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プロを考える【プロフェッショナル】 2002.10.1

それは1通のメールから始まった

(一般公開をするには刺激的な内容なので、省略しました)

最近の企業問題の根元は?

「きっつー (笑)
相変わらず、森さんはきついことをズバズバ言いますね」

と後輩が笑います。

はい、記事でも毒舌ですが、読者のメールに対しても毒舌になることが良くあります。「お客様は神様ではなく、対等のパートナー」だと思っている私です。言われたことに「はい、はい」と従う性格ではありません (笑)

読者の皆さんは対等だと思っている気持ちはまったく変わりません。遠慮は無用です。
他の方なら「いつか自分の客になるかも知れないから」とへりくだるのでしょうが、あいにく私はそういうスケベ心は持っていないので、そんな配慮もない。
(スケベ心があるなら、実名で辛口記事なんて書きませんって (笑))

普段なら通り過ぎて行ってしまう出来事です。こういった反論メールはちょくちょく来るからですし、もっとひどいのになると「氏ね(2ちゃんねる用語で『死ね』という意味です (笑))」とか「ばか」といった単語しかないメールも頂きます。

しかし、今回は冒頭のコメントが心に引っかかっていたのです。
なぜか。
昨今の企業問題に通じるものがあるからです。

ご存じのように、最近、様々な企業の事件が新聞を賑わしています。
その最右翼は雪印事件でした。
最初、彼らが食中毒事件を起こした時、私は記事を書くことはしませんでした。
過去記事コンサルタント日記でも、「自分もメーカーにいたことがあるから、微妙な話題になってしまう」からと言及を避けました。

しかし、その後、牛肉の訴訟事件を起こして雪印食品は幕を閉じ、本体はというと基幹部門の市乳部門を切り離さざるを得なくなってしまいました。雪印乳業株式会社の事実上の崩壊です。

最近では、ミスタードーナツが違法の食材を使用していることがばれてしまいましたし、日本ハムも大騒ぎになっています。
ユニバーサルスタジオ・ジャパンも、賞味期限切れの食材を園内の売店やレストランで使用していたことが発覚してしまいました。ご丁寧に、彼らは賞味期限を書き換えていたのでした。

食品以外でも三菱自動車がリコール隠しをして大きなバッシングを受けて売上げが急減。減少分はまだ戻っていません。また遠く昔にはマンズワインがガン成分が入っていると言われる不凍液(クルマにも使用されているもの)を使用していたことが新聞にすっぱ抜かれたことがあります。
また、みずほ銀行の大混乱と国会での失言問題も記憶に新しい出来事です。

これらは一体何なのでしょうか。
企業道徳?
だったら道徳の授業を企業内研修ですれば良い話なのか?

その前にもうひとつ話をします。
阪本啓一さんは「フリーターイズム」を憂い、私は「商売に関わる人間の当事者意識」の欠落を憂いています。
古くはファミレスやコンビニの従業員の接客の悪さを指摘しました。また、牛丼の量目詐称の話も大きく分類すると、ここに当たりますし、笑顔調査の記事もここに分類されます。

これは共通したことです。要するに、2人とも批判しているのは「きちんとすべきところをきちんとしていない」という点だからです。

それに対して、多くの読者の賛同を得ることができましたが、一方で

「彼らはサラリーマン(アルバイト)で雇われなのだから、仕方ないではないか。
それを非難する森さんの方が人非人で冷徹である」

という

「理屈にならない反論」も多く寄せられています。
表現が悪いですか?
それならこう変えましょう。

「傷を舐めあう、馴れ合いを推奨する反論」を頂きました。
あ、いえ、ちょっと違います。

「私を批判し彼らを擁護するように見せかけて、実は自分が楽をしたいために彼らに味方をする」ための反論がたくさん来ました (笑)

さてさて、これら一連の人たちを私は

「当事者意識がない」

と呼びます。
別な言い方をすれば

「責任放棄」「役割放棄」の人々

です。

雪印や食品会社が第一にすべきことは一体何なのか。

「おいしい乳製品を作ること」

の前に、食べ物の大前提として

「食べて安全(あるいは安心感)」

はあるべきなのに、それを忘れている。
安全でない商品に健康はあり得ない。

「国産」という表示があれば、味が変わらないであろうが何だろうが、中身は「国産」のハムでなければならない。
身体に害があろうがなかろうが、

「賞味期限の過ぎた食材を使ったことを黙っている」

はやってはいけないことです。
ましてや、人というものを統計処理して

「死傷者30人までは許せる範囲であり、それ以下ならまったく問題なし」

とする発想・・・
これらはすべてにおいて

「やるべきことは何か」

をはき違えている結果です。
当人たちも薄々は気づいているハズです。だって、それをコソコソと隠そうとしているからです。

しかし、冒頭の鉄道に関するコメントを書いた人は鉄道関係者かどうは分かりませんが、その

「やばい」

という感覚自体がない。これが問題なのです。
普通は人を殺すことは悪いことだと思っている。だから、罪の意識がある。個人に帰れば冒頭の人もそうなのでしょう。

しかし、「30人までなら死んでも良い」と考えるその発想はまさに

「ゲームで人を殺すのと同じ感覚」

です。
クオリティ・コントロール(QC、品質管理)が発達し、数字を読む訓練も積んでいない人間が、血が通わない「数字」というものを相手にした悲劇です。

その結果、雪印は手痛いしっぺ返しを食らいました。100年間続いた企業でも数ヶ月で消滅するのです。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

今日のテーマ「プロ意識をきちんと持とうよ」

さてさて、ここまで極端ではないにせよ、普通の私たちのビジネスでも当事者意識のない人が増えてきています。
そして、先ほど紹介した「雇われを非難するのはかわいそう。森は冷徹だ」メールが何回も繰り返しやってきます。
そして、そんな「傷を舐め合う社会」が雪印や日本ハムを作っていったのです。

どんな人がプロなのか

「プロって、どんな人のことを言うのか」

様々な人に聞いてみました。
当然、色々なイメージが出てきます。

プロサラリーマンとアマチュア・サラリーマン

それでは「プロサラリーマン」と「アマチュアのサラリーマン」の違いはなんなのしょう。
そのヒントとして「プロとしての要件」を考えてみたいと思います。
どんな資質や条件を持ってれば「プロ」と呼ぶのでしょうか。

「モデル業界をなめるな」

「あ、そうだ。ちょっと森さん、パソコンを貸してください」

出席者の八木さんがあるネット掲示板にアクセスしました。
その場でパソコンを立ち上げ、それを全員に見せてくれます。
そこには「宣材写真(モデルが使う履歴書用の写真)を無料で撮ります。一度で1000枚撮るのでカメラになれていない女性には最適です」と書かれていました。
いわゆる素人カメラマンの「モデル募集」です。

プロサラリーマン2形態

「さっき、森さんが『プロのサラリーマンがいても不思議じゃない』と言った訳が分かる気がします。
だって、『深い知識と経験』をこの際、横に置いておけば、後の条件はサラリーマンでも当てはまる。
依頼者を『会社』に置き換えればいいだけ」

とんかつ屋さんに学ぶ企業姿勢

私が好きなとんかつ屋さんが恵比寿の駅前にあります。
「とんかつ・びっくり」という変わった名前の店は、何の変哲もない普通のとんかつ屋です。驚くほどの味でもないし豪華な内装でも安くも高くもない、昔からある「街の洋食屋さん」です。

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