評価理由の前に、まず、私個人の評価基準を先に言及しておきます。
「非常におもしろい!」と感じるのは、
・「へぇーっ」、と今までの知識・感覚にない新鮮味
・「なぁーるほど」、と共感できること |
この二つの要素がちりばめられている記事です。
◆評価の理由
実は、この配信を見る直前、ある女性誌を読んでいたのです。
それは、「an・an」最新号。安室奈美恵がバーンと表紙で登場しています。
(こりゃあ手に取ってしまうよ)
・・っとと、えーと、問題(?)なのは今週のアンアンの特集が
『いちばん大切なのは、あなただけの自信の持ち方。』
「悩める女性の処方箋」アンアンに典型的なネタです。 |
これで先にいわゆる「若い女性はこんな感じ」という情報を得ていたので、記事の中での「ユーザー像:若い女性の分析」が特に新鮮味を感じませんでした。
またこのアンアン特集だけではなく、友人との会話やメディアで「若い女性」の傾向が何となく分かっていました。
それ以上に困ったことに、私にとっては「自分探し」コンセプト自体が古く、もはや「おっ」と目を引かないのです。二番煎じの印象です。
イチローの「変わらなきゃ」CMから、「自分探し」コンセプトはいろいろな製品で売られてきていませんか?TBCの篠原ウサギCMしかり。
たまたま英会話業界でこのコンセプトが使われていなかったから注目を集めただけでは?
それも他の英会話学校が苦戦しているとなっては、格好のネタでしょう。
きっと私がこう感じるのも、私がこのユーザー像世代の渦中にいるからなのでしょう。
私がもし中年男性だったら「ほおー、最近の若い娘は・・・」と「大変面白い」をつけていたかも。
◆・・・とはいえ気になる
なので、今回は、他世代の読者の反応がとても気になります。
もしくはこの記事に対して、脱稿前にそちらのバイトさん(確か同じくらいの歳のはず)の反応を見ました?どうでした?
さて、もっと気になるのが「CtheD」の今後です。
200%の伸びなら、どんどん全国展開するのでしょうか?
それとも4ヶ所を維持するのでしょうか?
いいコピー1本だけで飽きさせることなく「自分探し」の若者を惹きつけ続けるか?
(まあ、システムもいいのでしょうが)
「私を変える」と断言しているのですから、「ああここなら変えてくれる」とみんな入るのでしょう。
他力本願の若者を確実にキャッチしているのですね。
くれぐれも「自分を変える」ことまで人任せにならないように注意したいものです。
ちなみに私が今一番惹かれている英会話スクールは「イーオン ●●校」です。安そうです。
駅に貼ってあるポスターによると確か「1ヶ月 16000円!1月15日まで10000円券サービス中」
で、とにかく英語がしゃべれる人がいればいいという私は、ちょっと見入ってしまいました。
・・あ、最寄り駅がばれましたね(笑)
◆最後に
もしかして「べた褒め記事の感想は厳しくなる」というマーフィーの法則があるのかも!?
やっぱり手厳しい記事を望む読者の深層心理があるのか!?(ウソです・・・自由にお書きください)
率直に書いてしまいました。日頃の恩もありちょっとゴマをするべきかなとも思ったのですが素直な反応の方が正確なデータであり、いいだろうと判断しました。
今後も気長に配信をお待ちしています。風邪、ぶり返さないよう、お気をつけてくださいね。
【お返事】
>さて!本題です。・・・ごめんなさい。(先に謝る気弱な読者)
ははは。気にすることなんかないですよ。
みどりさんはみどりさんの思ったままを書いてくれれば良いんです。
だから、
>日頃の恩もありちょっとゴマをするべきかなとも思ったのですが
>素直な反応の方が正確なデータであり、いいだろうと判断しました。
というのは、大正解です。そちらの方が数段嬉しいです。
本業でも、自分の作ったコンセプトを調査にかけて、何百人もの人たちの評価を受けることを毎回やっているので、いつも通信簿をつきつけられているようなものです。しかも、クライアントにもその数字がそのまま伝わるわけです。いくら偉そうにしていても、調査結果が悪ければ「化けの皮が剥がれる」のがコンサルタント業ですから、「裸の王様」状態が一番危険なんです。
>・「へぇーっ」、と今までの知識・感覚にない新鮮味
>・「なぁーるほど」、と共感できること
はい。了解しています。
今までのみどりさんのコメントを読むと、その基準は明快ですよね。
-------------------------
>これで先にいわゆる「若い女性はこんな感じ」という情報を得ていたので、
>記事の中での「ユーザー像:若い女性の分析」が特に新鮮味を感じませんでした。
うっ、予定どおりに12月に発表していれば良かったのかしら (笑)
・・という問題ではないですね (笑)
>それ以上に困ったことに、私にとっては「自分探し」コンセプト自体が古く、
>もはや「おっ」と目を引かないのです。二番煎じの印象です。
はい。「自分探し」はもう15年くらい前から顕著になっていました。
そういう意味では、知っている方にとっては新味はありません。
>イチローの「変わらなきゃ」CMから、「自分探し」コンセプトはいろいろな
>製品で売られてきていませんか?TBCの篠原ウサギCMしかり。
>
>たまたま英会話業界でこのコンセプトが使われていなかったから注目を
>集めただけでは?
そういうポイントだったのですね。
そこを読み違えていました。私のミスです、
実は、原稿の段階で削除した1章がありました。
「らしさ」というポイントです。
イチローにしてもTBCにしても、自己という内面に直結した商品ではありません。
例えば、TBCでスリムになって奇麗になっても、確かにユーザーは自信がつくので内面が変わる人もいますが、ワンクッションの壁があります。
英会話は外見ではなく内面に直結した商品です。
「自分が変わる」という「自分探し」コンセプトに直結した成果が得られます。
そこが、従来の「自分探し」コンセプトとの大きな違いです。
別な例を出しましょう。
例えば、ファッション業界で一時期社会現象にまでなったホディ・コンシャスネスです。元々の提唱者のゴルティェは女性のラインを美しく見せることが、女性としてのポジションの確立だ、という哲学であのラインを開発しました。
黒人が黒人であることを誇りにするスローガンとして「Black is
beautiful」というスローガンを1960年代に掲げたのと同じ発想です。
ところが、ワンレン・ボディコンさえ着てしまえば、「インスタントいい女」になれてしまうことに気がついたフォロワーは一斉に飛びつきます。そして、それまで、哲学に賛同したイノベータ達は、シンボル化しただけのインスタント状態を嫌って、ナチュラル志向に逃げていきました。
その発想、つまり、外見ではなく内面、という基準は今でも先行層に生きています。
おなじ「自分探し」広告でも、イチローやTBCと異なり、CtheDが売上に直結したのは英会話業界にたまたまなかったという理由も大いにありますが、英会話業界の持つ商品の性質が「らしさ」を強いものにし、「本当に自分が変わるかも知れない」という説得力を持ったのが理由でもある、と考えています。
ちなみに、CtheDのコピーを模倣したコピーが雑誌や書籍を含めて多くなっています。
CtheDの広告の露出量が少ないので、気をつけないと本家本元の方が「お前、パクっただろう」と言われ兼ねない勢いです。
中には、大学や通信教育などの「内面産業」も多くあります。
ただ、残念ながら、これらの産業では「地味過ぎる」のです。英会話というものが持つ「華」がない。そういう意味でも、今回のコンセプトと英会話産業の親和性は強い性質のものであったわけです。
もうひとつ隠れた記事コンセプトがありました。
つまり、業界が違っても共通するコンセプトは可能だ、ということです。
「この業界にしか通用しない」というコンセプトを皆常に求めようとします。だから、「他業界は参考にならない」と拒否する企業も目立ちます。
また、我々外部のコンサルタントに対して、「うちの業界の経験がないのなら、ダメですね」と宣言する企業もあります。
「身によくつく」というコンセプトは「英会話業界特有のもの」に当たります。
しかし、ちょっと目を広げると他業界で参考になるものは幾らでも転がっているのです。「発想の転換」「手詰まり」という悩みを持った方々へのオマージュ的な意図を持ったつもりでした。
--------------------------------------------------
>きっと私がこう感じるのも、私がこのユーザー像世代の渦中にいるからなの
>でしょう。
そのとおりだと思います。
が、
>私がもし中年男性だったら「ほおー、最近の若い娘は・・・」と「大変面白い」
>をつけていたかも。
これが必ずしもそうではないのです。
私も当初はそう考えていました。
で、前回の「女性の食文化」の記事を脱稿したのですが、男性の評価は低いのです。みどりさんの言う「共感」が得られなかったようです。
これは、「距離」の問題が大きいのだと考えています。
つまり、同じ「渦中」でも、どっぷりとその真ん中にいて、自分でも意識している場合は「新味がない」評価になります。そして、「渦中」にはいるのだけど、自分では気がつかなかった、渦中の中心からちょっと離れたところにいた方々にとっては「新味」を感じるのです。
我々の商品開発と同じです。
3歩先 (「中年男性」の「ほおー」)
でもダメだし、0歩先でも (「渦中」) ダメ。半歩先 (「丁度良い距離」) を狙え、ということです。
問題は、その距離をどう読むかということです。
今回のみどりさんの場合、最終的な記事は距離感が0だった、という読み違いが大きかった、というわけです。で、「らしさ」の章があれば、もうちょっとは距離を稼げたかも知れません。
--------------------------------------------------
>なので、今回は、他世代の読者の反応がとても気になります。
>もしくはこの記事に対して、脱稿前にそちらのバイトさん(確か同じくらいの
>歳のはず)の反応を見ました?どうでした?
読んで貰いませんでした。
メールマガジンの場合、私が問題意識を明確に持っていない場合は、事前に読んで貰うことはしません。時間的な問題が理由です。
丁度良いので、これをきっかけに読んで貰うのも面白いかも。
--------------------------------------------------
>200%の伸びなら、どんどん全国展開するのでしょうか?
>それとも4ヶ所を維持するのでしょうか?
これは、私には分かりません。
ただ、自然の流れとして全国展開を考えるのが普通でしょう。
>いいコピー1本だけで飽きさせることなく「自分探し」の若者を惹きつけ
>続けるか?
実際にCtheDがそうするかどうかは別にして、本当に良いコピーは何10年も価値を失うことはありません。
日本は広告代理店の営業政策の関係上、コピーをどんどん変えていくのが慣例になっていますが、海外、特にアメリカやヨーロッパでは恒常的に使用するコピーが目立ちます。
「Come to the Marlboro Country」
「Top Breeder Recommends it」(トップブリーダーが推奨する)
「Cat Craves, Brekkies」(選んでカルカン、ネコまっしぐら) 【注】原文はブレッキーズですが、日本ではカルカンで使っているようです。 |
私個人のお勧めはこのコピー1本で勝負することです。
「自分探し」のニーズはそう簡単になくならないでしょう。そして、「CtheD
= 自分探し」というイメージが根付いてしまえば、他者が真似をしても地位が脅かされることはありません。
>で、とにかく英語がしゃべれる人がいればいいという私は、ちょっと見入って
>しまいました。
もちろん、「自分どうのこうの、というのは必要がない。英会話がきちんと安く習得できれば良い」とする層は確実に存在します。だから、「身によくつく」コンセプトで、新入生がまだまだ入ってきます。
問題は、そういう人たちの比率が従来より少なくなった分、「自分探し」のニーズが増えてきたし、それを受け入れる英会話スクールの数がまだまだ少ない、ということです。だから、NOVA
が苦戦して、CtheDが善戦します。
ただ、NOVAの規模ではCtheDがいくら200%の伸びを占めても、現在の落ち込みを解消できるだけの規模にはなりません。逆に言えば、NOVA
くらいの規模だと、「自分探し」に特化してしまうと返って売上を下げることになりかねない、という問題があります。それは、見方を変えれば、CtheDは
NOVA からの直接的な攻撃を受ける心配がないとも言えるのです。
>・・あ、最寄り駅がばれましたね(笑)
大丈夫。ストーキングはしませんから (笑)
読者の声でも伏せ字にしておきます。
--------------------------------------------------
>やっぱり手厳しい記事を望む読者の深層心理があるのか!?
>(ウソです・・・自由にお書きください)
いや、可能性はあります (笑)
でも、手厳しい記事だけだと、いつかは手詰まりになってしまうのは目に見えていますし、勉強という基本コンセプトの一側面だけしか実現できないので、いろんな試みをしています。
もちろん、辛口路線は維持しますから、ご安心くださいね (笑)
>今後も気長に配信をお待ちしています。風邪、ぶり返さないよう、
> お気をつけてくださいね。
ありがとうございます。
とりあえず、大人しくなっていますので、今年いっぱいは大丈夫そうです。