【参考資料】■サルにもわかるSOHO・起業【SOHO・起業】

シストラットの設立時の費用のお話

事務所の開設費用も、資本が少ないSOHO/起業では大切な検討ポイントのひとつになります。
オフィスを自分だけで構えるのか、自宅を事務所にするか、友人のオフィスにいそうろうするか。
自分だけのオフィスは気分的に違います。いかにも「独立したぞ」「もう後には引けない」といった心理的にメリットがあります。しかし、一方、費用がかかる。

友人のオフィスにいそうろうすると、費用は最小限で済みます。
月々の費用は馬鹿にはなりません。
家賃だけでなく、水道・光熱費などの基本料金。コピー機のリース料。電話番のアルバイトの人件費などがほとんど不要になるのはとても助かります。

私が独立しオフィスを構えた際、設立に際してかかった費用は、司法書士に依頼した設立準備経費の35万円を除き、実質45万円でした。

友人の会社が移転するのでトータルで3万円で譲ってもらった中古の机や椅子、キャビネットをフル活用したからです(運送するためのトラックのレンタカー代が2万円かかりました(笑))

社員を雇ってからも中古の机はそのままでしたが、座り仕事が多いので健康のために1脚8万円の椅子を購入して、「おしゃれじゃないからヤダ」とイヤがる社員に無理矢理使わせるようにしました。机は3,000円ですから27倍も高価な椅子です(笑)

それ以外の設備関係の費用は以下のとおりです。

●中古の事務用ファックス3万円
●在宅バイト用家庭用ファックス3万円(下で説明します)
●パソコン通信用モデム2台12万円(下で説明します)
●プレゼンテーション用のハンディタイプOHPマシン12万円
●家庭用コードレス電話機3万円
(ただし、電話帳機能つきの特別な子機を4万円で追加)
●文房具などの消耗品の初期ストック3万円

これを改めてみると、当時の私の発想が伺えます。
金をかけるところはできるだけ潤沢に、経費をケチるところは徹底して削るやり方です。

机や事務用ファックスは中古。電話もビジネスホンではなく家庭用のもの。
しかし、プレゼンテーションで大事なOHPマシンや、自分の時間を省いてくれる電話帳つきの子機にはその何倍も経費をかける。
下でお話しするようにコピー機とパソコンにもかなりぜいたくをしました。

月々のランニングコストも工夫しました。
例えば、企画書や報告書をパソコンに打ち込むバイトのための机やスペースがもったいないので在宅とし、その代わり12年前の当時、まだ普及していなかった家庭用ファックスを買い与えました。私からの手書きの原稿を送付するためです。現在では当たり前の電話機タイプではなく、既存の普通の電話機に接続するアタッチメントタイプです。

一方、出来上がった企画書や報告書を受け取るのにいちいちフロッピーを送ってもらったり、届けてもらうのでは機動力に欠けます。そこで、パソコン通信(当時、インターネットは普及していませんでした)のニフティに加入し、現在の電話回線の1/6のスピードしかないモデムを6万円で購入して無料で貸しました。

今でこそ当たり前のシステムですが、12年前の当時はかなり珍しい仕事の仕方でした。
ファックス、モデム2台で15万円かかりましたが、できあがりのスピードが早く臨機応変に対応できることや、バイトの移動時間がなくなるために双方で手間やコストを省き、オフィスの家賃スペースが不要なので、経費節減に貢献するわけです。

パソコンとコピー機には最大限のお金を使いました。
見やすい企画書や報告書を作るには、当時普及していたワープロでは表現力不足です。レーザープリンタとセットでマッキントッシュにかかった費用は120万円。リースです。

コピー機もたった一人のオフィスではかなりぜいたくな高速タイプ。キャノンの営業マンが

「そんなに性能が高い機種はいらないですよ」

と注意してくれたほどでした。
もっとも、忙しい時は月間で10,000枚以上もコピーするので、営業マンもすぐに

「次はもっと高速なものにしましょうね」

とセールスする始末でしたが (笑)

初期費用は安く上げたのですが、月間の経費は自分のオフィスなので、かなりかかりました。
アルバイトを含めて月間最低100万円と自分の給料分の経費がかかりました。

しかし、友人のオフィスに居候で独立した何人もの知り合いは、家賃5万円で机をもらい、コピー機やファックスは使えるし、ちょっとした雑用や電話番もアルバイトを借りればよい。月間15万円の経費と自分の給料を稼げば良い。
月間80万円の差はできたてほやほやのSOHOの身分にはかなり大きいです。