日本の冷蔵庫、スーパーが不調です。
ダイエーは阪神大震災を契機に立ち直るきっかけがつかめません。
無敵を誇ったイトーヨーカ堂も今ひとつの不調。
スーパー業界は2001年10月時点で、対前月比なんと35ヶ月「連続」の売上げ減少を記録しています。
長らく、日本の流通業の主役として君臨してきただけに、その不調は日本経済の象徴ですらあります。
スーパーは私のメルマガに良く出てくる「企業努力を怠った」「生活者をなめてかかった」不良業界ではありません。
それなりに真面目に努力しています。
最近で最も大きな努力あるいは英断の一つとして、取扱商品点数の大幅な削減を思い出します。
「お客様のニーズ」を旗頭に店内をすっきりする改革を実施したのでした。
今やスーパーでは天井高く積み上げられた商品はありません。
ほとんど手が届く範囲に商品が並べられているので、商品を手に取りやすくなりました。
天井が見渡せるので、店内看板が見やすくなり、遠くにいても自分が目的とする商品のコーナーが一目で分かるようになりました。
土地の価格が高い日本では、かなり贅沢な改革です。一歩間違えれば売上げが減少してしまいかねない英断です。
そういう意味でも、スーパー業界は頑張っています。
流通業の中でも元気な分野や会社もあります。
ご存じ、100円ショップや高級スーパーです。また、新興勢力の都市型ディスカウントストア、ドン・キホーテも元気印ですし、マツモトキヨシも一時期の勢いはないとはいえ、勢いがあることには変わりません。東急ハンズや無印良品もまだまだ行けます。
この違いは一体何なのでしょう。
表面的に見れば、100円ショップが不況でほとんどすべての流通業から売上げを奪ったと解説するのが一番安直な方法です。
特に、若い人たちには「ヒャッキン(100均、百円均一の意味)」が定着した呼称であることを見るまでもなく、彼らに身近な存在になったくらい普及しています。
それは間違いではありません。
今まで文具店で500〜600円もしたプラスチック製の書類ケースが100円で買えてしまいます。カメラのレンズなどを保護するウレタンや布製の袋が、1,000円近かったものが100円で手に入ってしまう。
私の身の回りにも100円ショップで買ったものが一気に増えました。
その証拠にスーパーの部門別売上げ減少率(対前年比)を見てみると、
部門 | 対前年比 |
---|---|
●日用雑貨 | 17.6%減 |
●衣料品 | 17.7%減 |
●食料品 | 4.6%減 |
と、答えは明白です。雑貨は100円ショップにやられ、アパレルはユニクロに客を取られたけれど、食品は強力な競争相手がいないので、比較的被害が少ない。そんな図式です。
しかし、本当に100円ショップだけが元凶なのでしょうか。
いや、言葉を換えて言います。
「本当に100円ショップの『低価格』だけが元凶なのでしょうか」
もし、価格が問題なら、スーパーの商品はほとんど100円均一にしなければ、生き残っていけないことになってしまいます。
それは極端だとしても、100円ショップの低価格が元凶だと結論づけてしまうと、取り扱うすべての商品の価格を下げなければならないという発想にしか行き着きません。
いや、現実そうなっています。
スーパーに限らず、値段を下げるだけの下策しか取れない企業が多い。
一方で成城石井などの高級スーパーが盛況です。無印良品は安いですが、100円ショップほどではありません。
「安くすればよい」というキーワードだけでは説明できなくなっていると考えた方が自然ですし、心臓にも良い (笑)。
マーケティングに詳しい人なら「安いものと高級なものとの二極分化である」とその両方を分断して説明することでしょう。
もちろん、それはそれで間違ってはいません。
しかし、何かが足りないのです。
その何かとは生活者の視点です。
とお叱りを受けそうです。
なんて決めつける人も出てきそう (^^;
確かにそれ「も」生活者の視点です。
でも「安いだけではない」のもまた生活者です。
値段が安すぎるとかえって不安という心理。
●●円くらいまでなら安い方が良いけれど、それを越せば、値段の安さよりもむしろ性能や品質が高い方がよいという心理。
多少値段が高いかも知れないけれど、安心な会社、人に自慢できる製品が良いという心理。
中身はよく分からないけれど、値段が高い方が品質が良い気がするという心理。
価格が安いのが生活者のニーズとするならば、価格が安くなければものが売れないとするならば、上に上げた心理のほとんどが
といった「企業のエゴ」が頭をもたげてくるだけです。
価格だけではない何かがスーパーや流通業の多くを苦しめているはずなのです。それは一体何か。
今回は、その犯人探しをしてみようという趣向です。
題して
テレビ番組「笑っていいとも」をたまたま見ていたので思いついただけのタイトルでした。安直でごめんなさい (笑)
イトーヨーカ堂社長のコメントがあります。
話はそれますが、ある100円ショップでおもしろいものを見つけてしまいました。
商品ではありません。1枚の貼り紙です。
場所は渋谷東急本店通りのアオヤマ・ダイソー。渋谷の一等地にありながら、ビル4階分(200坪)がすべて100円ショップというぜいたくな店です。さすがに、2,000坪を誇る町田店には負けますが、十分に広いスペースです。
さて、一方のドン・キホーテです。
100円ショップと似たような客層が来ていることが分かります。
ドン・キホーテを知らない読者のために簡単に解説します。
ドン・キホーテは関東圏で展開している都市型ディスカウントストアです。
東京、神奈川、千葉、埼玉を中心に33店(うち1店は福岡市)のチェーン店です。
その最大の特徴は深夜営業です。24時間営業の新宿店を初め、午前4時以降まで営業している店は2/3の22店もあります。
ふと、目をくりくりして、当たり前のようにボソッと喋るひなちゃんの言葉に、びっくりしてしまいました。
一方のスーパーはというと・・。
「お客様の利便を」という旗頭の元、店内スッキリ改革を実施した・・
確かに目的の商品を探しやすくすることは、客の立場に立つことでもあります。しかし、一方で、さっと買ってさっと帰る顧客行動は、売上げにつながらないのも事実です。
「滞店時間」「回遊性」という専門用語があるとおり、以下に長時間、客に店内に留まって欲しいかの研究をしていたはずです。
しかし、それを悪く解釈することもできます。
「効率」というキーワードです。
取り扱い点数を減らすことは大きなコスト削減になります。
扱い商品はスーパー本部のコンピュータにデータベースとして登録されます。この数が減るということは、データ入力のための人件費が少なくなります。大型コンピュータのリース代金がその分安くなります。
というと、叱られてしまいます (笑)
業種があまりにも違いすぎるので、イメージをしてもらえないからです。