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われぇ、なんぼのもんじゃい! 99.6.1

私は面倒くさがりです

森さんってどんな人ですか?

面と向かってストレートに聞かれることがあります。

そんな時、「面倒くさがり屋」で「欲張り」です、と答えることがあります。大抵の場合、びっくりされます。特に「面倒くさがり屋」の方に驚く方が多いようです。

端から見るイメージが違うのは良くあることです。例えば、釣りが趣味の人。
私たちは「のんびり屋」のイメージが頭に浮かびます。しかし、本当に釣りが好きな人は短気な人が多いのはご存じのとおりです。短気な人は魚が釣れないと色々と試します。餌、ウキ、さお、釣り場のポイント。いろんな工夫をしてこそ、魚がたくさん釣れて、釣りが楽しくなるのです。

私の「面倒くさがり屋」は、釣りの例と似ています。それは「ローリスク・ハイリターン」を目指しているからです。
「ローインプット・ハイリターン」と言ったほうが正しいニュアンスかしら。
カタカナでいうとかっこいいですが、日本語で言えば

「棚からぼたもち」

要するに、できるだけ努力しないで最高の結果を出そう、という怠慢の極致が私の目標です。経営学用語では「ROIの最大化」といいます(笑)

これはプライベートだけでなく、仕事、つまり私のコンサルテーションの基本思想でもあります。例えば、過去記事の「時間管理」は「無駄なことはせずに、できるだけ多くのことをする」が基本思想です。これは結局「ローインプット・ハイリターン」を実現する1つの方法といえます。

ところが、人生うまくいかないもので、「棚からぼたもち」を実現するためには、その環境を作るための努力が必要です。時間管理はそのひとつです。
そして測定方法も必要です。

今回のテーマ「コスト意識」は、自分の行動に分かりやすい「円」という単位をつけてしまおうという発想です。そうすれば、「最小の努力」「最大の成果」の尺度が実に生々しく分かろうというものです(笑)

タイトルの「われぇ、なんぼのもんじゃい!」は関西の河内弁で、けんかを売るときの常套文句ですが、英語で直訳すると「How much you are!」です。

大の大人が8人も必要なの?

コスト意識を2つの側面から見ていきます。まず、消極的な側面。コスト意識がないとどうなるか。
実例を挙げてみましょう。友人に会いに、ある広告代理店のロビー兼打ち合わせスペースにいた時のことです。

隣のテーブルでスキーイベントのスタッフと、イベント会社の社長らしき人物が総勢8人、アンケート質問の内容について打合せをしている場面に出くわしました。
聞き耳を立てるつもりもなく、それとなく耳に入ってきた話を聞いていると(笑)、幾つかの質問に対して代理店のスタッフが意見を述べ、社長が回答している様子でした。

意見交換といっても「〜じゃないですかねぇ」「う〜ん。でも、こう思うんですが。あっ、でもこういうのもあるかも知れませんけど」と自信のないことおびただしい。
彼らが調査に関して素人さんなのは一発で分かります。しかも、だんまりの時間が長かったり雑談に入ったり。すでに3時間もこのような状態だったことが会話から分かりました。

クライアントがかわいそうになってしまいます。だって、彼らの雑談時間に対しての費用も経費に入っているのですから。大の大人が24人時間もかかれば、人件費だけでもばかになりません。

それより、あの程度の簡単な調査質問なら、シストラットの26才の女性スタッフの手にかかれば、1〜2時間で完成させてしまいます。プロジェクト中で請求する金額だって5万円を越すことはないでしょう。

このような無駄な仕事のやり方は意外に多いものです。特に「会議」という名のつくものは危険極まりないケースが多いのは、皆さんもご存じのとおり。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

今の冗談、3万円也

シストラットには数種類の料金体系がありますが、「1時間いくら」のタイムチャージ制を採用することがあります。弁護士の相談料のようなものです。

また、プロジェクト費用に「基本打ち合わせ回数」を明記する場合もあります。要するに「打ち合わせは1回90分、3回までプロジェクト費用に含まれています」というわけです。それを越すと「1時間あたりいくら」の費用を頂きます。

自分はいくら?

さて、次はコスト意識の積極的な側面を見ていきましょう。

自分という人間を貨幣価値に換算するのは常に心理的抵抗がつきまといます。
思いがけなく低く出てしまうと、プライドが傷付けられてしまうからでしょうか。それとも人間を貨幣換算するのは、人身売買や売春のようにどこか不遜で、「してはいけないこと」という良心があるからなのでしょうか。
「われぇ、なんぼのもんじゃい!」が罵倒として使われるのは、そのためなのでしょう。

入社3年目の女性のボーナスが、副部長より多い理由

さて、ここはマーケティングの場ですから、人生の価値ではなく「仕事のアウトプットの価値」を考えることにしましょう。

私が以前在籍していたコンサルタント会社は非常にユニークな給料の決め方をするので有名なところでした。

まず、部全体にその年の「総給与額」が提示されます。ここから、部員同士がぶんどり合戦を始めるのです。

「肉体的欠陥」が堂々と評価対象になる外資系企業

その前の外資系企業にいた時の給与査定には参りました。ここでは普通に上司が「計画性」「実行性」などの項目に点数をつけて評価するシステムでしたが、その項目の中に「身長」があるのです。「背の高さ」が人事評価対象なのです。

背が低いと交渉、責任感、威圧イメージがないので、仕事をする上で不利だ、というものです。

誰でもできる「コスト意識」計算

さて、ここまででコスト意識の2つの側面を見てきました。1つは、無駄を省くための消極的コスト意識。
マイナスをゼロにするという観点でのコスト意識です。
従って、これだけでは生産性は上っても仕事の質が上がるわけではありません。

もう1つは、自分の価値を測るための積極的コスト意識。給料というわかりやすい単位で自分の能力を測ってみる。
これは、プラスをもっとプラスにする観点でのコスト意識です。
仕事の質が評価対象です。

これから、皆さんでも簡単にできるコスト意識の測り方をご紹介します。
いくらなんでも「給料ぶんどりバトル」を実行している会社は多くありません。

時給計算

さて、第1ステップは時給計算です。自分の税込み年収を2,000時間で割ります。
これは、あなたの「もらっている」時給です。決して、「実労働時間」で割ってはいけません。忙しい職場だと人によっては時給350円などといった悲劇が生まれ、必ず世をはかなむ人が出現します (笑)

プロジェクト計算

価値給料が計算できれば、いろいろと応用がききます。例えば、冒頭のアンケート質問票の場合、全員が年収700万円のスタッフだと、8人が3時間もウダウダやっているので、その経費はこうなります。

7,500円x8人x3時間=18万円

これは高いのか安いのか。

他人と比較する

こんなことも計算してみるとおもしろいでしょう。例えば、あなたが企画提案書を作りました。かなりの力作で3ケ月もかかりっきり。文字どおり寝食を忘れて完成させた自信作です。

さて、この提案書の質の善し悪しは別にして、単純計算でかかった金額は次のようになります。

7,500円x(28日x8時間/日)x3ケ月=5,040,000円

「おおおお、これは500万円もの価値があるのか」と喜んではいけません。

すべては自分のために

「コスト意識を持て」と言われるのは、経営者側の勝手な言いぐさであることが多いものです。社員に十分な給料を払いもしないで、経費だけを締め付ける道具としての言葉です。

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