笑顔。
赤ちゃんの笑顔。恋人の笑顔。両親の笑顔。友人の笑顔。
心温まる一瞬です。
「笑顔は万価」と言ったのは誰だか知りませんが、これほど人の心を優しくしてくれる存在はそう滅多にあるものではありません。
ある経営者は
といった有名な言葉があります(実は、後述のように笑顔は最もコストのかかるものになり果てていますが)。
実際、マクドナルドのメニューには、ビッグマック、フィレオフィッシュと並んで、
とあります。笑顔は無料。ちょっとしたエスプリ(とんち (笑))を感じます。
意外と知られていませんが、このスマイル・メニューはすべてのマクドナルドにあるわけではありません。選ばれた店だけに掲載を許された名誉ある称号なのです。
というのも、本部のスーパーバイザーが「この店は接客が良い」と評価した店だけがスマイル・メニューを表示できるからです。
さて、絵顔については、様々な心理学の実験もされています。
例えば、同一のモデルの2種類の写真を被験者に見せます。
あるグループにはモデルがニコニコした表情の写真、別のグループには同じモデルがしかめっ面をしている写真を見せます。
笑顔の写真を見た人は、その人をこんな風に評価します。
一方の、しかめっ面の写真の場合はこうなります。
余りにも当たり前の結果です。
でも、この当たり前さをきちんと数字で確認したことに大きな意味があります。
笑顔一つでその人の性格までもが判断されてしまうのは怖くもあるということなのですから。
美人、美男の仏頂面よりも、そうでない人の笑顔の方が魅力的に見えるものです。
だからという訳か、笑顔でごまかす職業も出現します。
詐欺の類がそれですが、考えようによっては赤ちゃんの笑顔も「職業」なのかも知れません。
いや、いい加減に言っているのではありません。赤ちゃんの笑顔には特別な機能があるという心理学の説もあるのです。
こういうことです。
母性本能は、従来「本能」という単語が付いているように、「女性が生まれ持ってきたもの(=本能)」との説が有力でした。
しかし、ある学者グループは、母性は後天的なものであると主張しています。
それは「母性の互恵性」と呼ばれます。
彼らによると、母性というのはどうやって作られるのか。
動物の赤ちゃんはすべて不完全な形で世に出てきます。
バランスを崩すほどの大きすぎる目。ヨタヨタ、ヨチヨチしか歩けない未熟な四肢。
そして、笑顔。
笑顔自体は先に説明したように、人の心を和ませる役目を果たします。
成人が赤ちゃんの不完全な姿を見ると世話をしたくなる。これはある意味種の保存本能です。しかし、赤ちゃんは世話してもらうと笑顔を見せることがある。成人はその笑顔を見ると心が和む。
そうすると、その「ほっとした心理状態」をもう一度得たいがために、再び成人は赤ちゃんの世話をする。
その繰り返しが「母性」を育てるというわけです。
互恵性を「互いに」「恵む」と書くのは、そのキャッチボールがそれぞれの人間(母親と赤ちゃん)が、メリットを受けるからです。
ことの真偽は学説の方向性も決まっていないので、凡人の私には分かりませんが、昨今の母親の幼児虐待などの事件を見ていると、「母性は先天ではなく、後天」という考え方も何となくうなずけます。
ちなみに、「互恵性」の考え方は母性だけに適用されるものではありません。
元々、対人心理学で「好意の互恵性」の概念があり、母性はその理論を応用したものです。
アメリカでこんな実験をした学者がいました。
空港やバス停などの人が集まるところで、まずはいきなり
などと個人的な質問をします。
当然、ほとんどの人は答えてくれません。
今度は
すると、いきなり質問をするよりも、多くの人が個人情報を教えてくれたのです。
つまり、「好意の互恵性」とは、
がスタートだということです。
それによって、「好意」がキャッチボールのように行き来する。
その応用編が、一部のねるとんパーティが実施しているシステムです。
フリータイムに入る前に、中間的に気に入った相手をカードに記入します。それを、当人に知らせるのです。つまり、自分を気に入っているのは誰かということが一目で分かる。そうすると、自分の名前を記入してくれた相手が気になってしまうという算段です。
妥協もあるでしょうが、このシステムだとカップル成立数が2倍以上に跳ね上がるのだそうです。
ことほどさように、笑顔というのは色々な話題を書くことができるほど、奥が深いものです。
という極端な物言いは別として、商売やビジネスでも笑顔は基本です。
実際、この半年で私は3件、素晴らしいと思える接客に出会いました。
1つは西武百貨店、もうひとつはビックカメラ(家電量販店)で2件です。
でも、本当に実体はそうなのでしょうか。
半年で3件、素晴らしい接客に出会いましたが、裏を返せば3件しかない。
笑顔は商売の・・
・・基本のはずです。
・・基本だったら嬉しいけど。
・・基本・・じゃなくなったかなぁ。
話を戻します。
さて、笑顔が実際に売り上げに結びついてもおかしくないと考えていたある日、2001年1月21日の朝日新聞にこんな記事がありました。
企業向けの「笑顔研修」で、その講習を受けた売り場の売り上げが対前年比61%増になった例があるというのです。
まず、全平均では、50%。つまり、私たちは2回に1回の買い物でしか笑顔を見ることができないという事実です。これを高いと見るか、低いと見るかは読者の皆さんの判断に委ねます。できるだけ広く業種を選んだつもりですが、全業種を網羅しているわけではないからです。
阪本啓一さんのメルマガ「Surfin」で、「フリーターイズムを憂う」のテーマで記事が書かれていました。まったく同感です。
彼の趣旨は「フリーターやバイト」という身分が良くないといっているのではなく、「責任感や当事者意識がないこと」が批判されるべきだというものです。
結局、笑顔を気にするかしないかは、その人が「食べること」や「買い物をすること」をどう位置づけでいるかによるのです。
例えば、食べ物の位置づけには、次の種類があります。
ここまで読んで頂いてまだ「笑顔ってそんなにないものかな」とお思いのあなた。
実は、非常に興味深いコメントが調査をしてくれたスタッフたちから上がってきていました。