■コンサルタントになるには-その2 : コンサルタントへのキャリアパス【コンサルタント】

「コンサルタントになるには」シリーズ第2弾です。
今回は「キャリアパス」つまり、どこにいったらコンサルタントになれるのか、というお話です。
先輩コンサルタントとして愛のムチを振り回しましたので、辛口です。

コンサルタントの数はそう多くはない?

前回の記事「コンサルタントになるには-コンサルタントのお仕事」は、読者からのコメント数も少なく、失敗かと思っていました。
ところが、クライアントを含め、現実世界でお会いした方々から、様々な質問があり、「次はこういう点を解説して欲しい」との要望までたくさん出される始末でした。

結局、私の記事で時々見られる

「どうコメントして良いのかが分からないけど、おもしろかった」

タイプの記事のようでした。
そこで、サイレントマジョリティのために(ちょっと意味が違う気もしますが (笑))、第2弾をお送りします。

前回は「コンサルタントの仕事」がテーマでしたので、シリーズの入り口として、コンサルタントの種類や仕事内容についてお話ししました。
今回は「キャリアパス」、要するに「どういう経験を積めば、どこに転職すればコンサルタントになれるか」のお話です。

前回のように「名刺を作れば、あなたもすぐにコンサルタント」なんていうつもりはありません。例え、それが事実であったとしても (笑)

今回はコンサルタントになりたい、興味がある読者を対象として書いています。また、同時に若手コンサルタントに対する「頑張って、良いコンサルタントになりなよ」とハッパをかける意味合いもあります。

ちなみに、一見、同業の暴露記事にも見えるかも知れませんが、その意図はないことを付け加えておきます。だって、暴露するなら、こんなんじゃ済まないですもの (笑)

お断りとして最後に付け加えます。
私はマーケティング・コンサルタントなので、他の種類のコンサルタントの知識がありません。従って、いつものとおり、「危機管理コンサルタント」や「人事コンサルタント」はたまた「ITコンサルタント」については外させて下さい。

また、ここにあるキャリア・パスは「私の見解」です。実際のヘッドハンターやコンサルティング会社の人事部がどう判断するかについては、責任を持ちかねますので、ご了承下さい。

うー、今回は前置きが長い (汗)

キャリアパスなんて本当は関係ない

まずスタートとして、コンサルタントは日本に何人いるのか・・からはじめようと思ったのですが、きちんとした統計データはありませんでした。

シリーズ前回でもお話ししたように「名刺さえ刷ってしまえば、今日からあなたもコンサルタント」ですから、数の把握のしようがない。
ただ、俗に経営コンサルタント、マーケティング・コンサルタントは2,000社とも3,000社とも言われていますので、推測は可能です。

そのうち、まともに機能しているのは2割の400~600社くらいと考え、1社平均3人のコンサルタントを抱えているとすると、1,200~1,800人がコンサルタントの計算になります。
コンサルタント見習いクラスがその3倍として3,600人~5,400人。合計でも1万人以下。大した数ではありません。

そんな「狭き門(入りたがるヒトが少ない、ともいう (笑))」にどうやって潜り込むのか。
それを説明する前に「現在のコンサルタントはどの業種の出身か」から始めましょう。

私の知っているマーケティング・コンサルタントたちは、様々なところから来ています。
メーカー(企画部、宣伝部、マーケティング部、営業部、営業マン)、広告代理店、雑誌編集者、生命保険会社、銀行マン、学生など広範囲に渡っています。

変わったところでは、中央官庁役人、業界新聞記者や風俗嬢出身者もいます。
その反対に見かけないのは、警察、農林水産業、建築・ゼネコン、商社などの出身者です。

もっとも、警察出身者は「危機管理コンサルタント」、「建築・ゼネコン」は「建設コンサルタント」などの道がありますから、わざわざマーケティング分野に進出する必要もないのですが。

要するに、「コンサルタントはやる気さえあれば、誰でもなれる(可能性がある)」のです。
その証拠に

「コンサルタントに不向きな出身分野は?」

と聞かれれば、

「学生『だけ』です」

と私は答えます。

たまに、意地悪な人がこんな質問をすることがあります。

「では主婦はどうでしょう?
彼女たちは社会との接点が少ないでしょ?」

いやいや、主婦パワーをあなどってはいけません。会社勤めの経験さえあれば、出身職種としては、むしろ男性より有利です。食品を初め、教育産業など主婦をターゲットとした商品は世の中にごまんとあるからです。

コンサルタントの出身職種としては、主婦は最高においしい立場です。
事実、私のメルマガによく登場する

「知っている限りで、もっとも仕事ができる女性コンサルタント」

の彼女は主婦です。まだ、子供はいませんが、出産したら最強のコンサルタントになるでしょう。

典型的なキャリアパス

とはいうものの、このままでは記事が進みませんので、とりあえず、キャリアパスの結論を言ってしまいましょう。
普通、考えるキャリア・パスはこんな感じでしょうか。

(ちなみに、ここでいう「ジュニア・コンサルタント、マネジャー」は普通の会社で言えば、課長クラス、「シニア・コンサルタント」は部長クラス、「パートナー」は本部長または取締役クラスと考えてください)

【ミーハー志向型キャリアパス】
●米国MBA取得
●コンサルティング会社へ就職
(アシスタント経験)
●コンサルティング会社でキャリアアップ
(ジュニア・コンサルタント、マネジャー)
●コンサルティング会社でキャリアアップ
(シニア・コンサルタント、パートナー)

ただ、これはお勧めしません。後述するように、人生経験や実務経験がないのに「オレはMBAだそぉ」というプライドがコンサルタント個人の成長を邪魔をすることが多いからです。

次は、こんな感じかしら。

【業界どっぷり志向型キャリアパス】
●大学卒業
●コンサルティング会社へ就職
(アシスタント経験)
●コンサルティング会社でキャリアアップ
(ジュニア・コンサルタント、マネジャー)
●コンサルタント会社でキャリアアップ
(シニア・コンサルタント、パートナー)

これも、お勧めしないのは上と同じ理由です。
「MBAホルダー(取得者)だぞ」
の妙なプライドがないだけ、まだましですが。

最も安心、安全、確実なキャリア・パスは、次の2つです。
私やパーミションマーケティングの坂本啓一さんはこのタイプです。
なお、途中にMBA取得があっても結構です。外資系コンサルティング会社への就職を考えているならMBAがないと(はっきりと)不利です。

【確実かつスピード志向型キャリアパス】
●クライアント企業経験
●コンサルティング会社へ就職
(アシスタント経験。ただし、20代までに転職のこと)
●コンサルティング会社でキャリアアップ
(ジュニア・コンサルタント、マネジャー)
●コンサルタント会社でキャリアアップ
(シニア・コンサルタント、パートナー)
【安心、安全、確実志向型キャリアパス】
●クライアント企業経験
●調査会社または広告代理店の調査部門へ転職
(企業内の調査、マーケティングまたは企画部門なら、直接、下のステップへ進む)
●コンサルティング会社へ転職
(ジュニア・コンサルタント、マネジャー。年齢や経験によっては省略可)
●コンサルティング会社でキャリアアップ
(シニア・コンサルタント、パートナー)

マーケティング・バカではコンサルタントになれない

「コンサルタントはやる気さえあれば、誰でもなれる(可能性がある)」といいました。
これは逆に言えば、マーケティング・コンサルタントなんて、マーケティング知識だけでは通用しない職種であるともいえます。
マーケティング・バカではコンサルタントとして、良い仕事ができないと言い換えても良い。

なぜか。
心理学が

「一人のココロの動きを知る」学問で、

社会学が

「群衆(複数の人)のココロの動きを知る」学問

だとすると、
マーケティングは

「群衆(と、その構成員である一人ひとり)の『モノを買う』ココロの動きを知り、先回りすること」

だからです。

そして、私の場合、加わるフレーズがあります。

「『モノを買う』『前後の』ココロの動きを知り、先回りすること」

モノを買う一瞬のココロの動きに対応するだけなら、店頭POP(ポスターや「本日セールス!」などの手書きのカードのこと)を研究し、どのような色、デザイン、キャッチフレーズが注目を浴びるのかを研究するだけで事足ります。

確かに、そういったこと(販売促進活動といいます)も立派なマーケティングの一部ではありますが、それだけでは

「なぜ、『●●産の朝取り野菜』と言った方が『おいしい野菜』よりも売れるのか」

は分かりません。

生活者が普段感じていること、考えていることが背景にあって「初めて」先回りができるのです。
そういう意味でも「モノを買う『前後の』ココロの動き」を知ることはマーケティングの要(かなめ)です。

おもしろい例があります。
大塚グループのファイブミニは、ご存知のとおり、センイを取るための飲み物です。
ファイブミニの価値は人間にとってセンイが大切であるということを、私たち生活者が知らなければまったく意味がありません。

ところが、今でこそ当たり前の「センイの重要性」は、発売当時の80年代前半、一般には知られていませんでした。
そこで、大塚グループは何をしたか。
ファイブミニを市場に投入する前に、センイの重要性を記事にしてもらうように新聞や雑誌に働きかけたのです。

もちろん、そのために巨額のお金を使ったことは言うまでもありません(専門的に言えば、ペイドパブとパブリシティ活動費に巨額の投資をしたのです)。
言い換えれば、大塚グループは生活者の「モノを買う」「前の」ココロの動きを人為的に操作したのです。

歴史学専攻のお医者さん

さて、「モノを買う」「前後」はマーケティングとはいいましたが、理論だけでは圧倒的に不足です。マーケティングは「ヒトの購買行動」科学ではあっても、「ヒトの科学」ではないからです。

例えば、ファイブミニの

「商品を出す前に、人為的に環境を整える
(この場合はセンイの重要性に注目させる)」

という発想はマーケティング理論では出てきません。
「ヒトを知る」からこその発想です。

普通ならせいぜいが、たった15秒のテレビ広告でセンイが大事だというメッセージを入れるだけだからです。商品を売っているのか、センイを売っているのか分からない広告ができあがります。

マーケティングをいくら勉強しても「ヒト」は分かりません。
私のメルマガに心理学の記述が多いのはそのせいです。

●人を心理学、観察、過去の知見で知り
●「モノを買う」行動をマーケティングで予測し、先回りする

方が圧倒的に先回りの精度が高いからです。

この考え方は私特有のものではありません。
例えば、アメリカでは、医学部は学部ではありません。すべて、大学院に相当する上級部門です。従って、医者の出身学部を見ると、数学、化学はもちろんのこと、文学、歴史、心理学を専攻してきた人も少なくありません。

なぜなら、医者は「人を相手にしている」ので、患者の人間性が分からないと、きちんとした治療ができないと彼らは考えているからです。

アメリカではコンピュータも同じ考え方です。私は元々コンピュータ工学専攻(と経済学)でしたが、大学を卒業するには、他の学問、例えば経済や文学などを一定単位取らなくてはなりませんでした。
(現在はどうなっているかは知りませんが)

そうなのです。
「ヒトを知り、マーケティング理論を勉強」していれば、前職なんて関係ありません。
実際、以前所属していたコンサルティング会社の部長は、早稲田大学中退、業界新聞記者出身でした。

唯一、彼が有利だったのは、業界新聞記者時代にインタビューのテクニックを学んだことくらいでしょう。そして、彼もこう言っています。

「インタビューテクニックを使う場面なんて、普通の業務では、数ヶ月に1回あるかないかです。
部長職についてから、その頻度はもっと減りました。
ジュニア・コンサルタントがやるからね。
それよりも、人という存在を知ることの方が何倍も大事だよね。
生活者ももちろんだけど、クライアントも人。
その人たちの心の動きがわからないでは、高い品質の戦略なんて立てることはできないよ」

新卒ではコンサルタントになれない、これだけの理由

ここまで読んで、古くからの読者の方は気がついたと思います。私が新卒コンサルタントを批判する理由のすべてが、ここに凝縮されてるからです。

MBAを出ようが東大を出ようが、人の気持ちが分からないヤツにはコンサルタントはできません。
そして、様々な経験を積まずして、他人の気持ちは分からない。つまり、学生という若さでいきなりコンサルタントの世界に入ったって、クライアントの気持ちは分からないことが多い。

万が一、コンサルティング会社に就職できたら、どうか。
コンサルティング会社の社員ならコンサルタントかというと、必ずしもそうではありません。

子供は健康体の人間なら誰でも生めます。
しかし、子供ができたら「自動的に親になるか」というと、そうではない。私を含め (笑)「親の資格がない」人間なんて、あっちこっちに転がっています。

ベテランは「その職場に長くいるだけでそう呼ばれるのか」というと、必ずしもそうではない。
「単に長くいるヤツ」と「ベテラン(上級の習熟者)」とは、区別すべきものです。

それと同じです。

「コンサルティング会社に所属していて」
「『コンサルタント』という肩書きの名刺があれば」

コンサルタントというのなら、それは

「名刺さえ刷ってしまえば、明日からあなたもコンサルタント」

とレベルは同じです。

「当たりさわりのない原則論」を延々と数100ページの報告書に綴られても、受け取ったクライアントは困るだけです。
その大半が現場経験のない

「新卒で入りました、MBA取って偉いだろ、エリートさん」

コンサルタントさんや

「理論をかざしてかっこいいぜ(鼻高々ぷんぶん)」

のミーハーコンサルタントさん

なのです。
こんな人たちは、結局、どこかで行き詰まるだけです。

そんな不幸な身になる可能性が高いのなら、始めから学卒でコンサルティング会社に入らなければよい、というのが私の持論です。
先のことが見えずにがむしゃらに突っ走るのは「若さの特権」ですので、普段は私も大目に見ますが、今回は特別です。クライアントに迷惑をかけることになるからです。

もちろん、何事にも例外はあります。
私のメルマガによく出てくるボケの後輩ではなく、たまに登場するまともな後輩の和田くんが良い例です。彼は私の著書「ヒット商品70の法則」でも、「マーケター・ブレーンストーミング」の章に参加してくれています。

ちなみに、彼の会社で話題になっているらしいので、ここではっきりとしておきましょう。前回「笑顔」の記事で登場した「キャバクラに笑顔を求める」後輩と和田くんは別人です (笑)

和田くんは、学生からいきなりコンサルティング会社に就職したケースですが、私が唯一、男性で「うちの会社に来ないか」と誘ったほどの実力の若手です。

もっとも、彼の場合はちゃんとした理由があります。
微生物学専攻で、普段は試験管や顕微鏡を相手に研究に没頭する学生でしたが、アルバイトはクラブのバーテンダー。
甘いマスクと180センチ近い長身のせいもあり、ホステスのおねえさんや客のおじさんたちに可愛がられ (笑)、たっぷりと人間観察と経験を積んだ猛者なのです。

クライアント企業の職務経験こそありませんが、「(泥臭い)ヒトを知る」ことができたことは、プロ・コンサルタントの彼にとって大きな財産です。MBAホルダーでもない彼が20代後半で転職し、たった半年で世をときめく大手外資系コンサルティング会社のマネジャーに昇格した事実をみれば、そのことがよく分かります。

必要な知識はたった2つ

これまでのお話を見ると、コンサルタントになるにはまずどうしたら良いかがはっきりします。
コンサルタントを使う側にまず席を置くことが大事だということです。メーカーでも金融でも流通でも結構です。

そして、人生経験を含めた職場経験を積んでからコンサルティング会社に就職すれば良い。コンサルティング会社にはクライアント出身の人材が少ないので、きっと歓迎されることでしょう。
経験年数は長い程良いですが、理想的には5年から10年です。

さて、ここまでで「第1の条件」をあげてみました。

●ヒトを知っていること(必須)
●クライアント企業勤務年数5年から10年

最後のパートです。
必要な資質や技術、知識はどんなものなのか。「ヒトを知ること」「クライアントの現場を知ること」は大前提なので、それ以外をリストアップします。
また、外資系ではマネジャー・クラスと呼ばれる肩書きをイメージしています。一般的には30代前半の役職です。

【必要な知識】
●マーケティング理論の基本知識
●調査に関わる一切の知識および経験
(中級の統計学を含む)

必要な知識はこれだけです。簡単でしょ?
ところが、悲しいことに、そんな簡単なことすらも満足に習得していないで、「コンサルタントでござい」という輩が多いのは嘆かわしいことです。

調査に関わる知識はコツコツと勉強すれば、そう難しい話ではありません。業界の歴史が比較的長いだけに、システマチックな手順でノウハウを修得できるし、周囲もていねいに教えてくれます。
形だけなら、調査票の作成も分析も比較的短期間(3~5年)で学ぶことが可能です(熟練の調査票作成や分析・読み取り技術となると話は別ですが)。

一方で、マーケティング理論の習得となると、一見簡単に見えるので手を抜きやすい分野です。

例えば、現代マーケティングの基礎を作ったと言われるフィリップ・コトラーの著書を1冊も読んでいないマーケティング・コンサルタントがたくさんいます。
日本人が書いた定番、田岡信夫氏の「ランチェスター戦略シリーズ」を「聞いたことはあるが、見たことはないし、ましてや読んだこともない」というコンサルタントも、実はけっこう多くいます。

彼らにも言い分があるように見えます。

「コトラーやランチェスターはもう古い。だから、読む必要はない」

これは、「読んだことがあり、応用もできる(けど、あえてやらない)」レベルの人間だけに許されるセリフです。
コトラーを「古いので、必要ない」という人間はもともと読書量が少ないので、それを正当化するための言い訳です。

意外に思われるかも知れませんが、スタッフ、マネジャー、コンサルタントのうち、月間2冊以下の読書量の人間が7割以上を占めるコンサルタント会社も珍しいことではありません。

彼らの言い分は「忙しいから」です。
確かに、コンサルティング業界は「肉体労働」といえるほど、仕事量が多いことは認めます。
しかし、「忙しいから、読書の暇がない」なんてセリフは学生でも言えます。少なくともプロの言い訳ではありません。

では彼らはどうやって、仕事をしているのか。
自分の所属するコンサルティング会社がよく使っている理論に、プロジェクトごとのデータを当てはめて報告書を作る。それでおしまいです。

(ちょっとだけ彼らをかばいます。一部、流布している噂の「クライアント名や商品名だけを取り替えて報告書を作る」コンサルタントは私が見た限り存在しません。もっとも、大手広告代理店のマーケティング部の報告書ではよく見かけましたが)

菜切り包丁1本でプロの料理人か?

「理論の良いところは、データを変えるだけで大まかな戦略の概要が作れることです。データを変えるだけの報告書を作って、何が悪いのですか?」

ある知り合いの外資系コンサルティング会社に勤めるコンサルタントが反論してきました。
そのとおりです。

ここで、誤解していただきたくないのは、私は理論にデータを当てはめて、報告書を作ること自体を否定している訳ではないことです。
優れたノウハウや理論は、簡単な操作で、どんな業種でも同じ品質の回答が出せるからですし、それを使うことを否定するつもりは毛頭ありません。
私の会社でもそういった独自の理論やフォーマットをたくさん持っています。

私が否定するのは、次の2つのことだけです。

●持っているフォーマットの数が「プロ」という名に恥じるほど少ない

本来のコンサルタントというなら、最低でも150種類くらいの「[知っている、というだけでなく]応用可能な理論やフォーマット」を持っていて欲しいものです。しかし、「忙しいので、読書できない」一般的な30才前後のコンサルタントは、5~10分の1程度しか手持ちがありません。

●「報告書を真似る技術」しか持っていない技術者(=「忙しいので、読書できない」コンサルタント)が、1時間10万円もチャージするのは(クライアント経験者の私には)納得がいかない。

菜切り包丁1本で刺身、肉、野菜を切ってしまうのに「私はプロの和食料理人でござい」と値段だけバカ高い会席料理レストランを青山にオーブンするようなものです。
作ることができるメニューが数種類しかなく、1つ1つの料理に味の深みがないので、すぐに飽きられてしまう。

「問題解決の能力のある人が、目的のためにツールを使う」

のと、

「目的がわからずに、ツールだけを使って、その気になる」

のとでは、大きな違いがあります。

例えば、病院であなたの担当医が

「いやあ、実は、この病気のことはよく分からないんですよ。
でも、とりあえずこの薬を使えば(手術すれば)治るんです。
理由?理由なんて分かりません。
治るから良いでしょ?たまには失敗しますが、あはは」

と言ったらどうでしょう。
大半の人にとって、少なくとも不安になること請け合いです。

もう一人の医者はこう説明します。

「この病気は●●の原因で、▼▼のウィルスが消化器に悪影響を与えています。
だから、この薬を使えば、■■の作用が働いて、健康体に戻るのです」

「普通の大衆にとって」どちらの医者に面倒を見てもらいたいのかは、一目瞭然ですね。
いうまでもないことですが、前者は「報告書を真似る技術」コンサルタント、後者は「問題解決という目的のためにツールとして使う」コンサルタントです。

「ツールは『使うこと』に意味があるのであって、ツールに『使われる(振り回される)』のでは、かえって悪影響を及ぼす」のです。

「理論の数をたくさん知っていることで自慢するなんて、ナンセンスです」

またまた、彼から反論です。
私は数が多いことを自慢としているのではなく、少なすぎることを批判しているだけです。

もっとも、

「私は病症例を10種類しか知りません。
でも、それだけで十分なんです」

と宣言する医者がいたとしたら、私は別の病院に行きます。

もちろん、

「私は一人で内科、外科、精神科、歯科などあらゆる分野をすべて習熟しているプロです」

という医者もうさんくさい。
むしろ、

「私は外科しか知りませんが、1,000の臨床例を今まで対処してきました」

という方が、私は安心して身を任せられます。

勉強はどこででもできる

「現在の会社ではマーケティングが勉強できない。
だから、マーケティング業界に入りたいのです」

という人がいますが、これらの大半の人に言います。
「甘ったれるな!」です。
彼らの言う「勉強」とは、会社が全部教えてくれるものを指します。つまり、「自分で勉強する」という発想がない。
自分で勉強するなら、どこにいたって、できるものです。

つい先日も、ホームページを読んだ方からこんなメールを頂きました。

「はじめまして。マーケティングを勉強している者です。
DAGMAR理論とはどんなものですが。暇があったら教えて下さい」

私の会社にメールを出す暇があったら、本屋に行くか、検索エンジンで調べれば良い話です。第一、そんな人に対応する説明する時間が私にあれば、少しでも休刊しないようにメルマガを書きますってば (笑)

それとも、本を買うお金が惜しいから、プロのコンサルタントに説明してもらおうということなのでしょうか?
うーん、逆のような気がしますけど…

「森さん、森さん、違いますよ。
森さんの時給は本1冊分より安いと思われているんですよ」

うっ、うちのスタッフもキツイこと言います…^^;

なにはともあれ、こんな人たちが(コンサルタントに限らず)多いから、「会社からのあてがいぶち理論」でしか、戦略提案ができないコンサルタントがはびこるのです。

「現在の会社では、勉強したことを実践する機会がない。
だから、転職したい」

上の不満はこう言うべき性質のものです。

卑近な例で申し訳ありませんが、私の会社のホームページや著書「シンプルマーケティング」にある独自理論や、従来理論の森流解釈の半分は、メーカーからコンサルティング会社に転職して1年以内には、すでにクライアントへの報告書に登場していたものです。

プロダクトコーン理論はコンサルティング会社に転職して半年目に、セミナーで披露したのがデビュー戦でした。理論として化粧をほどこしましたが、基本的な骨子はすでにメーカー時代に完成されていたのでした。

メーカーにいても(コンサルティング会社に転職しなくても)、そこくらいまでの勉強は可能なはずです。私よりもっと潜在能力が高い読者の方々はいくらでもいるからです。

最後にもう一度、いいます。
「コンサルタント」という肩書きが欲しいだけなら、方法はいくらでもあります。
しかし、人生、そんなことで楽しいのかな、とも思います。

「いや、楽しいのだ」

と堂々と言える方がいれば、それはそれで心底リッパだと思います。

結局、我々を評価するのは間接的には市場である生活者ですが、直接的にはクライアントです。最後はクライアントの判断にお任せせざるを得ない。
(どういう方向であっても)自分の行動に対する自信と、(良い意味での)クライアントに対する顧客意識。

これもまた、コンサルタントの一面です。
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