readers' voice

励ましや、おしかりの言葉、ありがとうございます。

他の読者の方々の中にも、同じご意見を持った方がいらっしゃるかも知れません。自分の考えをまとめるための参考になる場合もあります。だから、「読者の声」は大事にしたいと考えています。
原則として、原文を掲載しています。新しい声から順番にご紹介しています。

それぞれの方々へのご意見もお待ちしています。
こちらのフォームで投稿するか、voice2@systrat.co.jp へお送り下さい。

この色は皆さんの声 (お返事付) この色は皆さんへのご意見です
この色は皆さんの声 (お返事なし)

「私はこう見る」全体について 【その3】

 <atoshioさん> 【コンサルタントは今、一番興味のある職業です】

         「????」99.1.29

私は、中堅の広告代理店でSPプランナーとして日夜、いろんな企画書を創っていますが、コンサルタントという職業も、”生活者”と言ったり、クリエーターではないが、コンセプトワークが有るなど、とても似通った職業なのかなあ?と思いました。

コンサルタントと言っても、現在流行のシステムとかを組んだりする人達もいたりして、各人が担当する分野もかなり多岐に渡るんでしょうか?
また、なる為には、メチャンコ金のかかるMBAの取得や中小企業診断士の免許とかが必須ですか?

今、一番興味のある職業です。
よろしかったらお教え頂けますでしょうか?


【お返事】

>クリエーターではないが、コンセプトワークが有るなど、とても似通った
>職業なのかなあ?と思いました。

同感です。
この2つの職業は、重なる部分とそれぞれの持ち味を持つ部分とが入り交じっています。SP プランナーの方々と共同で仕事をすることもありますが、2つのものの見方があります。

1つは、時間軸です。
どちらかというとコンサルタントは、コンセプトワークまでを対象範囲とします。
そして、SP プランナーは、コンセプトワークから実際のアプリケーションを担当します。ここで、「コンセプト」の部分が重なるわけです。

もうう1つは、コンサルタントは企業のブレーン的な存在という見方があります。
つまり、企画→実施というラインの中にいるのではなく、参謀として大将の横でアドバイスをする、という黒子です。こうなると、SP プランナーの方々とは重なることはあまりありません。

>コンサルタントと言っても、現在流行のシステムとかを組んだりする人達
>もいたりして、各人が担当する分野もかなり多岐に渡るんでしょうか?

はい。一言でコンサルタントといっても、経営コンサルタントもいればシステムコンサルタントもいます。この分類については「コンサルティング・ファームの仕事」という良い本がありますので、一度ご覧になってはいかがでしょうか。
確かダイヤモンドだったと思います (すみません。今、探したのですが、誰かがその本を持っていってしまったようです)

>また、なる為には、メチャンコ金のかかるMBAの取得や中小企業診断士の
>免許とかが必須ですか?

いえ。少なくとも私はどちらも持っていません。
また、以前在籍していたコンサルティング・ファームの部長は大学中退です。
MBA は外資系コンサルティング・ファームでは必須です。
MBA を持っている人たちは私の知っている限り、かなり優秀な方が多いのは事実です。ただし、「経験があれば」という限定付きですが。
MBA は日本の場合「若くても高い費用を取るための良い訳」として使われている気がします。

中小企業診断士は経営コンサルタント、特に中小企業をメインのクライアントにしている場合は、あった方が何かと便利だと思います。中小企業の場合、問題は営業とか商品開発のような1つ2つの要素だけではない場合も多いからです。つまり、財務や人事等も含めた総合的な知識と経験がないと、良い仕事ができない商売です。

コンサルタントって、そういう意味では弁護士のように資格があるわけではないので、名刺を刷ってしまえばコンサルタントになってしまう、という非常にうさんくさいビジネスです。ですから、コンサルタントかどうか、というのは、周囲 (クライアント) が決めることであって、自分が決めるものではない、と思います。

具体的な方法としては、本を出して中身を世に問うことでようやく、周囲も認めてくれるのがコンサルタントなのではないか、と考えています。

 <ぴろりんさん> 【読者の声の通常版は必要がないのでは】

         「????」99.1.1.14

はじめまして、ぴろりんといいます。

私はこう見るの読者の声の完全版は別に発行しているとのことですが、それなら、部分的でしかない通常版はあまり意味がないのではないでしょうか。

個人的には、本編のほうはちゃんと読むが読者の声のほうはあまり読まないのでそれらを分離してほしいのですよね。

通常版でも人気はあるのでしょうか。


【お返事】

>それなら、部分的でしかない通常版は、あまり意味がないのではないでしょうか。

ご提案ありがとうございます。
機会があれば、アンケートで皆さんのご意見を取りたいと考えています。
現在のところ、「参考になるものがあれば得する機会もあるのではないか」というスタンスで「読者の声だけ」のものを発行しています。これが、何も情報がないままだと、すべてシャットダウンされてしまうわけですから。
もう少し様子を見させていただけると嬉しいです。

>個人的には、本編のほうはちゃんと読むが、読者の声のほうはあまり読まないのでそれらを分離してほしいのですよね。

正直言えば、シストラットとしても通常版はないほうが作業が楽なのです。
まず、メールマガジンの全文掲載版を編集し、それをホームページ版に流し、形を整える。最後に、私からの返事を削除して、全てのコメントに URL を記述し、受け入れるホームページにタグをつける。こんな作業が2週間に1度あるのです。

実際の作業はスタッフが担当しますが、最初のフォーマットは私が作りましたので、その煩雑さは身にしみてわかっています。

>通常版でも人気はあるのでしょうか。

これは、私もわかりません。良い悪いの反応がまったくないからです。ぴろりんさんのご要望が初めての反応です。時々、「無駄なことをしているのではないか」と思うときもあります。

 <せいぞーさん> 【郵便事業の赤字について】

        「????」99.1.9

【関連の「声」】

 <えんやさん> 【メールマガジングランプリって知っていましたか?】

 せいぞーと申します。私は郵便局員なので、その立場から郵便事業の赤字の件について書いてみます。立場上、郵便局に有利になるような書き込みになりますが、弁解もしたいので。

 郵便局での小包、必要ですよ。今でこそ民間も全国規模でやってますが、以前は違っていましたよね。
また、いまでも、一部の離島の方では、宅配便は港までは配達しても個別の家までは配達しないと聞きますよ。
宅配便の小包は誤配も多いです(郵便局も絶対にないとは言い切れませんが、確率的に低いです)。郵便配達をしていて見かけるのですが、明らかに違う家によく入ってます(クロネコメール便とか、特に)。

また、阪神淡路大震災の時に宅配便は1ヶ月以上配達してませんでしたが、郵便局は避難場所等の名簿をつくり、ちゃんと配達してました。
また、転居・送付先の住所の書き間違い等で送付先が不明な場合、結構一度宅配便でだした物を運送会社から再差出する場合もあります。

ですから、転送手続きもあるし、住所が不十分でも局員は毎日の郵便配達によって名前を見れば住所も判明するくらい情報には詳しいので、確実に届けたい場合は郵便局で送った方がいいと思います。
私も、難しい住所(住所の書き間違い,番地の未記入等)の場合、民間の運送会社の人にも、「この小包の住所、どこ?」と、よく尋ねられます。

ただ、16kgを超えるものの場合は民間でないと駄目ですけどね。
料金も、民間のものよりも少し安く設定してますし、11個目は無料で送れます。
また、西濃運輸のようにクール便の保冷施設を持たない運送会社のクール便は、郵便局が依託されて配達してます。

チルドゆうパックはクール宅急便の真似だと思いますが、小包配達追跡状況をインターネットで検索するシステムは郵便局の方が先です。こういった、競争によるサービス合戦も大事だと思います。

赤字なのは、カタログ小包(いまは冊子小包という名称になってます)も一因です。
昔はこの分野は民間は扱っていませんでしたからね。郵便事業は独占だといいますが、実際、葉書と定型郵便等の信書,カードの送付等以外は民間も取り扱っています。この分野まで民間に安い料金で取られたのも大きいはずです。

例えば、JAFの機関紙JAF MATEの場合、民間だとコストのかかる田舎地域は郵便での配達で、コストの低い都市部の配達は民間宅配業者です。JAFとしてはそちらのほうが安くて済むでしょうが、実際、こういったことをされたら、そりゃぁ郵便局もたまりませんよ。もうかりませんよ。

それに、民間メール便に対抗することもあって、料金を値下げしたのだから、料金値下げに見合う分以上の冊子小包利用件数を増加させない限り、以前程儲かりはしないでしょう。都心部だと、営業センターがあって営業できる余地もありますが、田舎の方だと総合担務制になっており、外務員は郵便・貯金・保険を全て一人でしなければならなくなっており、郵便の営業をする余裕もほとんどありません。

かといって、仮に、営業を積極的にやり、大幅な黒字をだしても「民業圧迫だ!」と批判されるに決まってます。難しいところです。

 郵便番号7桁化ですが、意味はありますよ。まず、郵便区分の人員が減らされました(賃金コスト削減)。家の近くの久留米東郵便局でも10数名減らせれたと聞きます。そのかわり、結構な値段の7桁対応区分機を買ってるので、経済的に効用が出るのは年月がかかると思います。でも、この区分機は定型外郵便には使えないので、必ずしも万能ではありません。まぁ、定型外の場合は厚さを伴うものもあるので、区分機が定型外にも対応したとしても、機械で高速に処理するのは無理な場合もあるだろうとは思います。

また、7桁にすることによって、配達のスピードアップになってます(その分残業時間短縮。賃金コスト削減)。町別・大字別等で分けた7桁対応の郵便物の配り方で配達区を設定し直したので、5桁の頃よりも手作業でする手間が減りました。以前は配達局には配達局の郵便番号のもの全てがまとめて、町名・大字名等ばらばらで届けられてました。ですから、配達局で配達区毎に内務者が仕分けする必要がありました。いまは、既に町名・大字名別に仕分けされたものが配達局に届くので、手間が少し減ってるのです(その分、内務者(人件費)は不要になります)。

また、消費者のメリットですが、7桁対応ワープロを使ったことがある人なら分かりますが、郵便番号を入れると住所まで自動入力してくれるので、後は番地を入力するだけで済み、楽です。

また、手書きの場合でも、7桁の郵便番号を宛名に書いていただければ、町名等は省略できます。その分、手間が減ります。ただ、郵便番号が違ってる場合もあるので、一応町名等も書いていただくと宛名を推察して送ることができるので助かります。以前、郵便番号と番地だけが書いてある郵便で「この番号の町に、こんな番地あったかなぁ?」と悩んだことがあります。個人的には、絶対に郵便番号を間違えてない自信があるときのみ、住所を省略してほしいです。

 最後に、一郵便局員としてお願いがあります。住所と郵便番号はきちんと書いていただきたいのです。今年の年賀葉書を仕分けしていて感じたのですが、結構皆さん番号が違ってます。0と6,1と4はしょっちゅう入れ変わって書いてあります。宛名の住所に自分の住所を書いている方もいます。番地が電話番号のパターンもあります。相手が番地を漢数字で書いてだした郵便物の住所から相手の住所を推察して、当人がその返事をアラビア数字で書く場合だと思われれますが、3が12,12が3になったりしてます。また、番地を書かずに町名だけ書かれる方がいらっしゃいますが、番地(マンションは棟番号,部屋番号)まで書いていただくと有り難いです。というのは、同じ町に同姓同名の方が複数いらっしゃる場合、どこに配達してよいのか困ります。また、大人の方ならよく郵便物が来るので名前を名簿に載せていて大体分かるのですが、子供さんの名前の場合、どの家なのか分からないことがあります。それから、差出人の住所と氏名を書いていただかないと、配達不能で差出人にお返しする場合、郵便物をどこに返すかが分からなくなります。

でも、結局のところ赤字になろうが、国家機関とはいえ郵便局の場合1円たりとも税金は使っていないのですから、あまりに厳しく批判されても困ります。

 急いで書いたので、支離滅裂な文章ですいません。(^ ^;


【お返事】

コメント、読ませていただきました。
私が間に入ってコメントをつけるより、このまま掲載させていただいた方が良いかと思いますので、そのようにさせて頂きます。

もし、ご要望等ありましたら、お気軽にご連絡ください。

 <匿名さん> 【コンサルタントはどのようなノウハウを持っていますか】

        「????」99.1.9

初めてお手紙を出します。
最近自分の端末にネットが接続されたのを喜んで色々覗いて遊んでいたときに友人が紹介してくれたのが貴サイトの日立の記事でした。

前置きが長くなって恐縮ですが、この日立の記事はまさに目から鱗と感じました。小生まったくマーケッティングのバックグラウンドを持っておらず、この記事を読んだ時に目の前に自分の知らなかった大きな海が広がっているのを感じた次第です。特に小生のいる業界は既に飽和、成熟産業と言われ、「差別化」という言葉が叫ばれて久しいと思いますが結局のところ「差別化とは何か」「どうすれば差別化出来るのか」「したらどうなるのか」という事を突っ込んで考えていないな、と感じました。「良い物を作れば売れる」と良く言われますが、「良い」とは何か、逆に「売れれば良いものなのか」しみじみと考えさせられました。

以前友人のエンジニアより「デザイナーはスキルで評価される。エンジニアはアイデアで評価される。マーケッターはその示す方向で評価される」といわれた事があります。まだまだ漠然ですが記事を読んでなんとなくこの意味が解ったような気がしました。

で、実は貴記事を全て読んで一つとても気になる事があります。
ぶしつけをご容赦頂き教えて下されば幸いです。

生活者が何を望むかを知るための方法論や様々なサイン・兆候の分析と、「どれほど売れるのか」という定量的な予想を結ぶどのようなリングを持っておられるのですか?

前にうちの宣伝屋さんが「この広告を出せばどれだけ余計に売れるんじゃ?と聞かれる」とこぼしておりました。1000万円の広告を出して1000万円以上の対価を求めるのは解りますが具体的にいくら売りが伸びる、或いはイメージや市場認知度といった無形のバリューがどれほど得られるか、その価値評価・分析もまた大変だと思います。

製品はいくつものPが加わって商品となるとの事で、自ずと製品戦略と商品戦略は異なる物になるのでしょうが(製品戦略のパラメーターはコスト、品質、納期、商品戦略はお客層、価格、製品、立地条件等々・・すいません適当な思いつきです)「この製 品をこの購買層にこの価格でこのプロモーションで販売すれば、結果どれほど売れる。」、或いは「この購買層でこの価格帯でこのシェアを獲得するにはどのような製品をどのようにプロモーションをすれば良い」等具体的な数字予測をどのように、どこまで絞り込めるのか、今の小生には雲をつかむような感じで非常に不思議なのです。

例えば貴記事を読んだあるファミリーレストランが社員教育に目覚め、大きな時間・費用の投資をして最後には比較レストランと同じレベルの接客度を(ランダムに調査して)達成した時、そのレストランは店のブランド、そこに働く者の誇り等も含めて確実にレストランとしての価値を高める事ができたといえると思います。で、どれほどの売上増を見込めるのでしょう?(勿論分析にも有りましたようにセルフ化に進むのも一つの方向ですが・・)

貴社のノウハウに触れる部分もあるかと思いますので基礎知識レベルでのご示唆を頂け れば幸いです。

最後になりましたが思わぬ世界を紹介して頂き本当に有り難うございました。(触発されまして、今いろいろな本を読む事にはまっています)これからも読者の世界が広がるような記事を期待しております。今後のご活躍をお祈り申し上げます。


【お返事】

>ばれて久しいと思いますが結局のところ「差別化とは何か」「どうすれば差別化
>出来るのか」「したらどうなるのか」という事を突っ込んで考えていないな、と

ものすごい基本的ですが、ものすごい大事なことです。
正直言って、このことを本当に真剣に考えて実行している企業はそう多くありません。
考えようとしている企業はかなり多いのですが、それでも、きちんと身体で分かるだけの結論を出している企業や個人は少ないものです。

>「良い物を作れば売れる」と良く言われますが、「良い」とは何か、逆に「売れ
>れば良いものなのか」しみじみと考えさせられました。

自嘲を多少加えてコメント差し上げれば、誰が何と言おうと「売れるものが良いもの」です。マーケティングの立場から言えば、

「良いものは売れます。『売れないけど、良いもの』は、結局、『本当に良いもの』ではありません」

ということです。
ただし、この場合の「良いもの」の定義の中には、「・・と知られている」という告知の問題がありますし、「現在市場に出回っている他の商品より・・」という比較論が含まれています。

この思想の根底には「生活者 (ユーザー)が一番」という考え方が流れています。
「良いものなのに売れない」という嘆きを良く聞きますが、その大半は「どうせ、素人には分からない」という開発者の欺瞞が背景に流れていることがままあります。
「売る相手は誰か」「誰が買ってくれるのか」を考えれば、一目瞭然です。彼らが「バカ」にしている「素人」が判断するのですから、その判断が「事実とたとえ違っていようが」「正解」であり「すべて」です。

もちろん、匿名さんの業界は一般消費者が相手ではなく、きちんとした知識を持った企業担当者が顧客ですから、この傾向はほとんどないとは思いますが。

>漠然ですが記事を読んでなんとなくこの意味が解ったような気がしました。

ありがとうございます。
他のエンジニアの方達の評価は分かりませんが、マーケターに関する限り、まったく同感です。

----------------------------

>生活者が何を望むかを知るための方法論や様々なサイン・兆候の分析と、「どれ
>ほど売れるのか」という定量的な予想を結ぶどのようなリングを持っておられる
>のですか?

ものすごい素朴な質問で、ものすごい的確なのですが、答えるのもものすごい大変です。
ノウハウ云々以前に、我々コンサルタントはそのツールをたくさん持っているために、全部説明しようとすると本1冊屋2冊では到底間に合わないのです。
「2001年 ブランドの明日が見える」はこのような問題意識に答えるために書いたものですが、それでも、全容の10分1も書き切れていません。

例えば、この質問を以下のように医者に置き換えてみるとおわかりになると思います。

患者にとって何が健康体でない原因かを知るための方法論や様々なサイン・兆候の分析と、「いつごろ、どんな形で健康体になるのか」という定量的な予想を結ぶどのようなリングを持っておられるのですか?

この質問の場合、「熱が出ているのか」「頭痛がするのか」「胃がむかつくのか」等、症状は何でも良い訳です。
で、計測するのも単に「胃がむかつく」のに体温を測っても仕方がありませんし、熱があるのに、いきなり手術をするわけには行きません。
すると、説明するのに

●発熱なら

●頭痛なら

●腹痛なら (しかも、むかつく程度が、刺すような痛みか、鈍痛か、胃か腸か・・・)

と様々な事例を上げて説明しなければなりません。
対応方法にしても、薬あり、手術あり、食事療法あり、日常生活改善あり、と多岐に渡りますし、薬だけでも何1000種類もあります。

これが「大変だ」という根拠です。

------------------------------------

とはいうものの、無回答のままでは失礼なので、簡単に概要だけをお話しします。
定量的な予想の方法は意外に単純です。
まず、最大値を算出します。
これは、ターゲットとなる顧客 (生活者) の理想の最大値を調べます。
「買ってみたい」という意識項目を見れば、それが分かります。もちろん、「うそつき率」によってある程度補足しなければなりません。

潜在需要の場合は、「知名」「理解」「好意」「トライアル」のそれぞれの比率を見て、「正常な状態の場合なら」どれくらいの需要規模になるか、を算出すれば潜在需要の理想規模が出てきます。

さて、それらを目標として、どうそれぞれの項目を最適化するか、を定性的 (戦略的) に判断するために、現状認識→方向性→コンセプトを定めていきます。
そして、もう一度、それぞれの要因の歩留まりを算出した上で、理想数値を修正します。
この中には、業界によって影響度が異なりますが、「価格」「流通」「コミュニケーション」「競合」の要因が検討対象として含まれます。

抽象的で申し訳ありません。
でも、具体的に書こうとすると、とんでもない分量になるのでご勘弁頂ければ嬉しいです。

--------------

>求めるのは解りますが具体的にいくら売りが伸びる、或いはイメージや市場認知
>度といった無形のバリューがどれほど得られるか、その価値評価・分析もまた大
>変だと思います。

大雑把に言ってしまえば、マーケティングでは商品力の3倍までは売り上げを伸ばすことができる、と常々言っています。
逆に言えば、10の実力を持った商品は30まで販売量を上げられますが、100の実力を持った商品を作った方が早い場合もある、というわけです。

(もちろん、マーケティングは10の実力をもった商品を50の実力のものに改良する、あるいは、100の実力を持った商品のコンセプトを見つけることも可能ですから、厳密には何10倍もの売上増が可能ですが)

ただ、私自身のこだわりとして、安易に商品開発を薦めることは自重するようにしています。というのは、コンサルタントとして、「この商品はダメです。だから、新しいものを作りましょう」というのは、最も簡単で無責任な提案だからです。

いや、本当にダメな場合も確かにあります。
でも、自分自身メーカーの商品開発に携わってきて感じるのは、「できることなら、今まで時間を使って、苦労をして作り上げた商品をなんとか育てたい」という気持ちを捨てきれない、ということです。自分の非を認めることも大事ですが、それまで関わってきた他の部署のスタッフ、例えば、営業マン、広告部、製造部門のみんなの顔が浮かんでくるのも事実です。「彼らになんて言って詫びれば良いんだろう」というのが本音でした。

コンサルタントとして、冷静な目で実情を見ることは重要ですので、「できないものをできる」とは言いません。でも、「商品改良まで行かなくても、ここまでは売上やシェアを伸ばすことができる。これでいかがでしょう。これ以上の数値が社内的に必要なら、残念ながら次のステップ (例えば商品改良、新商品開発) に移行せざるを得ないのですが」というスタンスは守るようにしています。

--------------

>す。で、どれほどの売上増を見込めるのでしょう?

これは、チェーンによって異なります。
現有資産がそれぞれ異なるからです。
例えば、チェーン店舗数が1000のチェーンと500のチェーンでは、売上規模も伸び率もことなります。

また、競合状況によっても異なります。
ある1店の周辺に10もの競合店がある場合と、2つしかない場合では伸び率が変わります。
また、ネームバリュー (ブランド資産と言い換えても良いです) も影響します。
細かいデータ、特に消費者データがないので、ここで算出することはできません。
ただ、大雑把に言った3倍までは、伸ばすことは可能でしょう。

ただ、状況変化の変数はそう多くありません。
検討対象としては10-20くらいでしょう。もちろん、プロジェクトの進行に従って、これらの変数は2-5くらいに絞られていきます。

--------------

>(触発されまして、今いろいろな本を読む事にはまっています)

こういうお話しが嬉しいです。
このメールマガジンの目的の一つですから。
ご質問等ありましたら、お気軽にご相談下さい。
今回のようなご質問の場合、抽象的になってしまうこともありますが、できるだけお答えしたいと思っています。

まずはお返事まで。


【匿名さんからのお返事】

本当に漠とした質問をしまして恐縮です。ごていねいな回答有難うございました。
もっと小生の理解を深めてじっくりとダイジェスト致します。

病気の例えは大変良く分かりました。私は医者にはなれませんが、いろいろな兆候から何が起こっているのか想像できる基本的な知識を勉強してみたい、チャレンジしてみたいと思います。

「良い」製品に関してのコメントは胸に突き刺さるような部分が有ります。開発サイドの欺瞞は時として販売サイドの怠慢として「何故良さを説得できないのか(こんなに良いのに)」という形でふきだすのでしょうねぇ。

また勉強の過程でお聞きする事もあるかと存じますが重ねて宜しくお願い申し上げます。

有難うございました


【お返事】

>もっと小生の理解を深めてじっくりとダイジェスト致します。

「勉強してからでないと、質問ができない」わけではありませんので、もし誤解がありましたら、ごめんなさい。
この場が仲田さんの勉強の場になってくれれば、これほど嬉しいことはありません。「良い」製品に関してのコメントは胸に突き刺さるような部分が有ります。開発サイドの欺瞞は時として販売サイドの怠慢として「何故良さを説得できないのか

>(こんなに良いのに)」という形でふきだすのでしょうねぇ。

ご明察です。
顧客に媚びる必要はまったくありませんが、本当の意味で「顧客第一」と考えるのが必要なのだと思います。

>また勉強の過程でお聞きする事もあるかと存じますが重ねて宜しくお願い申し上
>げます。

いつでも気軽にお越し下さい。

お待ちしています。

それぞれの方々へのご意見もお待ちしています。

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