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パンがなければケーキを食べたらいいのに【パン】 2003.1.15

ニッボン人の朝食事情

おはよう。
…と来れば私たちの年代では、「スパイ大作戦」の

「…フィリップス君」

ですが、私のイメージは決してトムクルーズではなく、あの金髪のピーター・グレイブスでなければなりません。

そんなオヤジの戯れ言はどうでもよろしい。
朝といえば朝食。
厚切りトーストをくわえながら、キャミソール姿の女性がシンプルなマンションの一室で、モーニングカップのコーヒーを飲む・・
いかにもステレオタイプ。アンアンに毒されたイメージが浮かんでしまうのは一種の職業病です。

でも、誰しも、間違っても、駅構内の立ち食いそば屋で時間を気にしながら、ハフハフ言ってそばをズルズルすすっているサラリーマンは思い出したくもありません (笑)

実は、みそ汁と納豆や卵焼きの組み合わせという純日本風の朝食も健在です。
20代の若い人たちでも朝食のごはんとパンの比率はほぼ半分。意外にもごはんが健闘しています。

公開データで見るとみんなの朝食の雰囲気がわかります。
このメルマガの中心読者層である20-30代社会人で見てみました。
(出所 : 「きかせて・net」http://www.kikasete.net/

●朝食を毎日食べる人は20-30代社会人全体の約7割、71.2%です。
食べない時もあるという5.9%を加えて約8割。

●その中身はというと、パン派が64.1%、ごはん派が52.3%。
多少、パン派が多いモノの、半々くらいと考えて良いでしょう(複数回答なので100%を超えます)。
ただ、未婚男性はごはん派が64-65%でパン派が57-58%と逆転しますし、未婚女性がごはんが47-48%に対して、パンが70%と全体傾向を強めた感じになっています。

要するにほとんどの人が朝食を摂っていて、パンとごはんは半々であるものの、若い女性はパン派が多少多く、若い男性は多少ごはん派が多い。
みなさんがイメージする像とそんな変わらない結果となりました。

さて、このデータには「朝食に何を求めるのか」という質問が入っていました。
パン派、ごはん派で差がある項目を見ると、興味深い数字が並びます。

派閥 項目 支持
パン派 ●身体を目覚めさせたい 75.0%
パン派 ●とにかく1日3食で健康を維持したい 72.9%
パン派 ●身体に良いものを摂りたい 69.0%
パン派 ●簡単・手軽に食べたい 66.7%
ごはん派 ●エネルギー源を摂りたい 69.4%

パン派は目的がはっきりしていて、かつ、手軽に健康維持するためにパンを選んでいることが良く分かります。

「ふむふむ、やっぱりパンは健康、ごはんはエネルギー。そんな感じですかね」

私の後輩です。
そこに、過去にも登場したひなちゃんが乱入してきました。若干21才。あるファッション・ブランド店に勤務するバリパリのおしゃれっ娘です。

「えーーー、うそですよ。これ、なんかヘン」

「えっ、何でだよ」

と後輩が色めき立ちます。

「だって、私だけじゃなくて、お店の女の子や私の店が入っているファッションビルの女の子たちにパンは人気ないもん。
私もごはんの方が好きだし」

「だって、これちゃんとした調査だよ。
ひなちゃんの一部の周りだけの流行じゃないのかな。
ほら、立ち仕事で身体を使うからパンじゃ物足りないとか、特殊な事情なんだよ、きっと」

と、彼はコンサルタントの卵らしく、調査データをまず信用しようとします。

「えーーー、そうかもしんないけどさ、でも違うよ。
机の上の数字だけじゃないもん」

と口をとがらせながら、彼女は不満そうです。

「もうちょっと話を聞いてみようか。
実は、私もちょっと疑問を持ち始めているところなんだ」

と私が口を挟みます。

最近、おにぎりを代表としたごはんがものすごいブームです。
コンビニおにぎりは昔からのヒット商品ですが、おにぎりだけの小さなお店が大ヒットしています。
小田急線のおにぎりキオスクが注目を浴びた最初ですが、東京駅のおにぎり屋を筆頭に、街にはおにぎりを並べたお店が次々と出現しています。

それだけではありません。
脱サラ組3人が始めたお茶漬け屋が大盛況し、今やチェーン展開しようという勢いのご時世です。永谷園のお茶漬けのテレビ広告が大ヒットし、売上げが一気に上がったのも、広告だけの問題ではなく、背景にある生活者ニーズがあったからです。

ごはん人気上昇とともにパンが押されて人気下降。極端に進むとパン嫌いが発生する。そんな現象があったとしても何ら不思議はありません。

調査データは大事ですが、往々にして隠れている真実も多いものです。
ましてや、調査は「現在を拾うモノ」ではあっても、「未来を予測することはかなり難しいモノ」です。
もし、ひなちゃんのことばに「パンの未来」が隠されているなら、ちょっと面白いことになるかも知れません。

なぜ私が調査データを疑ってまで、パン嫌いが気になっているのか。
彼女の職業にちょっとピンと来るモノがあるのも理由のひとつです。
ファッションビルに限らず、デパートなどに勤める若い女性はオピニオンリーダーになることが良くあるのです。

マーケティング用語でいうところの「イノベータ」が多い分野です。
従って、彼女たちに流行ったものは後々になって一般大衆が追いかける構図を良く見かけます。

「現在のパン」イメージが良いとしても、もしイノベータが「そうではない」と考えているなら、早晩、パンのイメージが変わることも十分にあり得ます。
いいきっかけだから、ちょっと考えてみましょう。

ということで、今回のテーマは

「パンには未来があるのか」

です。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

「ちぇ、パンかよ…」

さてさて、まずはパンの消費量を見てみましょう。
最も正確なのは食糧庁のデータです。

パン全体のうち、半分の50%を占めるのが食パン(普通食パンのほか、コッペパン、レーズンパンなど)、続いて菓子パン(アンパン、デニッシュなど糖類配合10%以上のもの)の30%。
そして、その他パン(フランスパン、欧風堅焼きパン、ロールパン、クロワッサン、調理パンなど)が17%と続き、最後に学校パンが3%です。

いつものやり方は…通用しません

いつもなら、ここで一般の人たちの話を聞くのですが、先ほどのデータで一般人のパンに対するイメージには昔と大差がないことが分かっています。時間の無駄なので、止めましょう…といいながら、いつものクセで聞いてしまいました (笑)

若さのリトマス試験紙

話を聞いているうちにこんなエピソードも出現しました。
話の内容がオヤジの私にはびっくりするものでした。
それは

「コンビニでサンドイッチとおにぎりを買って、普通に昼食として食べる人が多かった」

のです。

ごはんとおかずの東西事情

話を元に戻します。
今度は手を変えてみましょう。話を進めるきっかけをごはん対パンにしてみるのも一つの手かも知れません。
一般の人たちに潜んでいる何かを探り当てようとするには、普通のやり方をしていても埒があきません。
主食としてのごはんとパンをもう一度洗ってみよう作戦です。

ファッションビルでのインタビュー

「森さん、森さん、ちょっと聞いてみたんですよ。
20人くらいに聞いたんですよ、ファッションビルの子たちに」

ひなちゃんがシストラットのオフィスにやってきました。
発想の途中ですが、せっかく彼女が頑張ってインタビューをしてきたのですから、無下に断るわけにも行きません。
統計的には20人は大したサンプル数ではありませんが、実務上、十分使える数です。それを休憩中に聞いてきたという彼女も気合いが入ってます。

相方に見るパンの実態

派生形の話はここまでにしましょう。パンの話です。
まてよ、よくよく考えると、パンはちっとも健康的ではないじゃないですか。
いや、パン自体ではありません。組み合わせの相方が、です。

余談:和食サンドイッチの試食実験

実はこのメルマガを執筆するに当たって、パンと和風総菜の組み合わせを色々と実験してみました。
パンの相方として、サラダやサーモンなどの洋風「健康イメージ」と組み合わせるのは当たり前です。ヒット商品となるかも知れませんが、何か面白味に欠ける。

アメリカで学生時代に教授の奥さんが日本人で、クリームチーズと明太子をサンドイッチにしたものが意外においしかったので、バカなことをやってみたくなりました (笑)

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