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eコマースにモノ申す〜日本型ECを求めて【eコマース】 2001.5.1

前口上

今回は、ちょっとおもしろい試みをしてみました。
先日、私の恋人であるパーミション・マーケティングの阪本啓一さんがナビゲーターをつとめる、インターネット・マガジン(インプレス)の対談連載にゲストとして呼んで頂きました(2001年4月27日発売号)。

テーマは今回のタイトルと同じ「eコマースにモノ申す」。2人して「愛のムチ (c) 坂本啓一」をビシビシと振り回しました。

そこで、同じテーマをメルマガで料理するとどうなるかと企画したのが今回の記事です。それに賛同して頂いた阪本さんから、彼の人気メルマガ「電脳市場本舗〜Marketing Surfin' 2001 〜」の最新号(wave # 162号)で、「beyond e(eの先にあるもの)」と題した企画連動記事が発行される運びとなりました(阪本さん、感謝!)。

おまけに、彼からの提案で、2つのメルマガの発行日を同時にするという、更なる工夫も実現。

本編だけでも楽しめるように執筆しましたが、対談(「インターネットマガジン6月号『パーミション・トーク』」)と2つのメルマガを全て読み比べ、表現形態や執筆者の視点の違いを楽しんで頂ければ楽しさ倍増です。
(特に、「電脳市場本舗」の最新号では、最後の結論が大感動もの!!)

電脳市場本舗のお申し込みはこちらでどうぞ。私も3年前からの熱烈な愛読者です。
http://www.mag2.com/m/0000000813.htm

(本当は顔バレを避けたかったので、4/11に発売された週刊宝島のインタビュー記事もご紹介しなかったくらいです。こんなに写真枚数が出てしまうと、もうヤケです。ええい。どうとでもなれぇい (笑))

【注】阪本さんの記事はこちらで読めます。

http://www.palmtr.com/surfin.html

米ヤフーの凋落

2001年4月13日付けの朝日新聞に、こんな見出しの記事が掲載されていました。

「米ヤフー『綱渡り』決算9割の減益・幹部の人材流出」

記事はこう続けています。

「ネットバブルの収縮で広告収入が急減し、(中略)広告依存から脱皮するために、同社は今月から有料の株式市場の情報サービスや、ソニーなどと組んだ音楽配信事業を相次いで発表。(後略)」

ネットバブルがはじけた今、ヤフーだけは安泰だと思っていた人たちには衝撃的なニュースです。

私は常々こう言っていました。

「ネットで儲けようと思ったら、『ネットで儲けようと思っている』相手に商売をするのが一番儲かります」

しかし、ヤフーの売り上げ急減はその条件すらも危うくなる兆候を示しています。

それだけではありません。
ヤフーは今度、「ネットで儲けようなどとはまったく思っていない」人たち、つまり私たち一般生活者を相手に商売をしようとしています。
本当にうまくいくのでしょうか。
他人事ながら、ちょっと心配です。

インターネット上でのビジネスは、様々なメリットがあります。
しかし、今ではご存じのように、インターネットで儲けるなんて並大抵のことではないと、多数の人たちが気が付き始めています。

・・いや、それはそれで真実ではありません。
未だに、私にインターネット通販やサービスの事業展開の相談が来るのですから。
そして、彼らは一様に「インターネットでのビジネスはまだ行ける」という確信を持ってやってきます。
「今のうちにノウハウを蓄積しないといけない」というセリフも昔から変わっていません。

「ネット企業が失敗しているのは知っていますよ。
でも、それは一部でしょ?
大企業なんかはうまく行っているし、私は彼らのようなドジは踏みませんよ」

皆さん自信満々の面もちなのです。

こういう人たちを見ていると、あるテレビ番組の光景を思い出します。
それはエイズ患者率75%というとんでもなく高い確率を持った、タイの郊外にある娼婦街で、日本人にインタビューをした場面でした。

「ここのエイズ率が高いのを知っていながら、なぜ来るのですか?」
「私はかかりませんよ」
「なぜ、そう言えるのですか?」
「今までかからなかったからです」
「・・・」

e-business is a business

「うちの子に限って・・」
「自分だけは・・」

自分を特殊な存在だと思いたがる気持ちは分からないではありません。心理学でいうところの「アイデンティティの確立」です。
しかし、そのことがシャレになる場合とそうでない場合があります。
特に、「理由なき自信」は周囲に及ぼす被害も大きくなりがちです。
ましてや、ビジネスとなると・・

個人レベルでSOHOのようにちまちまとやっているうちは、被害も大したことはありません。1人の事業が失敗したところで、借金はせいぜい2,000〜3,000万円程度です。
死ぬ気になって働けば返済できない金額ではありません。

しかし、ベンチャーキャピタルという名の巨額の金が飛び跳ねるとそうはいかなくなります。億単位の金額になることも多いからです。
いや、それ以上に「そんなに金が入るなら、俺もやってみよう」という気楽な輩が増えてきます。
伝染病のウィルスのように。

その結果、たった30人の会社に30億円もの金が集まる。
でも、社長は実務経験のない元コンサルタント。
「これだけ資本金があるのだから、売り上げがなくても3年間はメシが食える」
とばかり、広告費に10億円単位の金をつぎ込む。

ところが、フタをあけてみると、年間売り上げはたったの1〜2億円。
「3年間食える」はずなのに、1年後にはリストラの嵐。一時期、100人にまで膨れ上がった規模を一気に20人にまで縮小。
こんな悲劇が後を絶ちませんでした。

もちろん、去年のようにベンチャー・キャピタルも気楽ではありませんから、金をつぎ込むことも少なくなりました。いや、下手をするときちんと営業している企業からも資金を引き上げ始めてしまい、立ち行かなくなってしまう状態に追い込んでしまいます。

こうなったら、ベンチャー企業もベンチャー・キャピタルも同じ穴のムジナです。
どちらも、大きく欠けていたものがあったのですから。
それはこう呼ばれます。
「ビジネスセンス」

「e-business is a business」という言葉があります。
要するに「eビジネスだって、ビジネスのひとつなんだぜ」
という意味です。
当たり前のことをもったいぶって言い換えているように見えます。
でも、従来のeコマースの世界では「当たり前」が「当たり前でなかった」からこそ、必要な言葉なのです。

私の恋人の阪本啓一さんも

「ドットコムもノットコム(現実のビジネス)も基本は同じだ」

と言い切っています。

パーミション・マーケティングで有名にこそなりましたが、彼は現実世界での伝統的なマーケティングの分野でも、そんじょそこらのコンサルタントなど足下にも及ばない実力を持っているからこそ、言えるセリフです。
インターネット・マーケティングにしがみつかなくてもメシが食える人の言葉なのです。

それでは、今までのeコマースは一体何だったのか?
後半で紹介するように、一部、例外はあります。
でも、キツイ言い方でごめんなさい。私にはこの言葉しか浮かびませんでした。

「●●●●」
【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

ラーメン屋とeコマースの関連性

「森さん、それは言い過ぎです。みんな一生懸命やっているんですから」

後輩が口を挟んできました。

たった1人の情熱が組織を動かす

「森さん、古いよ、古い!丁稚奉公じゃないんだから、今時そんなの流行りません!」別な後輩。

「ビジネスなんて流行りすたりでやるものじゃない。
『やるからには成功する』
それしかないんだよ。だって、失敗したら後には何も残らない。
いや、借金だけが肩に重くのし掛かるだけ。
その構図は古いビジネスでも新しいビジネスでも同じだよ」

「だって、金が集まるんだから、そんなことしなくていいじゃないですか」
「それで、成功したのかね。金が集まったドットコム企業は?」
「うっ・・」

「早い者勝ち」の原則はeコマースに当てはまるか

「『ノウハウの蓄積』という側面もあるじゃないですか。
先にやった方が勝つ。
だから、現状は赤字でも意味があるし、『成功』という定義だって変わってくる」

それは一理あります。
特に、現実世界の通販業界はノウハウの固まりのようなものです。ちょっとやそっとの素人ではなかなか事業を軌道に乗せることは難しい。

過小評価か過大評価か

「森さん、ネットの市場規模を過小評価していませんか?
今や2,000万人がネットの利用者なんですよ。
しかも、これからどんどん伸びていくのは間違いない。」

モスバーガーと健康なeコマースは似ている

それではeコマースに明日はないのか?
それも違います。
今までのeコマースは地に足がついていなかっただけです。
両足でしっかり立ち始めることができれば、それこそ、その時がeコマースの成長の時です。

成功するeコマース、落ちこぼれるeコマース

では、どんな個人商店でもその資格があるかというとまた違います。
大規模なeコマースが今まで無視していた「生活者を大事にする」商店だけが参加資格を持つのです。

どんなことか。
その反面教師を見てみましょう。
3ヶ月前に私はアップルストア(アップルコンピュータ直営のネット通販)から、パソコン本体を購入しました。

【注】阪本さんの記事はこちらで読めます。

http://www.palmtr.com/surfin.html

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