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イメージのお話【イメージ】 2002.4.15

前フリ

企業のマーケティングや企画部署で、良く耳にする言葉は「データ」と並んで「イメージ」です。

「企業イメージ」
「商品(ブランド)イメージ」
「ターゲット・イメージ」
「広告イメージ」

ほとんどの場合他の単語とくっついて語られます。

私たちの生活の中でも「イメージ」という言葉は健在です。

「あの人、イメージ悪いよね」
「それだとイメージが湧きます」
「イメチェン(イメージ・チェンジ)したね」

ただ、同じイメージという言葉でも、ネットやパソコンの世界ではちょっと違う意味を持ち、「(写真)画像」などを指すことが多い。
ホームページの記述言語である「HTML」でもimageは画像を表示する時に使う命令です。

乱用とも言える「イメージ」の普及ですが、意外にきちんとした定義で使っている人はいません。
日常会話では何の支障もありませんが、ことビジネスとなると差し障りが出てきます。

今日は、こんな「何となく使っているけど、実態はよく分からない」イメージをテーマにメルマガをお送りします。
今回は人気のワンテーマ辛口路線ではなく、一部の読者にしか受けない (笑) 解説路線の記事です。

視点は

「そもそも、イメージとは何なんだ?」

です。
もちろん、私のメルマガですから、マーケティング用語としてのイメージの解説です。決して、ネットのエッチ画像ではありませんので、悪しからず (笑)

イメージとは「その人が理解しているコトやモノ」

「虚像」・・

「イメージとは何ですか?」という質問をすると、まず返ってくるのがこの言葉です。
普段何気なく使っているのに、改めて質問されると「本当の姿と違う姿」がイメージだと思いつくようです。

それでは、「イメージ」は悪いニュアンスか?
・・というと、そうでもないらしい。

「イメージは『本来の姿とは違うモノ』という理解はありますが、かといって『良い、悪い』というニュアンスはありません。むしろ単に『違うだけ』という感じです」

「それでは、『本来の姿』はイメージと呼ばないのですね?」
「うーん、そう突っ込まれると本来の姿と重なっているとか、一部は合っている場合は『イメージ』を使うことはありますね。

『イメージ・チェンジ』は、普通は服やヘアスタイルを変えることであって、その人間の性格や趣味趣向を変えるのとは違いますよね。
だから、イメージは『内面』ではなく『外面』のことを言うのだと思います」

私の質問が続きます。
「そうしたら、『あの人は怒りっぽいイメージがあるから近づきたくない』という時は『本当は優しい』と思っているのですか?」

「あれれ?
確かに、そういう時は『本当に怒りっぽいから近づかないようにしよう』と思いますね・・だから、実態のことも『イメージ』と言います。
うーん、分からなくなってきた (笑)」

言葉が広がりすぎてしまったので、意味が曖昧になったり、色々な意味を複合的に持つようになってしまった良い例です。
他にはITやブランドなんてのもあります。本来の意味とは違う使い方をする人が増えて、結局、何がなんだか分からなくなる。
言葉というものは、時代とともに意味が変化したり曖昧になっていく宿命ですから、仕方がないことでもあります。

逆に、言葉がもつ曖昧さを利用することもあります。
例えば、初心者にはわかりやすさが優先しますから、多少、誤解があっても、彼らの知っている言葉に置き換えて説明すると、難しいことでも簡単に理解できる。

私の過去の69本のメルマガ記事でこのテクニックを多用していますから、マーケティングを良く知っている人から見ると、「森さん、間違った説明をしている」と感じる部分が多々あるはずです。
この点については、記事の後半で具体例を挙げて、ご紹介しましょう。

さて、イメージということばの定義です。
上のケースでは、

「あの人は怒りっぽいイメージがあるから近づきたくない」

の場合は、こう翻訳できます。

「あの人は怒りっぽいと私は理解しているから近づきたくない」

イメージチェンジの場合はこうなります。

「鈴木さんの今までの私の理解(おとなしそう、思慮深い)と違った格好をし始めた。恐らく、これから時間が経てば、新しい私の理解が作られることだろう」

マーケティングではこんな感じになります。
ブランドイメージとは

「私(生活者)が理解している、その商品の特徴や特性、感覚」

企業イメージとは

「私(生活者)が理解している、その企業の特徴や特性、感覚。そして、その企業がこれからやりそうだと私が理解しているコトやモノ」

です。

あえて、もって回った言い回しをしてみましたが、これでイメージという言葉の持つ本質が分かってもらえたと思います。
そうです。イメージとはその人が

「理解しているコトやモノ」

なのです。
従って、それが間違えていれば

「虚像」

になるし、正しければ

「実像」

になるだけです。

さて、これでイメージという言葉の意味が分かりました。
それでは、みなさん、ごきげんよう。
・・と、久々に下らないギャグをカマしてみました (笑)

これで今回の記事が終わっては申し訳ありません。
それでは、マーケティングで、この「イメージ」という、不思議なモノをどう扱うのか。この点に絞ってお話ししましょう。
ここからが本番です。

【以下、小見出しと最初の段落のみをご紹介します】

森は60歳の壮年か、30代半ばのお兄ちゃんか

「イメージとは、その人が理解しているコトやモノである」

と言いました。
マーケティングでは「その人」とは生活者のことです。
しかし、その理解が違っている場合も正しい場合もあるとも言いました。
イメージとは「事実と合っている、合っていない」という概念は含んでいません。

ビタミン剤はなぜビタミン剤なのか

さて、イメージとは生活者の理解した(商品や企業の)内容ですが、これはマーケティングでは、かなり重要な意味を持ちます。
「生活者が理解した内容が」すべてであり、生活者は「それに従って」行動したり判断するからです。

イメージで成功したり失敗する企業

イメージは生活者の理解内容だと言いました。
それでは、それが分かったところでどうなるのか。
企業はいくつもの方法でそれを利用したり、無視して失敗したりします。

「ウソ」を利用する?

先の例は商品開発と企業や商品に関することでした。
一方、他人に説明する時にもイメージはかなり役立ちます。
例えば、パソコン初心者に「フロッピーディスクの初期化」の説明をする時、詳しい人なら

「フロッピーにはセクターとレコードという概念があってね、FATというファイルアロケーションテーブルってのがあって・・・」

と延々と「正しい知識」を説明しようとします。
しかし、私の場合は「ウソ」の説明をします (笑)

「戦わずして負けてしまう」イメージの誤解

このようにイメージが「生活者の理解内容であり、生活者はすべてそれを元に行動、判断しているのだ」と認識することは、様々なメリットがあります。
企業も個人も「相手に自分の言いたいことを、効率よく理解してもらえる」からです。

「どうせ私をだますなら、だまし続けて欲しかった」(バーブ佐竹)

イメージは往々にして悪者扱いされることが多いものです。

「イメージ=虚構=うそっぱち=損すること」
「イメージ=虚構=知識不足=アホ」

という図式があるからです。

脳のメカニズム「ウソ」の効用

別なお話をしましょう。
「正確な情報を企業が提供すべきだ」
なんて議論もあります。しかし、これは程度問題です。
私たちはすべて「事実を知らなければならない」としたら、とんでもない生活を強いられることになってしまいます。
私のメルマガを見るために、皆さんはどうしますか?

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