タイトル小 > > >
戦略理論・調査手法 戦略理論-グレー 調査手法 データの読み方 戦略立案の視点 調査の視点 シストラットの本 「私はこう見る」 ビジネスリンク 会社概要

商品・企業の性格をはっきりさせ、次の一手を読む
プロダクトコーン理論 (TM) (要約)

【詳細版のページ】

ひとりよがりだった企業の商品定義

プロダクトコーン小

企業がマーケティング活動を行う場合、まず商品の「性格」を定義する必要がある。商品の定義の方法は、試行錯誤を重ねながら時代とともに変遷してきた。

まず、マーケティングという観念が日本に導入された、昭和30年代初期には規格という定義が、そして60、70年代から現在にかけては「コンセプト」という定義が主流であった。

しかし、最近ではこの「コンセプト」も限界を見せはじめているようだ。

「コンセプト」とは、元来、モノづくりに携わるスタッフが、共通の言語で理解できるよう開発された言葉である。つまり、そもそも誕生した経緯からして、基本的に生活者の存在は考慮されていなかった。にもかかわらず、あまりにもわかりやすい言葉だったゆえにコンセプトに、ターゲットや目標など、あらゆるマーケティング要素を詰めこむことが流行ってしまった。そのため、商品の中核ともいうべき 定義がぼやけてしまい本来の目的にかなわないものにたいかさせられてしまったためである。

そこで、「コンセプト」にかわり次に登場してくるものが、これから説明するプロダクト・コーン理論である

プロダクト・コーンによって、製品レベルで主張したいことを規格に凝縮して切り離すことにより、「生活者がその商品を買う深い動機」を探ることに集中できるのだ。

商品の性質をはっきりさせるプロダクトコーン

今まで、生活者はコンセプトという企業からのメッセージを受け取ると、「それなら、この商品は自分にとっては△△なんだ」と翻訳したうえで、商品を買うか買わないかを決めていた。しかし、生活者はこの翻訳という作業に疲れてしまい、しいてはモノを買わないという行為にではじめた。

それでは、コンセプトを追うのに疲れた生活者は何をもとめていたのだろうか。それは、企業による翻訳作業の肩代わりだったのである。
そこで普及の兆しを見せ始めたのがベネフィットである。このベネフィットとは、その商品を購入することにより生活者が得られる、得するコト、モノのことである。

しかし、ベネフィットは単独では商品の性質を決めることはできない。商品には、ハードを定義する部分も必要だ。また、イメージも規定しておかなければならない。さもないと、スタッフの意思統一ができないからである。また、作り手の意志がバラバラだと、生活者も商品をどのように理解したらいいのかわからない。その結果「買いたい」という気持ちが起こらない。

要するに、ベネフィットや規格を盛りこんだ総合的な商品定義が必要になるわけだ。
この概念がプロダクト・コーン理論である。

では、プロダクト・コーン理論はどんな定義で構成されるのか?下図を見てほしい。

規格=企業側の商品定義
ベネフィット=生活者の得するコト、モノ
エッセンス=商品が持つ性格(擬人化)

図表1

以上の三つでプロダクト・コーン理論は構成される。これを、人間を例にとって説明してみよう。
たとえばAさんという人がいたとする。
Aさんは東大出身で、身長180センチ、品のある整った容姿でちょっとやせ型。外務省に勤めている29歳で、成城学園の閑辞な住宅街の一軒家に住んでいる。
いま挙げたAさんの特徴はすべて「規格」だが、このままでは、Aさんの人となりは、おぼろげにわかるだけだ。そこでAさんの「エッセンス」が登場する。
Aさんは優しい。何事にも気配りを忘れず、バランスのとれた性格だ。ちょつとクールで理性的だ。腎い。Aさんは女性に手が早い。これが、Aさんのエッセンスである。

では、Aさんの「ベネフィット」は何か?
Aさんと一緒にいれば、人に自憎できて自分の上昇志向を満たしてくれるかもしれない。知らないことをいろいろ教えてもらえるかもしれない。また結婚すれば、Aさんの自宅に住めるので、家賃が浮いてお金がたまるかもしれない。これらはすべて、Aさんの「ベネフィット」だ。こうした多面的な説明によって、Aさんの人格が浮き彫りになり、人々の記憶に残りやすくなる。

モノの特徴を述べる際にも、まず、機能や商品の定義を説明する。次に、その商品を買うと何が得かを説明する。最後に商品のイメージを擬人化して述べてやると、きわめて人の記憶に残りやすいのである。Aさんの例では、日本人の本音と建前を考慮して、あえて「ベネフィット」を最後に紹介したが、これはあくまで例外である。

プロダクト・コーンは、人の記憶にとどまりやすいもっとも効率のいいシステムである。記憶の効率が良ければ、ムダな広告は必要なく、経費の削減になるわけである。

図表2

プロタクト・コーン理論の実例

具体例を挙げて説明しよう。

(例1)ビオレU毛穴すっきりパック

最近、ヒット商品を連発している花王だが、ビオレU毛穴すっきりパックも、その着眼点の鋭さで大ヒットとなった。
形状は単なるシートである。これを顔に貼り付けるだけで、毛穴に残った汚れがくっつき、シートをはぎ取るときに汚れもすっぽり抜ける仕組みである。
従って、規格は「鼻の毛穴をそうじするシート状の簡単パック」となる。

さて、この商品がヒットした最も大きな理由が、シート上に毛穴の汚れが粒状についているのを確認できる、という点だ。これは、たばこのフィルターなどとまったく同じ心理効果である。その効果がはっきりすればするほど(商品が汚くなればなるほど)、機能が高く感じるのである。

従って、ビオレUのベネフィットは「気分がすっきりして、きれいになる(気がする)」である。
だから、イメージはあくまでも「すがすがしい」となる。

この商品の見事なところは、このベネフィットとエッセンスをそのままネーミングにしたことである。「パッケージは(テレビなどのマス媒体より)最大のコミュニケーションである」と言われるが、ビオレU毛穴すっきりパックは、まさにこのことを実践した好例である。商品の質もさることながら、これでヒットしないわけはない。

図表3

【注】このパートは「シンプルマーケティング」(翔泳社)から抜粋して、加筆修正しました

Copyright ©1998 -  SYSTRAT Corporation. All Rights Reserved.