おかげさまで、「私はこう見る」は98年9月第3週において、部数増ランキングおよび順位上昇ランキンともに第1位という「2冠王」を頂きました。
また、絶対順位では、最近発行されたID番号7000番台メールマガジン全体で6位、企業・ビジネス部門では2位でした(1位は「システム開発管理者講座・基礎」)。【出典:「発行部数ランキング102号」】
「私はこう見る」の初回発行部数はまぐまぐだけで1,373部。ホームページ会員とフライヤーマシン経由の配信分を合わせて、1,425部です。
たくさんの諸先輩が控えていらっしゃるので、「新人賞」といったところですが、市場導入としては満足の行く成果が上がったと考えています。
さて今回は、せっかく読者の方々に身近な題材が転がっているので、料理しない手はないだろう、という発想で、「私はこう見る」の読者獲得に至るまでの私自身の思考の流れや戦略立てをテーマとします。
「なぁんだ。計算し尽くされているのか」と不快感を覚える方がいらっしゃれば申し訳ありません。でも、もし、実際のコンサルタントの発想やモノの構築の仕方をくみ取って頂ければ、この記事は成功です。
インターネットは大企業も個人もない平等な世界と言われます。また、プロもアマチュアも関係ない空間とも言われます。事実、そのとおりです。
>一介の個人サイトである TokyoTopless が1日120万ヒットの来訪者がある一方、あのトヨタのホームページが1日数100から数1,000ヒットしか取れない時期がありました。今でも、その傾向自体は変わっていません。
さて、私は痩せても枯れてもマーケティング・コンサルタントというプロです。
その分野で利益を得て、自分の会社を運営しています。「ふーん。そうなんだ」と悠長に構えている余裕はありません。
生活者心理をどう分析し、戦略をどう立てるかという点では、インターネットだろうが実際の市場だろうが変わりがないからです。
せっかくメールマガジンを開始するなら、プロとして恥ずかしくないやり方をしなければなりません。
特に、まぐまぐからは約5,000誌が発行されています。登録者数も500万人という一大勢力です。見方を変えれば「まぐまぐ」という書店で各誌がしのぎを削る、立派な市場なのです。そして、私といえばその巨大市場へ新規に参入する新参者です。
気楽に構えていたのでは、悲惨な結果になりかねません。
市場導入に当たって、主に検討しなければならないのは、まぐまぐに登録する時に必要な説明文です。読者の方々はタイトルと説明文で購読の判断をします。もちろん、関連ホームページを用意することで、より詳しい説明が可能ですが、それにしたって、説明文が魅力的でなければホームページすら見に来てくれません。
一方、「早い、安い、うまい」を、そのまま真似るのも1つの手です。
ただし、この方法では、広告や流通に対して、先発企業より大幅に投資しないと、絶対に1位にはなれません。アサヒスーパードライが大ヒットした翌年、ビール各社がドライ製品で追従したのですが、結局どれも残りませんでした。先発優位なのです。
市場が発展途上だと、もうひとつわかることがあります。
まぐまぐの説明文には、できるだけ具体的な描写が効果的だということです。
次のステップとして、本業では、データによって検証する必要がありますが、メールマガジン市場についてのデータはまぐまぐの発行部数くらいしか手に入りませんので、とりあえずその中から使えるものを探します。
次は、差別化の内容を決めなければなりません。
メールマガジン読者の具体的なニーズも知らないと具体的な方向が決まりません。
本来なら、生活者アンケートを実施して主流ニーズや傍系ニーズを調べるのですが、今回は時間がありません。従って、企業・ビジネスカテゴリーで人気のあるメールマガジンを分析することで代用することにしました。
更に各メールマガジンの内容を見てみました。すると、ビジネス情報や経営情報の中にマーケティング関連の記事が見つかりましたが、1つ1つ具体的なテーマを上げて、マーケティングの視点から掘り下げていったものが見当たりません。数10行のコラム形式のものはありましたが、あくまでも新聞の囲み記事程度の情報量です。
さて、ここまで来ると後は簡単です。差別化と主流ニーズを組み合わせるだけで、私のメールマガジンの方向が決まります。
さて、初戦はなんとか成功しました。あれから読者数も増加し、創刊から2週間で約500部増え、ページ会員やフライヤーマシン経由での読者を入れた総発行部数で、1,900部にまで成長しています。