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友だちの「輪」は繋がるか【人脈】 99.9.15

「肩の力を抜いて自然体」で接する

「私はこう見る」で「自己啓発シリーズ」と裏で銘打った記事を今までいくつかお届けしてきました。「時間管理」「パーソナル・アイデンティティ」がそれに当たります。
しかし、私はあくまでもマーケティングが本業なので、そろそろこの路線のネタがつきかけているのが本音です。これ以上続けようとすると、「プレゼンテーションの仕方」や「企画書の書き方」のような分野を取り上げないといけなくなっています。

今回は、その中でも皆さんが最も関心が高いだろうテーマ、人脈についての記事です。
このテーマが最後の方になった理由は簡単です。皆さんに胸を張って、「森流の方法です」といえるものがないからです。
時間管理やコスト意識は意識的に努力している私ですが、こと人が相手の人脈となると、それが通用しないことがわかっています。特に、30才を越すと、人と知り合うことを意識すればするほど、あざとくなったり下心が見えてきますから、妙な努力はいいことなんてひとつもありません。

ですから、私は若いうちから人間関係については「肩の力を抜いて自然体」で接するようにしてきました。それだけに、
「どうしたら人脈は増えますか?」と聞かれても
「自分を磨いて魅力的な人間になることしか思いつきません」
としか答えようがないのが実情です。

逆にいえば、
「人脈が増えないのは自分の魅力が足りないからだ。だから、もっと勉強しよう」
という遠回りの道をずっと歩んできました。

こんな私ですが、今回は人脈をどうやったら増やせるかという大命題を意識しながらも、人脈をどう見るか、自分にとって人脈とはどう理解するのか等の視点を中心に、オムニバス形式でお話を進めます。
サブ・テーマは次の4つです。

●自分の人脈を切り分けられますか?
 ●知り合いの数は十分ですか?
 ●間接人脈の素をつかむ
 ●色々な価値観に触れよう

【自分の人脈を切り分けられますか?】
有名な人を知っているというだけで偉くなる心理

人脈、という存在を語る時にまず意識しなければならないのは、「自分なのか」「自分の所属している組織なのか」の視点です。そのどちらのつながりなのかによって、人脈の性格が大きく変わるからです。
この章では、組織の人脈が多いことを批判しているわけではありません。
仕事をする上で、組織の人脈は大切だからです。フルに利用するに越したことはありません。
問題なのは、自分の人脈を切り分ける冷静な目を持っているかどうかなのです。

社会人になると、いくつもの「客観的な偉さの基準」に遭遇します。所属している企業の社会的ステータス、その企業での役職、年収等、様々です。
良く見かけるのは、有名人が知り合いにいると、その人が「偉く」なってしまうケースです。新人アルバイトが私の年賀状を整理すると、必ず「森さん、●●さんや▼▼さんと知り合いなんですか。すごいですねぇ」と感心されます。その時まで私の「偉さ」に気がつかなかった、といわんばかりです(笑)

だから、中年男性の中には、初めて出会うと「誰々さん、知ってます?」「『あの人』は私、知り合いなんです」のように、人の話しかしない(できない?)方も多く見かけます。心理学でいうところの「ハロー効果(七光り効果)」です。

一匹狼なので、固有名詞に興味が薄い私にとっては、困ってしまう話題です。
その人が得意げに話をしている「知り合い」が宇多田ヒカルのように「超」がつく有名人なら、まだ相づちも打てますが、文化人となるとからっきしです。
マーケティング業界で有名(らしい)人の話題を出されて、
「ごめんなさい。私、その人知らないんです」というと、
「お前、本当にコンサルタントか?」
という目で見られてしまって困ることも多いのです。

一方で「■■理論」というと、「あ、あれね」とすぐに頭に浮かびます。
ところが、そういう「人を知っている自慢」をする人に限って、
「■■理論を提唱された方ですよね、確か」と聞いても
「その辺は門外漢なので、私は良く分かりませんが、ほら、あの有名な人ですよ、知らないんですか、森さん。マーケティング業界の方は『みんな』知ってますよ」
と切り返されるから、たまりません。
「ごめんなさい。勉強不足なものだから」
と謝って、ほうほうのていでその場から逃げることになります。

そんな訳なので、以前在籍していたコンサルタント会社の同僚の本が本棚にあるクセに、そして、「この本は面白い」と周囲にすすめているクセに、彼が著者だったことを久しぶりに会って初めて知る、という恥をかくことなります。
また、私の本を初めて会うクライアントに渡すときも、著者略歴から眼を通す人が実に多いことを知り、びっくりすることになります。

とはいうものの、このビジネスで飯を食っているわけですから、いわゆる人脈と呼ばれる存在は他の43才のビジネスマンと比べれば多いのは事実です。
例えば、私が貰った名刺は書類用のバインダー3冊に約3,500枚収納されています。
私は1年に1回、名刺を整理して、その年に貰った顔を思い出すことができない人を除いた1/3くらいに減らして収納するので、単純計算で約1万人以上の名刺を受け取って、渡したことになります。
また、年賀状は毎年2,500枚出します。

そのほか、名刺や年賀状とは無縁だけど、連絡がすぐに取れて色々と交流がある人たちもいます。彼ら、彼女らはビジネス世界とは毛色が違うのが特徴です。
学生、DJ、彫金職人、小説家、歌手・俳優・お笑い芸人、警察・やくざ、風俗嬢など様々な分野に散らばっています。このメールマガジンの記事を書くに当たって情報提供をお願いした人も数多くいます。

正直に告白すれば、私も若いときはミーハーでしたから、「偉くなる人」の気持ちもわからないわけではありません。
例えば、仕事でテレビ局に行って、アイドルに会わせてくれると聞いて最初は喜んだりもしたものです(ただ、夜の酒の場でマネジャーが(気をきかせて?)その子だけを残して帰ってしまったり、私に妙な耳打ちしたりするのにはホトホト参りました。危うく相手の手に乗ってしまいそうになったこともありました)。

しかし「知ッテルおじさん」とまったく逆に、今は「その人物の内容」以外に興味はありません。有名な人や周囲がうらやましがる人(例えばモデル、タレント、外人)にそれなりの数を会っていると、学習効果があるようです。他人の評価やイメージと私の本人に対する評価はまったく独立したものということがわかってきたからでしょう。

ですから、名刺の数も「集めた」というより「気がついたら集まっていた」という方が当たっています。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

【自分の人脈を切り分けられますか?】
 その会社を辞めたら、どれくらい人脈が残るだろうか

「だって、森さんは一流大企業に10年もいたのだから知り合う人が多いのは当たり前ですよ」
と言われます。でも、大企業にいた時にもらった名刺でバインダーに残っているのは、3,500枚のうちのわずか10%程度です。残りは捨ててしまいました。

【知り合いの数は十分ですか?】
 数を計算してみよう

さて、付き合いや知り合いはどれくらい広げられるのでしょうか。また、どれだけ広げたらいいのでしょうか。広げすぎると付き合いが浅くなりそうな気がするし、狭いと自分が狭い人間になって、考え方や見方が広がらない気がする。

【知り合いの数は十分ですか?】
 身近な数字に置き換えてみるのもひとつの手

●それでもピンと来ない?
うーん。だったら、こんな計算をしてみましょう。
例えば、あなたが女性だとします。

▼第1ステップ−質問
「あなたは一般的に男性何人に1人くらいの割合で『恋愛対象として、お付き合いしてもいいかな』と思いますか」

【間接人脈の素をつかむ】
 人脈を広げるコツ

では、どうやったら、友だちの輪が広がるのか。
知り合いの数は

「出会う数」x「歩留まり」

です。
出会う数がいくら多くても歩留まりが低ければ、知り合いとして残りません。歩留まりゼロなら、知り合いゼロです。
この歩留まりは「あなたの魅力度」です。

【間接人脈の素をつかむ】
 「素」の立場から言えば

このメールマガジンの読者の平均層は30代ですから、皆さんにとっては私は「間接人脈の素」の立場になるのかと思います。本当は50代、60代でないと厚みが出てこないのですが、とりあえず私が素、という前提でお話を進めます。

【色々な価値観に触れよう】
 偏った自分にならないために

特に私のようなコンサルタントを職業にしている人間にとって、普段の情報収集は宝石より大事なものです。そんな時、ビジネスマンやOLにしか知り合いがいないのでは偏ったものの見方しかできません。これでは、コンサルタント失格です。
商品のターゲットはホワイトカラーだけではないからです。

万物皆是我師也

人脈ということばは実はあまり好きではありません。
鉱脈、金脈、水脈など、無機質なもののことばに近いからなのでしょうか。それとも、文中にあるように、「気がついたら知り合っていた」だけで、「知り合おう」という意識がないからなのでしょうか。

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