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【DCCM事例1】DCCMで企業を評価する

(例1)松下電器産業

松下のテリトリーは、カラーテレビ、据え置き型VTR、ミニコンポ、CDプレーヤーなどの音響機器はもちろん、冷蔵痺、洗濯機などの家電から産業用ロボット、汎用モーターまで実に幅広い。またどの市場においても1位〜3位あたりをキープしており、取りこぼしは少ない。

しかし製品にはとりたてて特長はなく、斬新さ、革新性に欠ける。
ゆえに「差別性」は△である。

次に「優位性」だ。松下の製品はどこでも買える。どの市場においても堅くシェアをキープしているので、安心感もある。値段も平均的で手頃だ。ゆえに「優位性」は◎だ。

説得性はどうか?松下の製品には安心感があるが、ソニーのように「ウォークマン」や初めての家庭用VTR「CV−2000」を発売して世間の度肝をぬくなどの話題性に欠けるし、特に接術に優れているという強力な説得力があるわけでもない。ゆえに説得性は△である。

91年に松下が首位を占めた市場は、ザッと見渡しただけでもカラーテレビ、据え置き型VTR、コーヒーメーカー、電子レンジ、電気冷蔵庸、洗濯機、ルームエアコン、産業用ロボットと、実に多彩だ。ゆえに「市場性」は文句なく◎である(72ページの図表を参照)。

(例2)ソニー

ソニーは、イノベーション精神を軸に、次々と新市壕を開拓した企業として知られている。

結果的には松下電器を中心とするVHS陣営に敗れたものの、カラーYTRの先駆けとなった「ベータマックス」を開発したり、世界的な大ヒットとなった「ウォークマン」、8ミリビデオカメラ第二号の「CCD−V8」など、画網的な製品を次々と発売した。ゆえに「差別性」は◎である。

ソニーの技術力は世界でも名高い。市場に初めて登場した第1号商品は校挙にいとまがなく、商品の小型化はお手のものである。ゆえに「優位性」は◎だ。

ベータビデオでホームビデオ戦争に敗れたものの、ソニーはその教訓を8ミリビデオカメラ市場にしっかり生かし、85年1月に8ミリビデオ第3号機「CCD−V8」を発売した。また85年にはパスポートサイズの「ハンディカムTR55で、VHS陣営に一矢を報いた。これらの成功で、もともと評判の高い技術力を持っているソニーの信頼性は不動のものとなった。
ゆえに「説得性」は◎である。

ただし松下のように、何でも幅広くこなすというわけにはいかない。ターゲットは若者層、市場は音響機器中心に絞り込んでいる○ゆえに「市場性」は△だ。

(例3)三洋電機

三洋電機は、さまぎまな市場に参入している。ヘッドホンステレオ、据え置き型VTR、カメラ一体型VTR、カラーテレビ、家庭用電話器、ファクシミリ、コーヒーメーカー、ルームエアコン、電気冷蔵簿と、幅広く手掛けている。しかし上位に食い込んでいる市場はほとんどない。上位五社の中に入っているのはヘッドホンステレオ、コーヒーメーカー、電気冷蔵俸、ルームエアコン、家庭用電話機などとわずかで、それも3位〜5位あたりを低迷している。シェアを順調に伸ばしているのは家庭用電話機ぐらいだ。つまり個性も優れた接術のイメージも実際の大ヒット商品もなく、あれこれと頭を突っ込んでは失敗しているのだ。

ゆえに「差別性」・「優位性」・「説得性」は×で、「市場性」だけが◎だ。

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