ごく最近になってこのサイトを発見し、非常に興味深く拝見しております。
古い部類に入る記事への意見で恐縮です。
でもビール好きとしては、どうしてもこの記事に最初にお便りしたかったな、と…。
キリンラガーの零落の一因として、ブランド戦略のずさんさ、というご意見は大変に興味深く拝見致しました。
そのような観点では考えたことがありませんでした。
言われてみれば、スーパードライは「コクがあるのに切れがある」「辛口、生」というビールの品質を全面に打ち出した広告が印象的でした。
また、活動的で男性的なキャラクターを一貫してCM起用し、がつんと骨太、仕事の後はこれだね!というイメージも定着したように思います。(初期では落合信彦氏とか)
それと比べるとラガーの宣伝はイメージが薄いですね。
(スーパードライに対抗していた一番搾りもテーマソングの印象しかありません)
これがブランドの意味性がない宣伝、ということでしょうか。
スーパードライは「ビールは味が違う。うちは辛口、生だ」ということを全面に押し出したという点でも画期的な商品ではないでしょうか?
それまでは、ビールの宣伝はイメージ的な宣伝が多かったように思います。
(サントリーのアニメのペンギンが松田聖子の歌を歌っている宣伝とか)
よっぽどインパクトのある宣伝でない限り、結局ラガー、だったような気がします。
(実は枝豆や冷やっこにあうんですよね)
辛口、生だと「骨付きウインナーと一緒に食べたい」とか、イメージが涌きます。
若者のおつまみの趣向がこってり系に傾いていたときに、タイムリーなものが出ました。
もし、キリンが「ビールは味が違う」に対抗するとしたらば「ラガーは味が違う、日本のおつまみ、枝豆、やっこにはこれが一番」みたいな売り込みもあったでしょうか??
ともあれ、一時はクープマンの目標値で独占的市場シェアを誇っていた企業が、業界4位の企業に脅かされるようになる、というのは異常な事態です。その異常な事態が発生するには、ブランド戦略をはじめ、本当に様々な原因があるように思います。
その原因の1つをフォーカスしていた、という点では、大変に興味深く読ませていただきました。
これからも、あっと気づかされる、興味深い記事のご執筆に期待しております。
【お返事】
> それと比べるとラガーの宣伝はイメージが薄いですね。
> これがブランドの意味性がない宣伝、ということでしょうか。
はい、そのとおりです。
誤解を避けるために補足しますと、「イメージが薄い」というのには、2つの要因があり得ます。
●単純にインパクトが弱い
●意味性が明確でない(純化されていない)ので、散漫な印象になってしまうので、結果的に「薄いイメージ」になる
今回の場合は後者です。
つまり、山崎さんが「あ、そうだよね」という共感や納得というものがないので、ラガーの印象が薄くなってしまうのです。
> 辛口、生だと「骨付きウインナーと一緒に食べたい」とか、イメージが涌きます。
> 「ラガーは味が違う、日本のおつまみ、枝豆、やっこにはこれが一番」
> みたいな売り込みもあったでしょうか??
素晴らしいです。そのとおり。
ただ、このやり方は、スーパードライと同じ土俵で戦うことを意味します。
現在のように、シェアが近いならば、そういった判断がしやすいです。しかし、当時はまだまだラガーがトップブランドでしたから、勢いがあるとは言いながら後発でシェアも少なかったドライと同じレベルに下げた広告をするのは、キリンのプライドが許さなかったでしょう。
そしてまた、現在のように「負けがはっきりした」段階では、何をやっても「負け犬の遠吠え」的に見られてしまい、同じ土俵で戦えば戦うほど不利になります。
実際の味が合うかどうかは別として、一番搾りが和風路線ですよね。キリンもこれならば何とかフライドに関係なくできたのでしょう。
> その原因の1つをフォーカスしていた、という点では、
> 大変に興味深く読ませていただきました。
ありがとうございます。
ビール業界はいろいろな意味でおもしろいところですので、これからのウォッチングを続けています。
その中で、他の方々が指摘していないような点があれば、また記事にいたしますので、ご期待ください。