読者の声 : 99.8.22号 (2/6)

励ましや、おしかりの言葉、ありがとうございます。

他の読者の方々の中にも、同じご意見を持った方がいらっしゃるかも知れません。自分の考えをまとめるための参考になる場合もあります。だから、「読者の声」は大事にしたいと考えています。
原則として、原文を掲載しています。新しい声から順番にご紹介しています。

それぞれの方々へのご意見もお待ちしています。
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この色は皆さんの声 (お返事付) この色は皆さんへのご意見です
この色は皆さんの声 (お返事なし)

自己を否定する勇気のしるし【セイコーとシチズン】 99.8.1 掲載

 <入谷さん> 【あなたにとって腕時計とは何ですか?】

        「かなりおもしろい」99.8.01

「あなたにとって腕時計とは何ですか?」という心理テストがある。

「肌身離さず身につけている」「高級なものをひとつだけ欲しい」「どうせ盗られるので安いものでいい」等の答えは「恋人に対する考え」を表しているという。
なんとなく当たっているなぁと思っていたが、今回の記事でその理由がわかったような気がした。

日常的なもやもやを「!」に変えるお仕事、とても興味深く読ませていただいています。


【お返事】

>「あなたにとって腕時計とは何ですか?」という心理テストがある。

うーん、さしずめ、私は

●外見なんかどうでも良いから、中身で勝負

ということになりますね。
・・当たってる (笑)

>今回の記事でその理由がわかったような気がした。

ありがとうございます。
そうやって、きちんと自分の答えを見つけて頂ければ本当に嬉しいです。

>日常的なもやもやを「!」に変えるお仕事、とても興味深く読ませてい
>ただいています。

本業もこのような形ですので、一貫性があるということで私も自信がつきます。
これからも楽しんで下さいね。

 <宮田さん> 【木を見て森を見ずを Swatch が教えてくれた】

        「かなりおもしろい」99.8.01

いつもたのしく読ませていただいております。
今回は、時計業界ですが、わたしもここ数年不安に思っています。

かつてSEIKOは、日本人として自慢できる起業でした。
70年代から80年代は、スポーツ中継では、必ず時計の周りにSEIKOの文字があり、誇らしく思っていました。
また、自動巻きからクオーツ技術で、薄く正確な時計を次々発表し、やっぱり日本の技術は世界一だな、とも。

しかし、あるときからだんだん、おやっと思うようになります。         やはり、SWATCHの登場です。
それまで、時計の一番の使命は正確さと思っていました。
その意味では、SEIKOは世界一の企業であり、ブランドです
しかし、時計をアクセサリ、や愛着を持つ道具として、見たときに、物足りなさを感じました。     

そう、SWATCHが教えてくれたのです。
最初は、なんかチープで奇抜なデザインだな。と思っていてのですが、その内だんだんカッコ良く見えてきて、また、記念版が出てくると、それもほしくなり、てな具合で、時計を時を刻む機会以上のツールに見えてきました。

そうなると、ご多分に漏れずと言うか、典型的日本企業の弱点と言うか、ハードの出来の良さに対して、ソフト面の弱さが見えるようになりました。
スイスの時計にみる、手作りのよさ、デザインの良さ、時計を取り巻く生活の提案や、歴史の重みみたいなものが全く感じられません。
すると、その内時計を買う段で、SEIKOやCITIZENを選ばなくなっていました。   そう、今ではSEIKOやCITIZENの時計を買うことはなくなりました。

細かい原因をみると色々あるのでしょうが、これこそ典型的日本企業の弱点を露呈しているではないでしょうか。
車も、コンピュータもハードはすごいが、ソフトで圧倒的に負けてしまう、なにか、木を見て森を見ず的な方向性の間違いを犯しているような、そんな気がします。
SEIKOやCISHIZENは時計のある空間や生活をプレゼンテーションしてく必要があります。
ほんとに、どうなるでしょうね。


【お返事】

>ときに、物足りなさを感じました。そう、SWATCHが教えてく
>れたのです。

あれは多くの日本人の時計に対する価値観を変えた商品だったと思います。
ファッション業界のように、年2回のデザイン変更、限定生産等々、従来の時計の常識を破ったものでしたね。
あの時計も最初はまったく売れず、不運でしたが、コレクターズアイテムとしてまた、ムーブメントがグループのオメガ製だったということがわかったり、と見かけ以上に意外にしっかりしていることがわかった途端ブームになりました。

そういう意味では、基本はしっかりしていないと日本人には受け入れられないけど、その上に載せる価値が多様化したという意味ではエポックメーキングだったと思います。

>細かい原因をみると色々あるのでしょうが、これこそ典型的
>日本企業の弱点を露呈しているではないでしょうか。

同感です。
宮田さんがご指摘されたように、セイコーは日本の代表だったわけですが、今日の「悪い意味での」代表でもあるわけです。

>SEIKOやCISHIZENは時計のある空間や生活をプレゼンテ
>ーションしてく必要があります。
>ほんとに、どうなるでしょうね。

確かにひとつの方向ですね。
なんと言っても「時を刻む」という感覚を持たせてくれるのは、携帯電話の時計ではなく、やはり「時計」ですもの。

 <DAIさん> 【ダイバーズウォッチについては如何お考えですか?】

        「ややおもしろい」99.8.01

今日は森さん。以前から楽しく拝見しておりました。
初めてメールを出させていただきます。
現在公認会計士試験の勉強をしている27歳男子です。
自己紹介と感想を送らせていただきます。
自己紹介部分については私の考えていることを書くのが良いだろうと思い書きましたが、読み飛ばしてくださってかまいません。

自己紹介

私は以前は技術職についており、現在は会計・財務について学んでいます。
これは、今考えると甘えていたのかな?と思う部分もありますが、現在のメーカーの現状として技術職の限界を私なりに感じたからでありました。

具体的には商品としての質、これからの展望等につき一介の技術屋風情が何を言うかといった雰囲気がどうしても耐えられなかったのです。
確かに会社の中では一応、研究・開発を含む技術屋は「すごいね。」「かしこいね。」と営業や経理の方々におだてられます。

しかし、本音はそうではない。難解な技術情報への接触を拒否しているというのがその実際的な本音です。
少なくとも私はそう感じました。
心の中で「こいつに将来の売上が分かる(読める)はずがない。」「コストのことも分からないくせにないくせに。」等々の思考が見え隠れするのです。

現在の日本では文系が優位でそんな方々が会社の実権を握っています。
技術屋は技術の開発だけしていれば良いという風潮がどうしても強いのです。

はっきりいって、ほとんどの企業ではエイズ薬害の某M十字と同じだと思います。
つまり、売れれば何でも良い、もしくは当初から不良部分を把握しているにも拘らずとりあえず、売上が必要といった姿勢でしょう。

技術職・研究職にとっては自分の開発途上の未完成の製品が市場に出回ることになります。
当然、未完成ですからクレームが出ます。
次は、君が開発したんだからクレーム処理に行ってくれ・・・。

確かに自分の開発した商品が売れるのですから嬉しくないわけはありません。
しかしこのクレーム処理は技術屋にとって耐えがたいものがあります。
技術屋には馬鹿正直な人が多いのです。
営業さんの出来が悪いと、この技術屋さんは「やっぱり、そうなりましたか・・・。」と言ってしまって、得意先で「おまえの所はそんなものを売るのか!!」と怒鳴られることになります。

古い技術屋さんは確かにモノと向きあい、新製品の開発だけに没頭し、会社のことなんてあまり分かっていない人が多いのも現実ですし、そのほうが楽です。
私もそうなりたくて技術・研究・開発部門に進んだのです。”良いものを作れば売れる”そう信じて研究職を目指したのです。

現実はそうではありません。有害だと分かっているから敢えてコストの高い材料を使って商品設定しても、販売されるときには有害な材質に変更されます。
文句を言っても「またまた〜、そんなに脅さないでよ。聞かなかったことにするよ。売りにくいから。」だって。

しかし、”良いもの”ってなんなんでしょうね。良く売れる物の事でしょうか。たとえ開発の人間が不本意であっても・・・。確かにいくら良いものでも売れなきゃ意味ないのも分かるんですけどね。

感想

いよいよ本題の感想です。
前置きが長くなりましたが、私は勉強を始めるまではダイビングが趣味でした。
海に潜るあれです。
といっても潜り始めてすぐ勉強することとなったので、おもいっきり初心者ですが。

そのダイバーの間ではセイコーのスクーバがある種のステイタスっぽくなっていたと思います。
ダイバーズウォッチについては如何お考えですか?確かに、カテゴリーは狭いですが。

以上初めてなのに長文でスミマセン。


【お返事】

>しかし、本音はそうではない。難解な技術情報への接触を拒否しているというの
>がその実際的な本音です。少なくとも私はそう感じました。

確かに、非技術系の方達は「技術関係は分からない」から、と頭からかかっていることがあります。シストラットが技術者インタビューを重視するのはそれが理由です。
でも、技術畑の方は一見広告や営業がわかっているように見えます。自分も生活者だからです。

でも、本当はどっちもどっちという気がします。
現在のように、技術も社会も複雑になった時代、昔のように、あるいは中小企業のように1人がすべての知識をまたがって保有するのは効率が悪いからです。つまり、専門化です。そして、それをつなぐプロデューサーが必要となるのが現代の正しい(効率的な)やり方なのだろうと思います。

で、もっとも大事なのは、双方で敬意を払うこと。
これがないと結局融合した商品ができません。いや、勘の良い生活者(往々にしてイノベータ)はそれを感じとってしまうものです。

>しかし、”良いもの”ってなんなんでしょうね。良く売れる物の事でしょうか。
>たとえ開発の人間が不本意であっても・・・。確かにいくら良いものでも売れな
>きゃ意味ないのも分かるんですけどね。

マーケティングの観点からいえば簡単です。
「長く、良く売れ続けるもの」が良いものです。
正義は常に生活者にあります。
技術屋さんでもなければ規格屋さんでも営業マンでもありません。
そして、長く売れ続けるためには「ウソを徹底的につくか」「きちんとしたものを作るか」のいずれかの選択になります。
ここまで来ると、経営判断です。

前者は●●とか▼▼ (説明になっていないですね。ごめんなさい (笑))。途中でうそがつけなくてばれたのが、不凍液のマンズワインや肉の質を下げて経営不振になり西武に拾われた牛丼の吉野屋です。
後者の典型はシャネルやヴィトンでしょう。
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>そのダイバーの間ではセイコーのスクーバがある種のステイタスっぽくなってい
>たと思います。ダイバーズウォッチについては如何お考えですか?確かに、カテ
>ゴリーは狭いですが。

ご指摘のとおり、カテゴリーが小さすぎますので、記事には反映させていません。
マーケティング、いや、社会のイメージや生活者の行動を変えるにはある程度の規模が必要になります。具体的には6.8%や2.8%といった数字ですが。
それを超えないものは、マーケティングでは検討に値しない、と考えます。
でないと、小さなことで自信過剰になったり、逆に心配性になると、「木を見て森を見ず」のように、大きな判断を誤ってしまう危険性があるからです。

従って、もしセイコーがこのステイタスをうまく利用して広報活動をしていれば、話はまったく変わる可能性があります。かつてのホンダが F-1 レースで名声を馳せたものの、私たちが買うものに同じエンジンが載っているわけではないけど、イメージがよいというのと同じだと思って頂ければ分かりやすいと思います。

それぞれの方々へのご意見もお待ちしています。

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