商品開発はマーケティングの花形とも言える活動です。
ヒット商品を作ることができれば、企業の業績は一気に上がるし、消費者のイメージや好意度も上昇します。
かつて倒産寸前だったアップルがボンダイブルー・マッキントッシュを大ヒットさせ、さらにiPod、iPhoneを躍進させました。
その結果、アップルの唯一の企業イメージだった「二流」が「一流」に変化したのは記憶に新しい出来事でした。
それだけに、「商品開発します」というデザイン会社や広告会社など、「なんちゃってコンサルタント」も多く出現しています。
一方、ある調査では、商品開発は「今までの経験と勘で行う」と回答した企業が半数を占めています。
商品開発の分野はなんとなく「誰にでもできる」と思われ、競合が激しいので、私たちはムリに提案しません。
これには、私たちの代表の哲学があるからです。
「コンサルタントにとって一番手っ取り早いのは商品開発を提案すること。
既存ブランドの商品を否定し、新たなスタートをした方が楽だから。
しかし、クライアント企業のことを考えると効率が悪いのも確かだ。
成功する確率がわからない新しい商品を、新しい製造設備と素材を用意し、生活者にはいちからブランドを認知してもらい、イメージを形成していかなければならない。
だからこそ、まずは既存ブランドを活性化させて、その上で新製品開発を検討するのが一番の方法だと思っている」
もちろん、新製品開発を軽視するつもりは毛頭ありません。
アップルだって、大ヒットしたボンダイブルー・マッキントッシュにしがみつき、ほとんどの資源を集中していたら、現在の栄光はつかめませんでした。
また、クライアントの商品開発部のスタッフたちを否定するつもりもありません。
彼らの仕事はまさに新製品を作ることだからです。
ただ、無闇やたらに「新製品をとにかく出すべきだ」の思考ではなく、戦略的な発想で新製品を開発するのが重要であると考えているのです。
私たちの商品開発アプローチは以下の図のとおりです。
このシステムを一言で言えば
「まずは広げて、絞り込む」
です。
「せんみつ」という言葉があります。
マーケティングでは「新製品は1,000軒投入して、成功するのは3つくらいしかない」という意味です。
しかし、これを愚直にやってみよう、ただし、手間とコストがかかる「リアルな市場投入」ではなく、調査上のシミュレーションとして。
それが私たちの商品開発システムの基本です。
1.基本ニーズ調査の実施(生活者調査)
対象業種の生活者ニーズとニーズ構造を洗い出します。
加えてターゲットとすべき価値観グループを設定します。
2.アイデア・フラッシュの創出
2〜3行の商品アイデア(私たちはアイデア・フラッシュと呼びます)をできるだけ多くひねり出します。
通常、1つのプロジェクトで300〜400個のアイデアを出します。
巷でよく見かける、最初から20個や30個のアイデアをじっくりと掘り下げることはしません。
それは後の段階で実施します。
3.内部絞り込み
アイデア・フラッシュをクライアント・チームと私たちで、シストラット独自の手法に従って絞り込みます。
目標は100案です。
4.絞り込み調査(生活者調査)
100案のフラッシュ・アイデアを生活者調査で評価測定します。
この段階で、「骨がしっかりしているコンセプト」が発見されます。
5.コンセプトづくり
生活者調査で測定した高評価上位10個のフラッシュ・アイデアを膨らませる作業です。
骨がしっかりしている案に肉付けや造形を施すイメージです。
6.コンセプト洗練調査(生活者調査)
深掘りしたコンセプト案10個をシストラット独自の手法で生活者調査にかけます。
その結果を基に200字〜300字のコンセプトに洗練化させます。
7.結果提案
10個のうちヒット商品の可能性が高いコンセプト案が3〜5個発見できます。
8.戦略策定
有力候補案に最適なマーケティング戦略を提案します。
読み物として執筆しましたが、基本的な考え方をご理解頂けます。