「いい気分」「まちのほっとステーション」などなど、いろんなタイトルがついているコンビニ。今や、私達にとってなくてはならない存在になってしまいました。
以前、私が住んでいた東京世田谷の桜上水に至っては、大学が近くにあるせいか、セブンイレブンを筆頭に代表的なコンビニがすべて揃っており、全部で8軒もありました。
コンサルタントとしてもコンビニは大事な情報源です。
街のポスターやファッション、若い人たちの会話が日常で集められるので、移動には電車を使い、車には滅多に乗らない私であることは、以前お話しました。
電車と徒歩が生活者の情報源だとすると、商品の重要な情報源の一つがコンビニです。
私の業界守備範囲は多岐に渡ります。小さいものは1個100円から、大きいものは数100万円。中には「国 (国家)」もあります。
中でも最も多いのがスーパーやコンビニで扱う商品群です。また、これらの低額商品はマーケティングの基本でもあります。だから、用がなくてもコンビニには週に最低2回、多いときには4〜5回は行きます。どんな商品が現れて消えていくのかが如実に分かるからです。定点観測のようなものです。
加えて、コンビニでの客層の変化や彼らの商品の買い方なども観察調査の対象になります。生活者と商品の接点が売場ですから、電車内とはまた違う貴重な情報が得られるのが魅力です。
森個人でも、昼食のパンや雑誌を買ったりと、コンビニは生活に密着しています。
ビジネスとプライベートでコンビニを活用している私ですが、44才の男性という「個人」に戻ると、どうにもこうにも不満なところがたくさんあります。
しかし、一方で職業としてのコンサルタント魂がそれを逐一押さえている部分もあります。自分の中の天使と悪魔が喧嘩をしているという格好でしょうか。
今回は、コンビニを題材に「【個】対【職】」の葛藤をご紹介します。
私が主にコンビニを利用するのは昼と夜中です。
昼は東京恵比寿のオフィスの周辺。夜中は終電で帰った後の自宅周辺です。ここはお高く止まっている地域なので、夜中となるとラーメン屋一軒、居酒屋一軒開いていません。ここのコンビニとジーンズメイトが唯一の「買い物場所」なのです。
ある晩、自宅周辺のコンビニでふと気がつきました。
土日の週末に限って、店内を流れる音楽が違うのです。
いや、気がついたなんてものではありません。いやがおうにも飛び込んでくるのですから拷問です。
拷問器具は大音量のロック・ミュージック。
どう考えても商業を前提とした音楽ではありません。クラブで流れるようなギンギンのハードロックやパンクがスピーカーの音量目一杯に店内一杯を飛び跳ねています。しかも、かなりマニアックなサウンド。一般受けしない。
今私がいるのは「ものを買う場所」ではなく、学割がきく東京ディズニーランドのダンシングマニアではないかと錯覚さえしてしまう。そんな音量と音質です。
さすがに1度苦情を言ったことがあります。
いつもはブータレた彼らですが、その時ばかりはさすがに
と、バックヤードに飛んで行き音を下げました。
オーナーが不在なのをいいことに、自分達が持ってきたMDやカセットを流しているのは誰の目にも明かです。客が楽しむのではなく、自分達が楽しむ。
私にとっては大した違いはありません。
あんな音では商品を選ぶどころではありません。ただでさえ夜中の1時に疲れている身です。店内にいるのが苦痛になります。早々と商品選択を切り上げて、いつもの半額以下の買物で逃げました。
ここで、あの店のあの日の「私の売り上げ」は半分になったわけです。
うるさい、といえば、こんな経験もありました。
ある時、商品を棚に入れているバイトくんがいました。彼の隣には、若い女性が興奮しきりに、大きな声で文句を言っています。会話の内容から、この2人は恋人同志であり、いわゆる痴話ゲンカであることがすぐに分かりました。
これもまた夜中の2時。
キンキン声でうるさいのなんの。
しかも、他人の痴情のもつれ話を強制的に聞かされるのです.
レばらく我慢していましたが、10分も聞かされたたところで、とうとう静かにしてくれるよう、その女性に頼みました。
出ました!! 若い人の必殺技。
「迷惑」の定義が全く違う相手に何を言っても始まりません。
でも、またぞろあの大声につき合う気もしないので、その大声が迷惑なのだと説明した途端、第2弾が放たれました。
これも良くある(?)セリフです。
レジでこの様子を見ていたバイトくんの同僚に頼みました。
「おーい。このお嬢さんが警察を呼んで欲しいそうだ。駅前の階投の隣に交番があるから、警官を呼んで来てくれないか?」
余談ですが、私は、こういった「こけおどし」が大嫌いです。
その気もないのに、相手をへこませるだけのためのセリフ。男だろうが女だろうが、「どうぞ」なんてヤワな反撃はしません。相手のセリフを後押ししてあげます。
多分、私のような人間が、電車で痴漢容疑をかけられると、無実を晴らそうと卒先して交番へ行き、挙げ句の果てに痴漢と決めつけられてしまうのでしょうね
(過去記事「痴漢」参照)
そこに来て、ようやく彼氏がやって来て謝ったので一件落着はさせたものの、彼女は私を睨んだままブツブツ言っていました。
友人 (恋人?) の職場におしかけプライベートを持ち込む、その女性は単なる社会常識を知らないヤツ、で済ませても良いでしょう。
でも、ここでの問題は、そういった恋人をそのままにさせているバイトくん。そして、それが迷惑だと感じない若い女性、最後にそういった人たちがのさばっているコンビニという「場」。とてもとても、「商売」という概念からは外れています。
さて、ここで他の客を見てみました。
いつもは数10%いる30代以上の客がいません。私と共に、逃げ帰ったのか週末だから元々いないのかがわかりません。
しかし、さすがに10代、20代の若い人たちは平気で雑誌を読んだり、商品の棚の前で選んでいます。いつもと違う買物行動をとっている人は見当たりません。
彼らにとっては、あの音量はまったく気にならないようです。
コンビニの接客は接客ではありません。
マニュアルがあるので言葉遣いはそれなりですが、それ以外の会話となると一気にそのレベルが露呈します。
コンビニでのバイト経験のある21才の女性です。
オフィスの近くのローソンにはレジが2つあります。でも、この2つのレジがフル嫁動をしている情景は私は見たことがありませんでした。
客がいない訳ではありません。東京恵比寿は昔から住宅地域指定で、オフィスがなかなか作れなかったところ、商業地域指定になったので会社が急増しました。ビジネスマン、OLが大挙してやって来たので、昼休み時のコンビニは戦争です。レジ前には20人以上の客が長蛇の列を作る光景などは日常茶飯事です。
20才の学生さんのことばです。
私が、レジのサービス向上の話をしたときでした。
その東京恵比寿のローソンです。
今まで、たばこを扱っていなかったコンビニがたばこをどう仕入れるか、面白そうなので、ちょっと見てみることにしました。
というのも、コンビニは欠品当たり前の世界だからです。
特に、弁当などのナマモノは配達時間の狭間になると、棚が空っぽになってしまいます。
続けて品揃えの話です。
品揃えと言えば、コンビニの商品は次々と変わっていきます。
前回の記事で紹介したチョコレートを筆頭に、カップ麺、ドリンク類、弁当などふと気がつくと今まであった商品がなくなっているなど、当然のごとく行われています。
20才の女性の言です。
お見事です。
彼女は流通の使い分けをきちんとしています。
さてさて、中年のコンビニに対する個人的不満はすべて却下されてしまいました。