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自分自信の舞台裏2 - あれから1年後の「私はこう見る」
 【「私はこう見る」メールマガジン】 99.11.1

1万人達成、ありがとうございました

読者の皆さんにご報告いたします。
おかげさまで、「私はこう見る」の登録読者数が1999年11月1日で、1万人を超えました。

10,023人。
雑誌連載記事の平均注目率は2〜5%なので、50〜20万部の発行の雑誌連載に相当する読者数です。ananやフォーカスには負けますが、週間SPA!や日経トレンディクラスといえばわかりやすいでしょうか。
昨年10月の創刊以来13ヶ月間、創刊当初の勢いはありませんが、今でも、読者数は1ヶ月で700〜800人くらいのペースで増え続けています。

ありがとうございます。
読者の皆さんのおかげで、ここまで来ました。
この場を借りてお礼を申し上げます。

98年10月に「私はこう見る」の導入戦略をテーマにした記事を発表しました。メールマガジン市場に参入するための戦略を題材にしたもので、おかげさまで、読者評価もかなり高く、34本の過去記事でもトップ3に入る高い評価を頂きました。
まぐまぐのたった100字の、何げない誰でも書けそうな説明文の裏に、マーケティングに基づいた計算があったこと。その結果として2冠王獲得という事実に説得力があったこと。それらに驚かれた読者から様々なコメントを頂きました。「要するに私は森さんの策略にはめられたのですね」と賛辞が多かったのが特徴の記事でした。

あれから1年、当時の皆さんにお約束したとおり、続編をお送りします。
前回が「導入戦略」ですから、今回は「成長戦略」。
初戦の成功をバネにどのようにして読者数を増加したかについて、コンサルタントの思考回路を解説します。

市場導入に当たって前回検討したのは、どんなメールマガジンにするか、まぐまぐの説明文をどういう感じで作るのか。一般商品でいえば、市場参入に当たっての商品開発とコミュニケーション開発を検討した訳です。
一旦、商品が市場に出てしまえば、今度はその商品をどう育てるかが大事になります。ですから、この記事のテーマは「ブランド育成戦略」ともいえるものに仕上がっています。

なお、この記事は単独でも楽しめるように書きましたが、前回の「導入戦略」とペアでご覧になるとより一層理解が深まります。まだ読んでいない方はもちろん、内容を忘れてしまった方も、一度、ご覧下さい。

1年後の評価は「合格」

まず、導入時の目標達成状況を振り返ります。
導入戦略の時は5,500人の読者数を最終目標としました。現在10,000人の読者登録を考えると軽々とクリアしているように見えますが、これは当時のメールマガジン市場での仮の数字です。ビジネス系メールマガジンの総読者数の2.8%のシェア。これが真の目標です。
現在の市場規模で換算すると、目標数字は10,000人。1年後の現在で、ようやく目標に到達したといえます。「私はこう見る」は、ようやく1人前になったばかり。プロとして恥ずかしくない成果をあげることができました。

【注】「企業・ビジネス」のカテゴリーの捉え方は書店でのそれを応用してシェアを算出したところ7,705人。結果的に「私はこう見る」に有利になっているので、ほぼその1.5倍の10,000人を目標数字に設定しています。

市場成長期での成長戦略は簡単

一旦、世に出した商品を育てるのは、市場が成長期だと実に簡単です。
バブル時代のように、どんなことをやっても売上げが上がるからです。メールマガジンでいえば読者はどうやっても伸びる。減ることはありません。
しかし、これだけで終わってしまっては、コンサルタントの立場がありません。先を見すえた手を売っておく必要があります。そうでないと、市場成長が止まったときに苦労します。皮肉っぽい言い方をすれば、一見簡単、実は極めて難しいのが成長戦略です。

では、市場が成長しているときには何が最も大切か。
成長の波に乗ることです。
どうすれば、波に乗れるか。
他の競争相手とほとんど同じ事をすることです。

ただし、うまくその波に乗りつつ、少しずつでも他の競争相手より前に出ないといけません。特に、私より時期的に前に創刊されたメールマガジンとの差を縮めなければ、読者数は増えてもシェアは同じになってしまいます。そうなると再三言うように市場全体の成長が止まったときに苦労します。
かといって、先を急ぐあまり、差別化をしすぎるてもいけません。市場成長の波に乗れなくなってしまうからです。香辛料程度にちょっとだけ差別化をするのが吉です。

「私はこう見る」の場合、導入期にすでに差別性を意識して執筆方針を決めました。だから、実際はその差別化ポイントがきちんと差別性を維持しているかどうかを、新規参入の競合メールマガジンを見ながら、チェックすることで事足ります。

では私は、具体的にはどうしたか。
「私はこう見る」の最も重要なまぐまぐの説明文。これについては、1年間一切手を入れていません。一字一句同じです。
ただ、例えばドリキャスは死んだも同然ですから、今更「ドリキャスはどうなる?」といっても興味は引きません。創刊1年後に事例だけは変更しました。

なお、ドリキャスや桃の天然水には読者獲得のお世話になりました。
ドリキャスは発売直前から数カ月、桃天はカビ混入事件の時に、インフォシーク等のキーワード型検索エンジンでそれぞれを検索した方が大挙して訪れてくれました。

話を戻しましょう。
実際、まぐまぐ10,628種類のメールマガジンの中で、「私はこう見る」は99年10月21日現在で189位 (出典 : Selfbiz News) にまで上がっています。

■「私はこう見る」の発行部数の推移 (各月末)

【表は非公開とさせていただきます】

【注】ココデメール4月〜10月は推定値。11月は1日の値。

■配信システム別読者構成比

【表は非公開とさせていただきます】

説明文の効力が続いているのは、まぐまぐ以外の配信システムの読者獲得状況を見ても分かります。ココデメール、めるぼっと等の、まぐまぐに続いて新設された配信システムに新規登録をすると、登録メールマガジンはみんなスタートラインは同じですが、その中で、「私はこう見る」はビジネス系で常にベストスリーに入るのです。

Pubzineだけはまぐまぐの管理体制に反目した発行者達が、今までの読者を引き連れて大挙して移行したので、スタートは他のトップクラスの規模のメールマガジンと比べて遅い成長でしたが、今では順調な伸びを示しています。

「何も変更しないこと」は、そこに意志があれば、最高の戦略となり得るのです。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

基本中の基本、流通戦略

競合相手と同じ事をするのが成長戦略では大事だといっても、最低限、押さえなければならない戦略ポイントがあります。競合相手が実行していないものでも、きちんと実行しなければなりません。

それらをマーケティングの基本である4Pに従って解説します。
ちなみに、4Pとは以下の4つの戦略のことです。

●製品戦略(Product)
●価格戦略(Price)
●流通戦略(Place)
●コミュニケーション戦略(Promotion)

記事の構成上、順番が異なります。ご了承下さい。

マーケティングの基本中の基本は流通戦略です。
そして、新製品の売上拡大を考えるなら「配荷を高める(取扱店を増やす)」これ1本です。
イトーヨーカドーだけでしか売っていない商品より、ダイエー、ampmでも、そしてソニープラザでも買えるようにしておく方が売上が伸びます。逆に、いくら良い商品を作って広告をバンバン流しても、扱店数がなければ1個も売れません。

コミュニケーション戦略と価格戦略

一般商品では成長期の広告戦略はかなり重要です。
「知らなければないのと同じ」ですから、商品の存在を知ってもらわなければ話になりません。
メールマガジンでいうところの広告はリンク促進や検索エンジンへの登録です。
「私はこう見る」では、51の検索エンジンに登録しましたが、それ以外に、実は、表立って広告戦略を実施しませんでした。
その理由は後でお話しします。

製品戦略は一番大事にしたいもの

導入期では極めて大切ですが、一般商品の成長戦略では特に気にする必要がないのが製品戦略です。いいものを作って、それが市場成長の波に乗りさえすれば、無闇に手を入れないほうがいいからです。成長期の中盤から後期にかけては姉妹品の発売などのファミリー戦略が必要になりますが、メールマガジンでは「私はこう見る・上級編」とか「私はこう見る・女性版」のような形に発展させるにはまだ早い施策です。

しかし、「私はこう見る」では、あえて製品戦略を最も重要な戦略として位置づけました。商品の質、つまり、記事の面白さです。
理由はいくつかあります。
しばらくおつきあいください。

製品戦略・3回に1回の感動

記事の質を維持・向上するのが「私はこう見る」製品戦略の第1目標とお話ししました。
しかし、毎回、すべての読者に感動を与えるのは、私の技量では不可能です。というのも、読者は「マーケティングの初心者」という唯一の共通点があるものの、それ以外は皆さん、様々な価値観を持っているからです。

それぞれの読者の関心事をすべて盛り込もうとすると、表面をなぞるだけの毒にも薬にもならない記事が毎回出現します。これでは、読者はついてきてくれません。百貨店は退屈だけど、パルコなどの専門店集合体ビルはメリハリがあって楽しいのと同じです。従って、2つの方向性で記事を構成するようにしました。

製品戦略・毎回楽しめる仕掛け

残念ながら、すべての記事に興味を持ってもらうのは不可能ですが、読者のちょっとした工夫で、毎回記事が楽しめるようになります。
記事内容を自分が所属する業界や会社に当てはめてみるとどうなのだろうか、と考えるのです。このことは間接理解といいます。逆に自分の目前のものに興味を示すのは直接理解。
読者が間接理解をしやすいように、記事にはいくつかの工夫をしています。

製品戦略・計算された脱線

皆さんによく指摘されるのが脱線です。
読者の声を見ていると賛否両論があります。
脱線のせいで記事が不要に長くなるので読みにくくなるというタイプと、脱線が楽しいというタイプです。
日経netnavi9月号では「計算された脱線」、アクティブ読者のマーケッター五郎さんからは「確信犯的な脱線」などという称号を頂いています。

広告戦略としての記事の質

質の高い記事は、同時に成長戦略でも最も重要なコミュニケーション戦略にも良い影響を与えます。
その理由を実際の例を見ながら説明しましょう。

「私はこう見る」の読者獲得割合を見てみると、こんな感じになります。

当たり前のことを当たり前に。ただし、徹底的に

「私はこう見る」の成長戦略ポイントは、記事の質を高める製品戦略と申込をしやすく、たくさんの人の眼に触れる流通戦略の2つに他なりません。

「良いものを買いやすい環境に」

成長期におけるマーケティングの基本はこれだけです。実にシンプル。

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