「シストラットさんの得意な業種は?」と聞かれると、「生活者です」と答えます。
企業の担当者はまじめな人ほど、1日24時間、自社製品のことを考えています。でも、生活者はその商品を1日1分思い出せば上出来な部類です。
そこに、大きなギャップが生じます。
皮肉なことに「消費者が見えない」のは、担当者の専門性が益々深くなってきたことにも原因があるのです。
一方、生活者は「自分が何を欲しているのか」が顕在化していないことが往々にしてあります。でも、「こういうのは欲しいですか?」と聞かれると「イエス、ノー」を言うことはできます。
それら両者の橋渡しをするのが、シストラットの戦略の基本です。
クライアントの業界についてはクライアントの方が詳しいのは当たり前です。
でも、様々な業界を経験している私たちは、1日1分しかその業界を考えない生活者と同じ思考構造を持っています。だから、その業界の生活者の中での位置づけを含めて、クライアントを見ることができるのです。
もちろん、生活者とまったく同じ言語レベル、思考レベルでは、素人さんと変わりありません。コンサルタントとして、クライアントおよび生活者それぞれの言語の翻訳機能と、生活者の心理を無理なく導く創造機能が必要です。
シストラットの戦略の基本は「生活者の基本ニーズ」です。
ただし、「生活者は企業にこうして欲しいから、こうしましょう」式の、ニーズ対応とはちょっと違います。
「アッシーくん」「ミツグくん」は、彼らを使う女性から見れば、便利な存在です。なにしろ、「ああしたい」「こうしたい」と言えば、すぐにでも実現してくれるのですから。でも、彼らは決して「本命くん」には、なれません。
映画を見ていて、「こうなったらおもしろい」と思っても、本当にそのような展開になったら、うれしいと同時に何か物足りなさが残ります。
「アッシーくん」は、単にその女性に迎合しているだけです。だから、「いい人」ではあっても、恋人の対象にならないのです。
商品や企業でも全く同じ事が言えます。
ニーズに迎合した商品は生活者には受け入れられません。
その、「わざと、ちょっとずらしてあげる」戦略をシストラットは作ります。
私たちは、例えば広告代理店とはクライアントに対するアプローチが違います。
例えば、代理店では「クライアントの商品を好きにならなければ仕事ができない」と良く言われます。
しかし、私たちはできるだけ感情を排除し、客観的にクライアントやクライアントの商品を見る姿勢を貫いています。
クライアントの商品でも「悪いものは悪い、良いものは良い」と、判断しなければなりません。スタート時点(現状認識)の判断を誤ると、終着点(戦略策定)も誤ってしまうからです。
耳の痛い話もします。が、無理矢理悪いところをあげつらって、クライアントの関心を引くようなこともしません。
これが、認識に対する基本姿勢です。
一方で、クライアントへの対応はきっちりとする。
私たちは「先生」ではありません。ふんぞりかえって、ご神託を授けるタイプのコンサルタントではありません。あくまでも、「何がクライアントにとって、最も重要なのか」を、徹夜をしてでも探していく。これが、私たちの対応に対する基本姿勢です。
シストラットの戦略策定の最大の特徴は、「あいまいさを排除した論理性とクリエイティビティ」です。
生活者はあくまでも人間です。その彼らの認識や行動を、長い歴史の中で研究している様々な学問を利用しない手はありません。
いや、正直言って、数10年の歴史しかもたないマーケティング理論だけでは、人間としての生活者を知り、彼らの行動を予測するには不足なのです。
心理学、社会学、記号学あるいは数学など、シストラットではマーケティング学のみに捕らわれずに、戦略策定作業を行います。
一方で、「ちょっとした、どんでん返し」の戦略は理屈だけからは出てきません。クリエイティブ能力があってこその「どんでん返し」なのです。