西武百貨店の広告コピーです。このたった6文字で1982年の当時、2,000万円を稼いだ男がいました。
名前は・・「糸なんとか」という人でしたが、忘れました (笑)
この1文で、世界的に有名な広告代理店を創設したアメリカ人がいました。
広告コピーは打ち出の小槌ならぬ、魔法の文字です。
だから、一時期、コピーライターがもてはやされました。コピーライター学校なるモノも乱立し、受講生が押し寄せる。
といえば女性にもてる。
うらやましかったなぁ (笑)
カタカナ職業が流行った懐かしきバブルの時代の伝説です。
この頃は、カメラマンやプロデューサー、ディレクター、スタイリストなども人気職種の仲間でした。
そのおかげで「感性でコピーを書く」ことが大流行しました。同時に「感性でしかコピーが書けない」コピーライターも多く輩出したことになります。
なんとなく、かっちょいいことばを羅列すれば、それが広告コピーになる。
たばこの広告で「頭の中で遊んでいました」と書けば、何100万円もの請求書が届きます。
当然といえば当然ですが、バブルが弾ける寸前から失業するコピーライターが急増しました。
と捨てぜりふを残して、広告界を去っていく彼ら。
感性広告の代表格であるパルコも最近は「No image(もうイメージ広告は要らない)」と宣言しているほどです。あれがイメージ広告でないかどうかは、皆さんの判断にお任せしますが (笑)
一方、コピーは「文字」なので、漢字とひらがな、そしてカタカナが書ける人間なら、誰でもできる気がする。
と気軽にクライアントさんはおっしゃってくれる、とコピーライターは嘆きます。
中には
とあたかも「自分ではなく」「一般常識」のような言い方で修正を迫る担当者も出現します。
昔、こんなエピソードをメーカーに勤める友人から聞きました。
もちろん、コピーライターにもクライアントにもれっきとした「プロ」はいます。
冒頭に上げたベンツの名コピーはデイビッド・オグルビーという、現在のコピーの基礎を作ったと言っても言い過ぎではないプロ中のプロの作品です。
また、私のメルマガにも優秀なコピーが何本も登場しています。
プロとニセモノの違いは何か?良いコピーには何が必要なのか?
広告だけではなく、マーケティングには文字表現がつきものです。
今回はマーケティングにおける「文字」の役割を解説してみました。
紙面の都合もあるので、ネーミングとコピー(キャッチフレーズとパッケージの説明文)を取り上げました。
タイトルの「UFJ銀行」はこの記事のほんの一部です。
警察、税務署、銀行は怖すぎてメルマガのテーマにできません。私も人の子です (笑)
以前発表した「歌え水のように【サントリー】」はマーケティングの「音」を題材にしましたが、今回は「言葉」。同じシリーズと考えても良いでしょう。
では、はじまり、はじまりぃ〜。
まずは文字数が少ないネーミングの話から行ってみましょう。
サントリーの記事の時もネーミングに紙面を大きく割きました。その時は「発声したときの音」が中心テーマでした。
ネーミングにおいて最も重要なのが「音」だからです。
しかし、ネーミングの「音」があまり売れ行きに影響しない商品もあります。その時、大切なのは「文字」としてのネーミングです。
ちなみに「音」が重要な位置を占める商品には特徴があります。
例えば、たばこは「マイルドセブンちょうだい」と声を出してたばこ屋さんに自分が欲しいモノを伝えます。
また、外に出して消費する(吸う)ことが多いので、新製品などは人の話題に乗ることが多くなります。
「えっ、これ何?初めて見た」
「ミスティっていうんだけど・・」
という会話です。
その時に覚えにくかったり、言いにくいネーミングでは、売上げにも影響してしまいます。従って、たばこは文字よりも音が大事な商品だと言えます。
例えば広告である商品を知ったとしましょう。
でも、生活者がスーパーに買いに行った時、その商品名を忘れてしまっては目的のものが買えなかったり、他社商品を間違って買ってしまう。つまり、メーカーとして大事な購買チャンスを逃してしまいます。
だから、広告によって商品を買ってもらうようなものには、記憶に残りやすいような名前をつけることが大事になります。
私が経験したものでは、「大きな野菜が入っているカレー」がありました。テレビ広告ではいかにもおいしそうだったので、スーパーに買いに行ったところ、どれがどれだか分からなくなってしまったのです。パッケージに、お目当ての「大きな野菜がゴロゴロ入っている」と説明が載っていれば、ヒントにもなったのですが、あいにくどれにも書いていない。
結局、買った商品には普通の大きさの野菜しか入っていませんでした。
実は今でもそのカレーの商品名を思い出せません (笑)
以前もお話ししたことがありますが、主婦向けの広告はナレーションが命です。画面に文字(キャッチフレーズ)が入るテレビ広告には、普通の場合、それを読み上げることはしません。しかし、主婦向けの商品のテレビ広告では必ずと言って良いほど、画面の文字を読み上げるナレーションが入っています。
一方で、文字が大事なネーミングにはこんな特徴があります。
さて、どんなネーミングがいけないのかには共通するポイントがあります。
まず第一に上げられるのは、アルファベットの組み合わせです。
最近では三和銀行と東海銀行が合併してできあがったUFJ銀行が良い例(悪い例?)です。
さて、ネーミングはこれくらいにして、コピーの話題に移りましょう。
感性が中心のクリエイティブの世界ではコピーライターは物事を最も論理的に考える職種です。もちろん、かつてのバブル時のように、感性だけで勝負しようとする勘違い組も多いですが、他の視覚系(スチール、ムービー)よりその人口比率が圧倒的に少ないのが特徴です。
さて、マーケティングから見たキャッチコピーの良い例はいくらでもあります。そのほとんどは、生活者に「商品に興味を持たせる」「手に取ってみようかなと思わせる」「買う気にさせる」ものです。
それをひとつひとつ上げるのも大変なので、今回は悪い例を挙げましょう。
さて、マーケティングの分野で関わり合いが多いのは、キャッチコピーよりもパッケージの説明文です。
キャッチコピーはクリエータが自分たちのクリエイティブ力を発揮する場なので、こだわりがあります。従って、必然的にマーケティングとぶつかることが多い。
しかし、商品の説明文はコピーライターが比較的軽く見がちな分野なので、マーケティングの意見が通りやすいという特徴があります。
文章の力をあなどってはいけません。
素人さんと分かっている人(プロとはいいません)の大きな違いは、素人さんはビジュアルを大事にしようとするのに対して、分かっている人はコピーに力を注ぎます。