「コンサルタントになるには、どうしたらいいですか?」
のっけから、こんな話題になってしまいました。というのも、こういった質問を良く受けるからです。実は、つい先日も命知らずの学生さんから、この質問があったのです。
一般的なお話と、シストラットの話と2つすることにしましょう。
例えば、のお話
条件を上げればきりがありません。
例えば、コンサルタントは接客業の一種ですから、容姿も重要な要因になります。女性なら美人の方が有利であることはまぎれのない現実です。
これは、企業の担当者が男性が中心であることも原因の一つです。しかし、心理学的に美人の方が色々と好意的なイメージが醸成されるのもまた事実です。
普通の容姿の女性と美人とを比べたとき、「頭の良さ」「社交性」「性格の良さ」「幸福な度合い」等のイメージはすべてにわたって、統計的優位差あり、で美人のほうが上回っていたとの研究結果がある程です。
私の周囲にも「美人なら何をしても許される」と言い切る、美人好きの「女性」が何人もいるほどです。
コンサルタントの条件としての「美人」とは、人を説得する時に有利な武器となるのです。
美人を集めて失敗した某広告代理店
もちろん、美人なら何でもいいかというと、それほど世の中甘いものでもありません。
某広告代理店で、美形の女性ばかりを採用し、営業チームを作ったことがありました。全員モデル上がりバリバリの美形です。
最初のうちはクライアントの受けも抜群に良く、営業効果も上がったようですが、1年もしないうちに評判はがた落ち。「美人だから眺めるにはいいけれど、使えない」というボロボロの評価でした。
また、私の古い知り合いの女性が独立して調査会社を作ったと言うので遊びに行ったのですが、スタッフは皆キャンペーン・ガール上がりの美形の上にナイスバディ。本人も当時30代前半で色気たっぷりの女性でした。北欧調家具に囲まれた趣味の良いオフィスで、クライアントが打合せに来たのを見たのですが、何と彼のヒザに手を置きながら打合せをしているではありませんか。さながら昼サロ(古い!?)の様相を呈していました。
この会社も結局消滅してしまいました。何の変哲もないグループインタビューの分析を「この方がお金が高く取れるじゃない」という理由で「戦略的分析」と称し、相場の倍近い見積もりを出していたのですから、当然と言えば当然です。
美人と言ってもタイプは様々です。
「白痴美人」や「色気むんむん」タイプの美人は説得力や頭の良さというイメージはありませんから、コンサルタント業に有利と言うわけではありません。
ブーはダメだとは言っていない
こういう話をすると「では、ブーはだめなのですか」と聞かれることも多くあります。
この手の質問をする人自体、思考の柔軟性と観察力に欠けているので、コンサルタントには不利です。
でも、とりあえず気を取り直して話を続けます。
私は「ブーはだめ」だとは一言も言っていません。「美人のほうが有利だ」と言っているだけです。つまり、「同じ能力と努力ならば、美人の方がコンサルタントとして成功しやすい」という冷たい現実を述べているに過ぎません。
だったら、その分をカバーすべく努力すれば良いだけなのです。
「人より努力するのは損だから、他の職業にする」というのも1つの立派な判断ですから、「じゃあ、コンサルタントを目指すのはやめよう」という結論は正論です。
ただ「人より努力しなければならないなら、『ダメ』ということじゃないか」という短絡的な発想はいただけません。
まぁ、こういう人はコンサルタントにならない方が自身にとっても、クライアントにとっても、ひいては生活者にとっても幸福なのですが。
美人は「形態」ではない
もうひとつ美人ということに関してのコメントを。
以前在籍していたコンサルタントの会社で、トップクラスの女性がいました。
ここでいうトップクラスとは、戦略や企画の質もさることながら、クライアントからの人気も高いという意味です。
クライアントの担当者からは「●●さんは美人だから」という言葉をよく耳にしました。が、どうひいき目に見ても、美形とは私には思えませんし、遠慮半分とは言いながらも本人も首をひねっていしまた。
ある時、ふと気がついたのです。確かに、造形的には美形とはいえない彼女ですが、仕種、ファッション、目の使い方、しゃべり方すべてが洗練され、力強いのです。特に、少人数を相手にした時のプレゼンテーションの迫力といったら、同僚の私でさえ圧倒されるものがありました。
そう、「美人」とは「姿、カタチ」ではなく「状態」のことだったのです。
古くから彼女を知る同僚に言わせると、彼女が入社した時はファッションも垢抜けなく、地味な女性の典型だったそうです。
それが、1年で今のように様変わり。
美人とは自分で作ることができるものなのです。
実は「女性であること」は有利
話のついでに関連する条件の話をひとつ。
この業界は女性の方が有利な、日本では数少ないところです。
以前在籍していたコンサルタント会社で女性を面接すると、10人中7人は「この会社は男女差別はありますか」と聞かれました。
最初はかなり面食らったものです。というのは、元々私は仕事場では男女を意識したことがなく、メーカーにいた時ですら、相手を「女性」というより「事務担当」のようなとらえ方をしていたからです。
最初にこの質問をされた時、まず答えようと思ったのが、所属していた部署の男女比率でした。が、1人1人の顔を思い浮かべなければ、女性の数を数えることができませんでした。「男女差別がない」ということを最も端的に表している状態でした。
私が経営している会社は少人数とはいえ、アルバイトを含めて全員女性です。
なぜ、女性が有利かというと、クライアントの担当者が男性だからという問題ではありません。
現在の企業は女性の生活者なしには戦略が立てられないところが多くなっています。一方、男性だけがターゲットという企業はそうは多くありません。男性用下着やファッション関係を数えるのみなのです。
ところが、女性向けの商品を作っているメーカーであっても、担当者は男性ばかりという企業も少なくありません。すると、女性コンサルタントやリサーチャーは同時に、生活者の代表と彼らの目に写っても不思議はありません。事実、先ほどの「状態美人」の彼女は、その特質を利用して飲料や食品企業をメインにコンサルテーションを行っています。
実際、女性向け化粧品で戦略体系の話ならいざ知らず、商品開発や生活者の価値観分析を男性が行っても、説得力に欠けるのです。
長く生きるキャリア
女性が有利な点はもうひとつあります。
女性の場合、それぞれのライフステージにしたがって企業がターゲットとして考えるので、企画にしろコンサルテーションにしろ、長くその生活者の代表性を発揮できるのです。
彼女が独身なら独身女性のターゲット。結婚しても子どもが出来ても、既婚女性をターゲットとする商品は世の中に溢れかえっています。
ところが、男性の場合は35才を過ぎるとターゲットとして相手にされなくなります。いや、20代でも最近は「20代の男性イノベーター」と、20代であることだけでターゲットにしてもらえた時代は過ぎてしまいました。
従って、男性しかも若いリサーチャーやコンサルタントは、常に「自分とは違う層の人たち」を考えながら仕事をしていかなければなりませんし、クライアントの目も「お前はターゲットのことをどこまで分かっているんだ?」と疑問を持たれがちになります。
コンサルタントは物事の真実を捕らえて企業の正常な運営をアドバイスする事が第一ですが、クライアントを納得させることができなければ、無茶苦茶な質の仕事をするのと変わらなくなります。つまり、
なのです。どちらか一方がゼロなら、結果はゼロです。
「女性」というキーワードからこんな話になってしまいました。
そう。結局はこの2つとも同じことを言っています。
コンサルタントの条件のひとつはは「(どんな形にせよ)説得力を持っていること」なのです。
To be continued
話が長くなりました。
途中ですが、まずは、ここで一旦終わりましょう。