大人でも、合コンやオフ会(インターネットやパソコン通信仲間の実際の集まり)でも、リーダー、参謀、補佐、一般大衆などの役割が次々と生まれます。もちろん、覇権争いもあったりしますが(笑)

普段、普通に暮らしているならば、「自然発生の役割分担」で問題はありません。
しかし、それでは困る時もあります。
例えば、競争下状態の時です。
学生ならば就職面接、ビジネス・パーソンなら出世競争や顧客対応です。

これらの場合、「自然にこうなった」役割では不足することがままあります。

「俺は出世なんか関係ない。自分の好きな仕事ができれば満足なんだ」という人も、その「好きな」仕事が回ってこなければ何にもなりません。
冒頭の若者は自分のやりたいことができれば満足という性分です。
一見危ない説得の仕方も「壊し屋だから、あいつならしょうがないよな」という上司の彼の位置づけを計算したからこそ成立した方法です。

競争にせよ、やりたい仕事を手に入れるにせよ、考えなければならないことがあります。
誰でもできることは、誰でもいい、という大原則です。
例えば、部内で消費者調査をそこそこ実施できる人が10人いれば、上司にとって彼らは全部同じに扱われます。10人に対して同じ役割しか与えられませんし、ある個人だけがその「役割」を獲得(独り占め)することはできません。

でも、もし、ある人が他の9人よりずっと正確な分析ができたり、自分だけの手法を持っていれば、話は変わります。彼に対して「個別の役割」が与えられる可能性が出てきます。

バーソナル・アイデンティティは「ラベリング+役割」

「人を決め付ける」ラベリングと「自分しかいない」役割を合わせると、強力なポジションが得られます。

これをCI(コーポレート・アイデンティティ)をもじって、パーソナル・アイデンティティ(PI)と呼びます。

コーポレート・アイデンティティは一時期大流行しました。

草分け的な存在のミノルタでは、単に会社名のデザイン(ロゴマーク)を変えただけでした。その後、CIが広がるに従って、社内改革、意識改革を初めとして、事業範囲の見直し等、広範囲をカバーしたのは記憶に新しいことと思います。

ビジネスの世界を離れても、アイデンティティという言葉は私たちの身近に転がっています。
IDカードは正にその所有者を特定するものだし、アイデンティティの欠如などと新聞でも使われています。

このアイデンティティという言葉は、要するに「個人を特定するしるし」つまり「他人にないポイント」です。その人と他の人とを区別する要素だというわけです。

そうなると、サラリーマン時代から常々、思うのですが、会議などで「この商品は差別化が必要だ」とがなり立てる割には「じゃあ、どうするの」という答えを言わない人に限って、個性(PI)がありません。いや、「会議でうるさい」という個性は有り余るほどあります。でも、

「企画書を書かせたら一番おもしろい、早い」
「若者の流行について話させたら、何時間でも止まらない」
「根回しをさせたら部内で右に出る者がいない」
「販売店回りをさせたら、おばちゃん達にとんでもなく人気」

といった、仕事の生産性に直結した個性(PI)がない人が多いのです。

すると、どうも、アイデンティティには「がなりたてるだけ」のような「使えないアイデンティティ」と「生活者のことを語らせたら、部内一」というような「使えるアイデンティティ」の2種類がありそうです。

使えるアイデンティティをどう作るかについは、自分を切磋琢磨し、勉強しなければなりませんが、ここでは、一見使えなさそうだけど、光を当てる場所を変えることで「使えるアイデンティティ」を作る方法をご紹介します。
もっと簡単に言えば「あいつは、●●なヤツだ」というイメージを作ることです。
身近な例で言えば、友人グループや趣味のグループ、はたまた、部活やインターネットでのオフ会等など、PIが応用できる範囲はかなり広いのです。

PIの作り方の基本 - DCCM理論

PIをどう決めれば良いのか。
マーケティング戦略理論の考え方が応用できます。
マーケティングは、生活者に対してたくさんある商品の中から、どう効果的に自分の商品を選んでもらうかをテーマとした科学です。従って、「自分」を商品として冷たい目で見ることができれば、効果的なPIを作ることが可能です。
ここからの後半部分では、その実践ポイントをお話します。

シストラットのオリジナル理論の1つにDCCM理論があります。
本来は商品コンセプト(セールスポイント)を決めるためのチェックポイントとして使うものです。別な言い方をすれば、「どうやったら人を納得させられるか」の必要充分条件ともいえます。
それをPI作りに利用しようというわけです。

DCCMとは、下のそれぞれの要素の頭文字を取ったものです。

差別性(D):Differentiating
優位性(C):Competitive
説得性(C):Convincing
市場性(M):Marketability

細かい説明はホームページを見ていただくとして、これを簡単に言えば、

あなたが作ろうとする自分のPIは
他人と違うことで、
他人より優位な点を
嘘っぽくなく演出し、かつ、
それが多くの人にとって意義がある

条件すべてを合わせ持つことが重要だ、ということです。

【DCCM理論のホームページを読む】

インターネットの掲示板(BBS)で練習するために

読者の皆さんが練習する時はインターネットの掲示板にしてみましょう。
職場や就職活動、部活を対象としても良いのですが、まっさらな状態からスタートできるので、みなさんもやりやすいでしょう。

現在、出会い系メールマガジンやホームページが人気なので、それを対象にしようとも思ったのですが、残念ながら私は妻帯者ですので倫理上の観点から自粛いたします。でも、基本は同じですから、皆さんは出会い系で試してみるのも一つの手です。

質問が来る前にお答えしておきますが、私は掲示板やNiftyのパティオ等のプライベートではあまりPIは意識しません。それらは私にとって利害関係がない唯一の場なので、気楽に接するようにしているからです。素の自分である「変な人」(笑)がそのまま表れています。

また、注意点として繰り返し強調しますが、PIとは新しく作るものではなく、自分の中にある一部のものを拡大して、あるいは集中して見せるということに他なりません。ですから、例えば、ウソはいけません。また、「今までにない新しい自分」でもありません。

実際の4つのステップ

実際の作業ですが、ステップとしては4つしかありません。

●リストアップ ●変換 ●優先順位づけ ●まとめ

の4つです。それぞれ、順を追って説明しましょう。

リストアップ

まず、自分の良いところ、悪いところを上げられるだけ上げます。
それぞれ30個以上、合計60個は欲しいところです。
使うのは1~2個なので、そんなに必要がないように見えます。
が、人間なんて最初に出てくるようなものは「当たり前」で「つまらない」ものが多いものです。本当にキラリと光るものは、「うんうん」唸った末に出てくることが多いのです。

リストアップする前に、事前訓練をしておくのも悪くありません。

「私は●●です」

という文章を20個以上、3分以内にリストアップします。

●●の中身はなんでも結構です。例えば、私の場合、以下のようになります。

「私は男です」
「私はコンサルタントです」
「私は頑固です」
「私は頑張り屋です」
「私は女性にもてます」(笑)
「私は世界一のコンサルタントになるつもりです」

これも簡単に見えますが、10個を過ぎるとだんだんきつくなります。
一般の方は3分間に20個上げられれば立派です。広告代理店の営業などのセミプロは30個が合格ライン。プロのクリエイター、企画マン、コンサルタントなら40個は欲しいところです。

変換

「良いところ・悪いところリスト」の話に戻ります。
リストを作ったら、次に、それぞれの悪いところを「良いところに変換できないか」と考えます。
ことばを変えるのも一つの手です。
例えば「頑固」を悪いところに入れていたとすると、「一途」というように単語を変えてみる。いつもと違う自分が見える可能性が高くなるというメリットも生じます。

優先順位づけ

良いところのリストを対象に、優先順位をつけます。

これは、あなたが属するグループの中で「価値がある」と思われるもの、を基準にABCランクをつけるのです。DCCM理論でいう「優位性」です。
目安を上げておきましょう。

【価値Aランク】 かなりの人気者になる要素
【価値Bランク】 1つでは無理だが、3つ以上あれば、そこそこの人気者になる要素
【価値Cランク】 あっても悪くはないが、なければないで構わないもの。

次に、差別化要素の優先順位をつけます。
それぞれの「良いところ」について、あなたが属するグループでの希少性に従ってABCランクをつけます。例えば、「優しい」は「価値Aランク」としましたが、そんな人がたくさんいるBBSでは、「差別化Cランク」です。DCCMで言えば「差別性」です。

【差別化Aランク】 ほとんどそういう人がいない
【差別化Bランク】 皆持っているが、自分のほうがレベルが高いもの。例えば、皆、それなり論理的な話はできるが、自分の論理性には勝てない等。また、一部の少数の人たち(10%以下)が持っているもの
【差別化Cランク】 そのグループの40%以上の人たちが持っているもの

すると、以下のように表ができあがります。

差別性
価値のあるもの
【Aランク】
【Bランク】
【Cランク】
【Aランク】
【総合A】
【総合A】
【総合B】
【Bランク】
【総合A】
【総合B】
【総合C】
【Cランク】
【総合B】
【総合C】
【総合C】

総合ランクで【A】の項目が、あなたの目指すPIの方向性(コンセプト)です。

連想ゲームがPIを支える

後は、それをイメージしてもらうために、どういうことをしたり言ったりする必要があるか、を考えればおしまいです(これが、DCCM理論で言う説得性です)。

例えば、「理知的でとっぽい」があなたのPIだとすると、BBSのレス(返事、書き込み)では、前半を端的な論理で締めるけど、後半で「ひとり突っ込み」のギャグをかます、というやり方を常にするように心がけます。
また、他の方と同じような意見しか出ない場合は、レスをしないでやり過ごし、あなたしか言えないことしか発言しない、というのも有効です。
これを続け「このテーマは森さんの出番だよぉ~」等と、他の方からお呼びがかかるようになれば、あなたのPIは完成です。

そのためには、「理知的でとっぽい」人はどういう行動や言動を見せるのか、がわかっていなければなりません。もちろん、あなたは大なり小なり「理知的でとっぽい」面を持ち合わせていますから、あなたの行動の一部ではあります。ただ、人間ですから別な面も持ち合わせていますので、あなたの行動イコール「理知的でとっぽい」訳ではないことに注意しなければなりません。

ルールやシステムは定着させるエネルギーが、作るエネルギーの3~4倍必要です。最初は辛いですが、もともとはあなたの一部分を拡大しているだけです。すぐに慣れるでしょう。

頑張ってください。
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