■コンサルタント日記【コンサルタント】

光

某月某日 マーケティング・ヲタク?

先日、あるメーカーの担当者の方へ新しい価格調査手法の話をしていました。この手法は日本でも私がトップクラスの臨床数を持つものですから、かなり使い込んでいます。いわゆるノウハウというヤツです。

表向きは非常に簡単な質問と分析なので普通は10分程度の説明で終わりますが、担当者のお二方はかなり興味を持ったようです。様々な質問が飛んできました。私はそれに対して逐一説明する。

ふと気がつくと、90分間のミーティングは終始その手法の説明だけで終わってしまいました。いやはや、私のこの手法を15年間も使っていますが、こんなに長い時間説明したのは初めてです。

軽い疲れとともに充実感たっぷり。
経営者としてはこんなことで満足しては本当はいけないのでしょう。仕事にしなければならないのですから。

ふと以前のコンサルティング会社にいた時に同僚から言われた言葉を思い出しました。

「あのさぁ、森さんって、マーケティング・ヲタクって呼ばれない?」

へ?パソコン・ヲタクとか映画ヲタク、はたまた PDA(ザウルスのような携帯情報端末)ヲタクやゲーム・ヲタクなどと呼ばれたことは数知れずありますが、マーケティング・ヲタクは初めて。

「だってさぁ、森さんの仕事の仕方を見ていると、マーケティングが好きで好きでしょうがないって感じだもの。
やっぱりヲタクということばが一番ぴったりだよね」

1ケ月400時間以上も仕事をしている彼には言われたくないセリフですが(笑)、思い当たる節は多々あります。私はこの仕事が好きですもの。

ヲタクといえば、コンサルタントになるにはヲタクではいけないと勘違いしている方が結構います。確かにコンサルタント、特にマーケティング分野は「公平、等距離感覚で物事を見る」必要があることは事実です。

しかし、「広く、浅く」ではやっていけないのもまたコンサルタントです。
昔、面接でしていた質問のひとつに次のようなものがありました。

「2時間以上、人に話ができるテーマはありますか?」
「それでは、30分以上話ができるテーマはいくつありますか?」
「それぞれ、どんな話題でも結構です。たとえ風俗の話でも」

人間、意外に2時間以上独演できるテーマなんてなかなか持っていないものです。
ただし、ヲタクと呼ばれる人にとっては2時間なんてお茶の子さいさい。3時間でも4時間でも足りません。
そう、コンサルタントは何かのヲタクでなければならないのです。1つのことを深く知っている、体系立ててものを考えたことがある、体系だった知識を持ったことがある。コンサルタントにとって重要なのはこの点です。

なぜか。
クライアントの大半の方たちはその業種一本槍です。
そんな人たちの気持ちや心理が分からないと、人(クライアント)を相手にするコンサルタントはやっていけないからです。

もうひとつの理由は、深く体系だった知識や経験がないと、戦略や分析報告書も薄っぺらいものになりがちだからです。

たとえ自分の得意となる業種が違っていても、クライアントの業種に詳しい知識がなかったとしても、双方の神髄は似通っているものです。その「ココロ」が分かるのと分からないのとでは、微妙なところで戦略の立て方やクライアントへの説得の仕方が変わってくるのです。

ちなみに、30分以上話せるテーマは「広く、浅く」の分野に当たります。だから、これは数が勝負という訳です。

マーケティング・ヲタクは私にとってはありがたい称号なのかも知れません。

某月某日 雪印問題

搾乳ここのところ、ビジネスで人と会うと必ず出てくる話題が雪印の問題です。
ビジネスの場合、クライアントや仕事仲間の問題意識は多種多様なので、ここまで同じ話題が頻繁に出るなんて珍しいことです。神戸震災の時に「関西の経済はどうなるのか」といった話題より頻度は多いでしょう。

大半は「危機管理ができていない」「社長の対応がまずかった」という相手のコメントに私がコメントを返すといった雑談レベルで終わるのですが、先日はプロの後輩から一歩突っ込んだ質問が来てしまいました。

「雪印はどうなると思いますか?企業として存続できるのでしょうか?」

微妙な話題なので、読者数15,000人の公共の場では個人的な感想のご披露すら控えます。
私もメーカーにいたことがあるだけに同情と批判が交差する心境ですが。

生活者心理をベースにした私見を述べた後で、一言。

「…で、大事なのは『雪印がブランドとして存続する場合、どんなシナリオが考えられるか』ということだよね。
特に、我々のようなコンサルタントだとこの視点からの思考訓練は大事だよ」

普通の人たちとの会話と大きく違うのが、「様々な選択肢を上げ、可能性の高い順から優先順位をつける」という点です。

普通は

「こうじゃないか」
「いや、俺はこう思う」

の応酬で、「どちらが正しいか」的な議論になりがちです。
そうなると良くあるのが、無駄な議論が続いたり、考えではなく事実の推測に話が終始してしまうことです。

「ブドウなんたらかんたら…あれ、ブドウ糖なんたらかんたらだったっけ」
「いや、あれは球菌なんたらだったはずだよ」
「違う違う、確かウィルスだ」

そんなことは調べればすぐに分かることですから、議論するような内容でもないし、第一、時間がもったいない。
一方、プロ同士だと「どちらも正しい」という発想で話を進めます。
これが私たちの普段の発想訓練です。

某月某日 本の執筆・・あれ?ソニー?

テレビ先日、メールマガジンの書籍版の出版が決定したことをお知らせしました。
それだけでなく出版社から様々なオファを頂いています。
大変嬉しいことです。
そのうち1冊は以前書いたマーケティング書の改訂版ですから負担はありません。でも、それ以外にもまだまだあります。

友人の経営コンサルタントが年間4冊も執筆しているのを見て「量産しすぎだよなぁ。クオリティを維持するのも大変だろうし」などと言っていたのですが、私がそうなりそう…(^^;

ああ、敬愛する Surfriderさんのように、メールマガジンの記事1本をたった1~2時間で書けるようなスピードがあれば何の問題もないのですが。そのためにシャープ・テリオスという WindowsCE 機を買ったのです。でも、間に合わないかも知れない…とうとう自宅にパソコンを入れなければならないハメになるのか。

シャープといえば、知らない内に個人用の機械はシャープ製品だらけになってしまいました。ザウルスは初代から使っていますし、PHS も初代のシャープ機からのユーザー。とうとうテリオスまでシャープ。こうなってみると、それぞれを組み合わせてデータ交換が容易だったりケーブル類が共有できるので、便利な環境になったものだと喜んでいます。
でも、それぞれの商品を買った時はシャープ製品であることを意識していませんでした。厳密に自分のスタイルに合ったスペックを比較して買った結果なのです。

一方、ソニー製品はまったくありません。
スペックが私のビジネススタイルにまったく合わないからです。
今まではそれだけでしたが、イヤなことを聞いてしまいました。

DIMEだったか、日経トレンディだったかで、携帯情報機器の特集記事がありました。ソニー VAIO C1 という携帯機種が「連続使用時間が短い」との編集部の意見に、ソニーのコメントが掲載されていました。

「情報機器を携帯するなんて単なる幻想です。実際は室内で使うことが多い。
だから、1時間の連続使用で十分です」

うーん。唸ってしまいました。
ソニー VAIO C1 のカタログには65枚の写真が使われていますが、そのうち屋外が63枚。室内が1枚、そして不明が1枚なのです。
それを幻想というなら生活者を手玉に取ったような話です。

自分たちで「屋外で使おう」と提案していながら、それに魅力を感じソニーについていこうとした生活者に、「そんなの幻想だよ」と陰で言い切って梯子を外すような言動をする。

この一言で、私はソニーという会社に疑問を持ってしまいました。
だって、ソニーなら言いかねない。そんな高ビーな社風を感じるからです。

私のビジネススタイルに合わないというだけで、ソニーの技術者はいい仕事をすると思っています。でも、製品を商品に仕立て上げる企画や広報の人間が水準の高い製品の上にあぐらをかいて、生活者を手玉に取っている。疑問が沸かない方が不思議というモノです。

今回はたまたま一部の人間(雑誌読者)にしかバレなかったし、カタログの写真に気がついた人も少なかったことでしょう。この発言がソニーの売上げに対して大きな影響にはなりません。でも、そういった姿勢で仕事をしている限り、いつかどこかで大きなボロが出ることでしょう。

メルマガの読者にはソニー・ファンは多いので、読者の声が怖いですが(笑)

ありゃ、本の執筆の話からソニーの話になってしまいました。
連想というか、発想のふくらみというか。いつもこんな感じであっちこっちを飛んでいる森です (笑)

某月某日 ファイナルファンタジー9

FF9ああああ、ず、ずるいぞ、スクウェア。
せっかく、ファイナルファンタジー9(FF9)は買わないでおこうと思ったのにぃ。
FF7とFF8の出来があまりにもひどかったので、FF9なんか買ってやるか、と心に決めていたのにぃ。
何ぃ?
「FF9はシリーズ番号一桁の最後なので、原点に戻る」だ?
黒魔道士の復活だ?
クリスタルが戻ってきた?

ご丁寧にも、テレビ広告では過去のFFシリーズの画面がフラッシュバックしただけではなく、大好きだったのにシリーズ途中で消えた、あのテーマミュージックをかぶせるなんてあんまりだぁ。

しかもコピーが

「ファイナルファンタジーであること」

懐かしいあのワクワク感が戻ってきてしまったではないか。

離れ始めたマニアの心をくすぐって戻すなんて、FFシリーズの生みの親で育ての親、坂口信博氏、うますぎる。

データもなくマーケティングという科学に関係なく肌で感じてターゲットの心をさぐる。彼は天性のマーケターと認めなければならないかも知れません。
いや、彼から見ればマーケティングなんて関係ない。外部の人間が勝手に自分たちの土俵のことばで勝手な称号をつけているだけなのかも。
優れたクリエータは理論を肌で感じるマーケターであることを、またもや教えてくれました。

早速予約して7月7日に買った肝心の中身ですか?
FF9は、まごう方なきFFシリーズでした。やっぱ、このシリーズはストーリーテラーの冒険活劇でしょう。余計な心理描写は似合わないし、慣れないことはやってはいけないのですよ、坂口さん。ね。

立て続けに発売されるFF10ですか?
買います、買います。
でも、また梯子を外されるんだろうなぁ。
うう、悪女に魅入られた男のように、インキュバス(淫魔)にだまされると分かっていてもフラフラっとついていってしまう自分が情けない(笑)

さあ、8月はドラクエ7です。
あ、読者の皆さん、すみません、思いっきりマニアしていて…(笑)

某月某日 キリン生茶

お茶ボトル森の普段の生活で、雪印の話題の次に出てくるのがキリン「生茶」の大ヒットの話題です。
特にキリンは生茶ヒットの裏に午後の紅茶の地滑り的売上減があるので、そのあたりに詳しい人との会話では注目を浴びやすいテーマです。

また、このテーマはビジネス関係だけでなく、プライベートでのつき合いでも話題になりやすく、私の格好の私的インタビューのマトになります。
つい、先日も生茶が大好きというOLさんと話をしていました。
彼女は「とにかく味が違う。おいしい」と回答。

しかし、生茶は目隠しテストをしても分からないという情報が入っていました。私が関わった調査ではないし、当のキリンが実施したかどうかも分かりませんので、どんな状況だったのかは知りません。歪んだデータなのか、データの読み方を間違えているのかも知れません。
しかし、目隠しテストで銘柄が分からないというのは良くあることです。

たばこやビールなど、様々な食品は目隠しテストでは味の違いが分かりません。唯一、セブンスターよりニコチン・タールが高い銘柄を吸っている人たち(例えば、ピース、ショートホープなど)は目隠しをしても一発で自分の吸っている銘柄を当ててしまいます。

一方、軽いたばこ、例えばキャスターやマイルドセブン・スーパーライトの喫煙者は自分がいつも吸っているたばこなのに散々「まずい」と文句をつけてくれるのです。おまけに「キャスターはフィルターにこんな穴は開いていない(本当はしっかり開いています)」と主張する。思いこみというのはおもしろいものです。

そのOLさんと生茶の話をしていると、目の前の生茶がぬるくなってきました。それを一口含むと確かに味が違います。生ぬるい生茶は他の緑茶飲料と比べて味の差がはっきりわかるのです。

500mlのペットボトルは冷たいものを一気に飲むものではありません。だから、ぬるくなった時の味がその飲料の味です。もしかしたら、先の目隠しテストは冷たいままの生茶と他の緑茶飲料を比較しただけなのかも知れません。

味覚テストでは、冷たいものとぬるいもので条件を変えて調査をするのは私にとっては「いつもの方法」です。しかし、昨今の予算が厳しい味覚調査ではそのプロセスを省くことがあるのかも知れません(キリンは調査にしっかり金をかける社風なので考えにくいことですが)。
もしかしたら、生活者はぬるくなっても実は味が分からないのか。いつか検証できればおもしろそうです。

広告は評価していませんが、一緒に買った「桃の天然水ソーダ」の方がお気に入りになってしまった森でした。

某月某日 勘違い人(びと)

読者の声といえば、先日、ある方から記事に対するコメントを頂きました。ファミレスの接客がテーマの記事「サービス悪けりゃ、命取り」についてでした。
彼曰く「こんなんじゃ生ぬるい」と一刀両断。ある牛丼店でひどい接客に出会ったそうです。怒り冷めやらぬ感情バリバリのコメントでした。八つ当たりともいいます(笑)

感情的な読者コメントはこのメールマガジンでは珍しいことです。
たばこをテーマにすると、

「死ね!」
「森は人間じゃない」
「人殺し!謝れ!」

と、とても公表できない誹謗中傷が届くことは多々あります。それでも一方で、

「たばこは好きじゃないけど、記事はおもしろかった」

といった大人の読者が多く、私は本当に読者に恵まれているとしみじみ思います。

冒頭の人については、その後が考えさせられる点でした。
彼によると、その飲食チェーンに苦情を言おうとしたところホームページがなかったので、たまたま検索エンジンで発見した私の記事を見てコメントしたとのこと。八つ当たり先を探していた先に丁度私のメルマガがあったというわけです。

それだけならまだしも、彼は、

「マスコミの一員として、あんな店は潰してやる。色んなところに悪口を書いてやるのだ」(要旨です。原文ではありません)

と付け加えていました。

うーん。確かにくだんの牛丼チェーンは全国組織でもなく、接客はとうてい誉められたものではありません。でも、私憤で潰されるチェーン組織がかわいそうと言えばかわいそうです。
ここで考えさせられる点がいくつか。

●私のメールマガジンでも常に心がけていますが、(企業や業界を)批判するときは個人感情を抑えることは大事なことだ。
●立派なマスコミの一員なら、私のメールマガジンのようなちっぽけなところに投稿するよりも、自分のメディアを使えばいいのに。
それをしないということは大したことないメディアかな(笑)
いや、やはりそんな個人的感情を記事にするのをストップする安全弁がその会社でも効いているのかしら。
●ある全国新聞の記者をしていた叔父に聞くと、彼らの基本姿勢は「私的感情」だとのこと。
それによって、辛辣にも書くし同情的にも書く。
ただ、一般人と違うのは「ジャーナリズム」という基本概念があること。
無為な個人的感情を押しとどめ、どこまで一般大衆の気持ちをくみ取ることができるかという安全弁のようなものだ。
しかし、それを勘違いしている同業者も多い。
●このコメントを書いた方がどんな方か知りませんが、その牛丼チェーン店が「本当に潰される」可能性もあるわけですから、権力というのは怖いものです。
しかし、そんな権力を持つ自分が偉いと思いこんでしまう人間はもっと怖いと心底思います。

やれやれ、私は社会的影響力も何もない一介の中小企業のオヤジでよかった(笑)

某月某日 痴漢えん罪

過去記事の後日談をひとつ。
99年9月の記事(「求刑1年6ケ月執行猶予4年」の迷惑行為)で、痴漢をテーマに取り上げました。

その後、よく見かけるのが痴漢えん罪の報道です。
ある男性が痴漢の嫌疑をかけられたものの、裁判に勝ったことが大きなきっかけです。それが大きく報じられ、えん罪の存在がクローズアップされたという訳です。

検察側が控訴しているので彼の無罪が確定したわけではありませんが、少なくともえん罪があり得るということを強く社会(罪のない男性)に印象づけた結果になりました。

その中で、痴漢被害をネタに示談金という名目で金をせびる女性達の存在も明らかになってきました。
過去記事で上げた女子高生のように、その場で交渉するだけなら数万円ですが、弁護士を通じて数10万円単位の示談金を請求する。女性2人組で一方は被害者役、もう一方は目撃者役の役割分担をする。携帯電話を注意された腹いせに、痴漢として警察に通報し逮捕させてしまう。
その流れは着実に顕在化し、巧妙かつ大がかりになりつつあります。

もちろん、一方で、実際に被害にあった女性が大半なわけですから、これらの確信犯の女性達の行動は、本当の被害者女性に対する侮辱とも言えるものです(誤解していただきたくないのは、私は本当の痴漢をかばっているわけでも、女性全体を非難しているわけでもないことです)。

個人的には警戒心と憤りを感じますが、社会学的に見ればこういった動きが発生するのは自然なことです。道徳的な問題さえなければ、手軽に金が入ってくる。えん罪をかけられた男性が職を失おうが家庭崩壊になろうが、赤の他人なら罪悪感はありません。

ましてや、彼女たちの大半は程度の差こそあれ、痴漢の被害にあったことがあります。
特定個人への恨みはなくても、痴漢に対する恨みはある。

万が一、ちょっとでも罪悪感があるのなら、男が手出しをするようにし向け、下着に手が入ったところで騒ぎ立てればよい。こうなったら、えん罪ではなく立派な犯罪ですから(実例報告も公表されています)、金をふんだくることに対する罪悪感なんて気にすることはない。

彼女たちが自分を正当化する材料はいくらでも転がっています。
合計100万円を稼いだある女性から話を聞くと、

私は世の中を正しい方向に導いているだけです。誰かが立ち上がらなければいけない」

1人数万円、何人もの「加害者」から都合50万円の売上げ(?)を上げた女子高生いわく、

「いいじゃん。ちょっと触らせれば楽して金が入ってくるんだし、オヤジから見れば目くじらたてる金額じゃないよ」

とステレオタイプそのままの回答でした。彼女は実被害派。
同じく50万円を数人から受け取ったある女性は

「積年の恨みを晴らしているだけです。
『痴漢』という存在に対する正当な慰謝料です。
満員電車の男なんて大なり小なりみんな痴漢ですから、その人が痴漢をしたかどうかなんて関係ありません」

と言い切っています。

こうなると、「逆恨み」ととるか「同じ男性として申し訳ない」と謝るか。
後者はアジア圏の国民に対して戦時中の日本軍がひどいことをしたので、今の日本がその罪を償うという感覚です。

女性専用車両新設・増設への要求は被害者である女性からだけでなく、男性から提案される可能性も出てきました。この動きがもっと大きくなれば、フレックス制も増えるでしょうし、時差出勤の動きが促進される可能性もあります。

社会のルールや構造が変われば新たなビジネスチャンスも生まれます。マーケティングの方向が変わる企業や業界が出ても不思議はない。
痴漢はまだまだ目が離せないテーマです。

ちなみに、無罪を勝ち取った男性は裁判費用に500万円の私費を投入しています。えん罪に勝訴した場合は国に対して費用還付の請求ができますが、殺人事件ですら滅多に適用されない制度ですから、痴漢「ごとき」では難しいでしょう。

某月某日 コンサルタントの営業活動

アイスクリーム今日、ある企業から初めての電話がありました。
とはいうものの、この企業の人たちにお会いするのは初めてという訳ではありません。

数ヶ月前にある企業のプロジェクトを手がけました。
その結果に満足した担当者から

「こんなやり方もある、ということをグループ企業にも伝えたい」

と言われ、彼の要望に従って何回もプレゼンテーションをしました。
その中に出席していた1人がちょうど同じような問題意識を持っており、自分の会社でもやってみたいから相談に乗って欲しいという趣旨の電話でした。

コンサルタントをしていて嬉しい瞬間はいくつもありますが、このような経路でプロジェクトが繋がるのは、最も嬉しいことのひとつです。

最初のおつき合いでは、私の実力も分からないし、どんな報告書が出てくるのか想像もつかない。
人類で初めてナマコを食べる人のようなものです。勇気があるというか偉いというか。私自身クライアントの経験があるだけに、担当者の気持ちや不安はよく分かりますから、感謝の気持ちで一杯になります。

一方で、2回、3回とプロジェクト発注が続くクライアントやこういった形で広まるクライアントの場合は、すでに私の実力なり成果なりを確認した上での話ですから、別な嬉しさがあります。

初めてのお仕事ではクライアントの担当者が偉いと思います。
でも、2回目以降は自分が偉いと思うのです(笑)

もっとも、私の会社のような小規模なコンサルタント企業はマッキンゼーといったトップ企業とは同じ戦略は使えません。本をどんどん書いてプレステージを上げ、社長達にアプローチをして営業をする。そんなトップダウン方式を真似ることは、企業体力がないのにトヨタと同じような車種を揃え、同じように一般大衆に売ろうとするのと同じです。

それよりも、1つ1つのプロジェクトの質を高めることの方が圧倒的に営業効率が良いのです。
報告イコール営業なのですから、私にとっては無駄がありませんし、クライアントにとってもリスクがない。

ところで、時々、こんな質問をされます。

「森さんのところはどんな営業の仕方をするのですか?」

回答すると、クライアントのリピーターが年間総プロジェクト数の70%近くを占めます。

新規についていえば、クライアント同士のクチコミ。これが意外にあるのです。
まったく関係のない業種同士での情報交換です。あるパソコンメーカーの人からの推薦で、食品メーカーから相談の電話がかかってくる。
新規クライアントのうちの40%近くがこういった経路から発生します。

残りのほとんどが、デザイナー、印刷会社、プロモーション会社などからの紹介です。
彼らは企業に出入りしていることが多い訳ですが、時々、クライアントからの相談があります。

「こんな人を捜しているのだけど、誰か知りませんか」
「あ、だったら森さんという人がいますよ」

彼らと営業契約を結んでいるわけではありません。純粋な紹介です。
どういうことか。あるデザイナーのことばを借ります。

「森くんが戦略企画を作ると、僕の仕事がものすごくやりやすい。
筋道がきちんと立っているし、消費者の心理や具体的描写が目に浮かぶように記述されているから、デザインを作るときにイメージが湧きやすいんだよね。

森くんも知っているように、デザインで良くあるパターンは、僕たちがコンセプトに従ってデザインしても、クライアントがそれを忘れて好き嫌いで決めたりすることだよね。
森くんの戦略企画書なら、それに立ち戻って『こうでしたよね』と確認すれば、クライアントも『あ、そうだったね』とすんなり認めてくれる。

そういう意味でも僕らの仕事が楽になるし、それだけいいデザインを作ることに集中できるのが大きなメリットだよ。だから、紹介料なんて要らない」

ちなみに、普通のコンサルタントの営業は講演、研修、書籍、雑誌への寄稿などです。
以前所属していたコンサルティング会社では飛び込み営業も大きな方法でした。むしろ、主体といった方がよいほど飛び込み営業経由の売り上げが大きかったのです。

個人的には飛び込み営業は好きな方法です。適度な緊張感があるのは楽しいものです。
さすがにシニアコンサルタントという立場では電話営業から1回目の接触くらいまでは若手に任せましたが、それ以降の営業プレゼンテーションやミーティングは進んでつきあっていました。

しかし、独立するとなかなかうまく行きません。

「社長が飛び込みで来るようなところだから仕事がないに違いない。
つまり質が低いところに違いない」

と思われてしまうからです。

アイスクリーム屋さんの行列のようなものです。「客が並んでいるからおいしいに違いない」。
コンサルタントとアイスクリーム屋さんが同じ基準で判断されるのも悲しいものですが(笑)、そういったクライアント企業が多いのも事実だし、アイスクリーム屋さんレベルの「なんちゃって」コンサルタントも多いですから、無理もありません。

また、私には守秘義務契約を結び過去に手がけた事例を絶対に公表しないという哲学があるので、営業した先の企業が私を信用しきれないのも原因のひとつです。

「森さんの話はよく分かった。守秘義務があることも分かった。
でも、過去に似たような実名事例があれば、仕事を依頼できるのだが(そうでなければ、今回はなかったことに)」

と言われるとこんな風にお話しします。

「例えば、御社の仕事をしたとしましょう。もちろん、守秘義務契約書を交わしています。その後、私の営業ツールとして、御社プロジェクトを他社に解説したらどう思いますか」

「いや、それは困ります。異業種であっても。第一、契約違反です」

「私がここで他社事例をお話しするというのは、それと同じですよね。
せっかく私を信用してプロジェクトを依頼したクライアントに対して失礼ですもの。
ということで、申し訳ありませんが、実名事例はご容赦下さい」

正直いえば、私は厳密にやりすぎている部分もあることは自覚しています。
私の会社では、間接費用を含めると守秘義務を守るために年間300万円程度をかけています。企業規模から考えるとかなりの費用です。

その一方で、以前の同僚が独立した時は、私のチームが手がけて大ヒットした商品の商品開発プロジェクトの報告書をごっそり持っていき、実名どころか内容そのものを閉鎖型セミナーで洗いざらい話してしまうなどの荒技を使っていました。

信用を培うには時間がかかりますが、なくすのは一瞬です。
以前いたコンサルティング会社で私が手がけたヒット商品をあたかも自分がやったように喧伝した外部企画マンがいました。それがクライアントの耳に入り、私に嫌疑かけられた経験があるだけに、その恐ろしさを身にしみて分かっています。

もっとも彼は私が書いた本ですら、「自分が書いたのを森の名前で出してやった」などと言う人ですから、ほとんど病気です(笑)
昔のメーカーの同僚から「お前は恥というモノを知らないのか」とお叱りの電話を何本ももらったことで、彼がそう言っていたことを知ったのですが。

商売根性はほどほどに、が私のスタイルです。

私的利用 情報求む (笑)

すみません。日記という「何でもあり」のスタイルなので、メルマガ記事を私的利用しています(笑)
前回のメルマガ記事からヘッダーに掲載していますが、男性でも受けられる都内アロママッサージの情報を知っている方がいらっしゃったら是非教えてください。

一度、老舗旅館の紋屋さんで受けたのですが、これがまた絶品。いつも、情報を逃さないようにと気を張っている神経をこんなにほぐしてくれる存在があるとは思いもよりませんでした。

実は、友人でもある当の紋屋のあるじも「1回受けたことがあって気に入ったのですが、自分のところでは気恥ずかしくて何回も受けられないので、情報が集まったら教えてね」と言われています。
よろしくお願いいたします。

余談ですが、時々、「森さんのメルマガに広告を掲載しませんか」というお誘いのメールを頂きます。そのこと自体は嬉しいのですが、私のメルマガでは広告を掲載しない方針でいます。コンサルタントとして様々な企業と同じ距離でおつきあいしているので、特定企業とのつながったイメージはマイナスに働くからです。

従って、以前からあった Surfrider さんの HP のお知らせヘッダーや今回の紋屋さんはどちらも純粋にお友達ベースであることをご了解下さい。
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