コンサルタント・・なんて甘美な響きでしょう。
難問もたちまちの内に解決する。
知識の宝庫。
腕を一振りすれば、バラ色の経営が待っている。
まるで魔法使いのような、神聖で怪しげな存在。
・・なんて思っている人は、ここの読者にはいませんよね (笑)
当の私だって、思ってもいないのですから (^^;
それより、こんな声も良く聞きます。
胡散臭い。
口先だけはうまい。
コンサルではなく、「今猿」(過去の顧客へ提出した報告書のクライアント名だけを書き直した <猿まね> 報告書を数千万円で売りつける)。
理屈だけで使いものにならない。
ある弁護士の主催する弁護士学校のようなホーページの掲示板で、主催者が「こんなのどうですか?」とシストラットのページを紹介していただきました。彼は私の知り合いでも何でもありません。
しかし、一人のアクティブ・ユーザーから上のような反応が返ってきた途端、シストラットそっちのけで、コンサルタントに対する不満や罵詈雑言が続いたという実例もありました。
それでも、コンサルタントという職業に対して夢を持っている人も多いことは否定しません。
学生さんの人気就職先のひとつが外資系のコンサルタント企業ですし、「子供に就職させたい企業のトップテン」にコンサルタント企業トップのマッキンゼーが入っていました。
第一、私の会社に仕事を依頼してくるクライアント企業が存在するということ自体、コンサルタントのイメージは悪いだけではなさそうです。
裏と表の顔やイメージ。
その原因のひとつが、コンサルタントという職業の全貌が隠れているからでもあります。
未知の存在に対する人間の感情は、好奇と恐怖のないまぜになったものです。
そして情報というものは、あいまいで悪いものの方が面白いし、伝わりやすい性質を持っています。社会学の基本の一つです。
想像をあたかも事実のように言う人も多いですし、実際にひどいコンサルタントもいますから、それがどんどんと膨らむ。
コンサルタントが陰に隠れた存在であるのは、仕方がないことでもあります。守秘義務があるので、クライアント企業とプロジェクト内容を公表できないからです。
黒子に徹しなければならないのが宿命。
以前、日産自動車のヒットモデルBe-1を作ったと公言したコンサルタントがいて、雑誌や新聞で話題になったことがあります。しかし、当の日産は「彼に仕事を依頼した覚えはない。広告代理店に頼んだのだ」と宣言。結局、彼にコンサルティングを依頼する企業がどこにもいなくなってしまった。そんな実例もあるくらいです。
ルールを無視したコンサルタントは排除される。
厳然とした掟ですし、だからこそ世間に知られることがない忍者のような存在になってしまっています。
とはいうものの、先日、私が皆さんにお願いした「読んでみたいテーマ」アンケートのトップが「コンサルタントになるには」でした。
そこで、「排除されない範囲 」で、コンサルタントの実状をちよっとだけ紹介するのが今回のテーマです。
以前、「コンサルタント日記」と題した記事の人気が今一つだったので、それとは一線を画しています。あれは、ひとつひとつのブロックが短くて消化不良になってしまったのが失敗の原因だったので、今回は深堀りしてみました。
これはシリーズで展開する予定です。
一部、書籍版に掲載するものもありますが、大半はメルマガでお届けしたいと考えています。
予定しているのは、以下のサブ・テーマです。
私のことですから、人気がなかったりネタが尽きたら、予定を変えてしまいますので、あらかじめご了承下さい。
なお、営業目的でこんな記事を書いているのだろうという方もたまにいらっしゃいますので、あらかじめ「その気はない」と宣言させていただきます(といっても、説得力はないのですが(苦笑))
まず、タイトルどおり、どうやったらコンサルタントになれるか。
簡単です。
という名刺を300円で10枚作る。
これで、できあがりです。
威厳を保つために、ロゴをマイクロソフト・ワードのアートワードで作って貼り込めば完璧。
ただし、そうなると300円では無理です。
そうですね、2,000円〜3,000円にはなってしまうでしょう。
うーん、大金かも。
いや、笑い事ではありませんね。
こうやって作られたコンサルタントはたくさん実在します。特にIT業界に多い傾向です。
IT業界なら仕事もたくさんある。
安心して下さい。このメルマガの読者の半数近くはネット関係やネット関係の技術者ですから、食いっぱぐれることはありません。今のうちなら。
「半分冗談、残りの半分本気」はさておき、コンサルタントになるなんて、しょせんそんなものです。資格も後ろ盾もないから、売り上げの保証もない。
私はコンサルタントを「企業を健康にする医者や弁護士」に例えますが、根本的な違いは「保証」のあるなしにあります。
だから、常にうさんくさいイメージがつきまとう。
ところで、書籍版「私はこう見る」の記事草稿で、「悪魔の辞典版マーケティング用語集」の中に、こんな一節を書きました。事前に見せて意見を聞いた数人のメルマガ・アクティブ読者には大受けでした。納得する部分があったからでしょう。
プロのコンサルタントの後輩には滅茶苦茶不評でしたが。
コンサルタントに限らず、「いつでも簡単に、すぐなれる」携帯電話のような職業はたくさんあります。
ライター、コピーライターなど、文章を扱う商売は自分でもできると錯覚し、おしゃれっぽいから志望者も多い。そして、名刺に「ライター」と書けば次の日からライターなのです。
ところが「自称●●」ということばがあるように、コンサルタントやライターという肩書きや職業は他人に認められて初めて成立するものです。だから、コンサルタントというタイトルを決めるのは自分ではなくクライアントなのです。
試しに、私の愛用検索エンジン、goo で「コンサルタント」と入れてみると、なんと13,158件もヒットしてしまいました。MSNでは211件。Google では124,000件。Inforseekでは「40,000件以上ありました」と件数すら教えてくれない。
コンサルタントがコンサルタントであるには、売り上げがきちんとあり、クライアントがコンサルタント「ならでは」の期待値を持って接してくれるかどうか。これがすべてです。
そういう意味では、「私はこう見る」のまぐまぐへの紹介文の「第一線コンサルタントが深堀り解説・・」のくだりは、「自称●●」に限りなく近いのですが(^^;)
おばかな話をしていても仕方がないですね。
「コンサルタントになるには」というテーマの記事を読みたい人は、コンサルタントという肩書きが欲しいのではなくて、コンサルタントの仕事をしたいからだ、と無理矢理自分を納得させて話を続けましょう。
(実は、肩書き「も」大事だという人が意外に多いのですが)
コンサルタントという言葉は分かるけれど、その実体となるとイメージが掴めない人はかなり多いです。
コンサルタントと広告代理店はどう違うのか。
シンクタンクとコンサルタントは違う業種なのか。
調査会社とコンサルタントは同じなのか。
一般的な定義を見ましたが、私はマーケティング・コンサルタントなので、私や私の会社を理解してもらうには、この分類では大雑把すぎます。従って、森流として、こんな分類をしています。ちなみに、システム・コンサルタントは除外しています。
さて、戦略系、戦術系という分類方法よりも、一部のクライアントにとって大事なのは、
といったコンサルティングの仕方による分類です。
以上、コンサルタントの分類を正式なものと森流のカテゴリー分けで、ご紹介しました。
ここからは、コンサルタントのお仕事がどうなっているのか。もうちょっと突っ込んでお話ししましょう。
必ずといって良いほど上がってくる質問があります。
これまで、様々なタイプを紹介してきました。それぞれの目的で、それぞれのコンサルタントをクライアントが使い分けるのが理想です。
問題があるとすれば、「どんな視点で使い分けをすれば良いか」の基準軸が、慣れないと(つまり、時には成功し、時には失敗しないと)分からないという点です。私たちが商品を買うのと同じ。経験をつまないと良い買い物ができない。ただ、残念なのはその差が激しいという点です。