ご多分に漏れず、英会話スクール産業が瀕死の重傷を負っています。
規模最大のNOVAの昨年決算は15億円の赤字と報道されています。
「英会話スクールの草分け的存在」と言われるサイマルが97年9月に倒産。
一時、お笑い芸人のぜんじろうをキャラクターに立てて、広告展開を積極的に推し進めていたトーザも倒産。
英会話スクール産業に暗い雲が立ちこめています。
原因はもちろん、今回の不況です。
しかし、その中で異彩を放っている英会話スクールがあります。
CtheD という、ちょっと変わった名前のスクールです。
CIを実行したのが97年9月。それ以降、対前年比200%の伸びを示していると言われる極めて元気なスクールです。
学校数はまだ全国で4校と小規模ですが、旧名サンケイ・インターナショナル・カレッジからわかるとおり、サンケイグループの英会話部門でした。ちゃんとした歴史とプレステージを誇る英会話スクールです。
そのCtheDが英会話スクール業界で一人勝ちという様相を示しているのです。
一体、何が起きているのでしょうか。
中身を見ると実に単純な構造なのです。
答えを言うとたった2行で記事が終わってしまうくらいです。
では、答えです。
ポイントは広告コピーです。
では、次回記事の予告です・・
って、ぼけているとお叱りを受けそうですが、本当にこれだけなのです。
「パスポートサイズ」は日本の広告史上、最高のコピーですが、これを例に出すまでもなく、本当に優秀なコンセプトとコピーに解説は不要です。プレゼンテーションに15人も引き連れ、かつそのうちの5人は日給5万円で依頼されたフリーの企画マン、というような陣営が必要な広告コピーはコピーではありません。
コンセプトとコピーの理想条件です。
ここまででピンと来た読者は「そうそう」と確認しながら、これからの記事を読んでください。あなたはCtheDの策略にまんまとはまったターゲットです。
そうでない方も落胆することはありません。
あなたにはCtheDが必要ない、というだけのことなのですから。
ところで、このコピーを見たとき、「やったぁ」と小さく叫んでしまいました。
いつかこういったアプローチをする英会話スクールが出現するだろうと思っていたからです。ただ、まさか、聞いたこともないCtheDという小さなスクールとは思いもよりませんでしたが。
なぜ、そう私が思ったのか。
2つの面から説明しましょう。
1つは企業側のメッセージ、つまり広告の観点。
そしてもうひとつは、生活者の動きです。
プロダクトコーン理論というシストラット独自のマーケティング理論があります。
簡単に言ってしまえば、商品には3つの側面がある、という考え方です。
「規格」「ベネフィット」「エッセンス」と呼ばれる要素です。
英会話スクールと言えばまず頭に浮かぶのがNOVA、ジオス、イーオン、ECC、ベルリッツ等の大手です。
さて、ここで目を転じて生徒像を見てみましょう。
強力なベネフィットを探るためのヒントは、ユーザーである生活者の中からしかつかめないからです。
若い人たちのコミュニケーションといえば、すでにバックナンバー記事で紹介している事象があります。
例えば、未婚者のセックスレス・カップルです。
自分探しが要因となっているケースが実に多く観察されるのです。
女性の話を聞いていると、良く出てくるフレーズの1つが、
です。
ここまで説明すれば、英会話スクールのベネフィット内容の候補がお分かりいただけたと思います。
優秀なスタッフは24時間自社の商品のことを考えています。
しかし、そうすればするほど生活者とのギャップは広がっていきます。
だって、生活者はあなたの会社の商品なんて1日に1分しか考えないのですから。