小学館のトレンド誌ダイムが、創刊12周年を記念して募集した「史上最大のトレンド商品」が発表になった。これは、日経などの他の大賞とは異なり、一般の投票によって選定される一見公平な企画である。これを見て、おもしろかったことを中心に今回の記事を書いてみよう。
この企画は「あなたにとっての、史上最大のトレンド商品を1つあげてください」という質問に対して、はがきで応募したものをまとめる、というものだ。
従って、必ずしも売れた商品が上位に食い込むわけではない。かといって、いくらその人の人生の中で影響力を持った商品でも、その数が少なければ上位には食い込めない。
そういう意味では、いかに「深く」「広く」受け入れられたか、という点が評価される、極めて理にかなった手法である。
惜しむらくは「トレンド」という言葉を理解した人間でないと、応募できないという点である。調査において、「誰でもわかる言葉遣いで質問文を作成する」という大原則から外れている。まあ、これは良しとしよう。
気になるのは、調査の場合では常識的な「対象者のプロフィール」についての記述がなく、「老若男女21万人」といううたい文句だけが踊っていた誌面だった。これがくせ者で、後述するようにどうにも回答者に偏りがありそうである。
結果、ダイムという読者に偏りがある雑誌の企画ということもあり、企画の趣旨とは異なった「一部の生活者にしか公平でない」結果になっているようだ。
ダイム誌(1998年7月2日号)には、21万通の投票による結果が40位まで掲載されている。そのうち、トップ20を上げてみよう。
総数213,417票(カッコ内は得票数)
商品 | 得票数 |
---|---|
1.携帯電話 | 14,980 |
2.ザウルス | 9,121 |
3.ウォークマン | 8,261 |
4.パソコン | 8,176 |
5.プリウス | 7,540 |
6.ウィンドウズ95 | 6,828 |
7.カーナビゲーション | 6,287 |
8.VIOシリーズ | 5,911 |
9.デジタルカメラ | 5,602 |
10.プレイステーション | 4,750 |
11.たまごっち | 3,999 |
12.Gショックシリーズ | 3,738 |
13.ノートパソコン | 3,609 |
14.DVD | 3,573 |
15.アップルコンピュータ | 3,414 |
16.ファミリーコンピュータ | 3,404 |
17.リブレットシリーズ | 3,386 |
18.MD | 3,002 |
19.PHS | 2,685 |
20.モバイルギア | 2,370 |
プリウスやたまごっち等、最近のヒット商品が並んでいるのは、この類の無記名投票の常である。つまり、記憶に鮮明なものが常にインパクトがある、というわけだ。
その中でもウォークマンが比較的古い商品でかなり健闘している。それだけ、印象に残った人生における最大商品ということなのだ。
まず目につくのがトップ携帯電話の得票数だ。
14,980票は7%にあたる。
クープマンの目標値の6.8%に合致した数字である。
小ネタではあるが、ファミコンとスーファミの順位におもしろいものがうかがえる。
次に目につくのが、いくつかの商品の順位である。どうにも納得がいかないものがところどころに散らばっているのだ。
「雑誌なのだから、そんなにいじめなさんな」と周囲の人間に良く言われる。